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「ラストチャンスだと思ってやれよ!」井上一樹二軍監督から板山祐太郎へ込めた期待とその真価

「ラストチャンスだと思ってやれよ!」井上一樹二軍監督から板山祐太郎へ込めた期待とその真価
「サンデードラゴンズ」より板山祐太郎選手(C)CBCテレビ

「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム

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今回のサンドラは、板山祐太郎選手の特集。昨シーズンオフにタイガースから戦力外を言い渡され、ドラゴンズと育成選手契約を結んだ。タイガース時代から板山選手を見てきた山田久志氏曰く、野球に打ち込める体力と、野球に対する真摯な姿勢を持った実に『プロ的』な選手だと言う。プロでもサボる選手もいる中で貴重な真面目さを持った選手だ。タイガース時代から見ていた井上一樹二軍監督とのエピソードと共に、今シーズンの活躍の原動力に迫る。それでは早速振り返る!

『なんでパパは家にいるの?』優勝の裏にあった悔しさからの再起

「サンデードラゴンズ」より板山祐太郎選手(C)CBCテレビ

昨シーズン優勝を果たしたタイガースの歓喜の中で、対照的な思いを抱えていたのが板山選手だった。

「チームがリーグ優勝、日本一をテレビで見ていて何しているんだろうというか、悲しいというか悔しいというか何とも言えない気持ち。チームが日本一になるのは嬉しい事だけど、その輪に自分がいないという情けなさというか、息子に『なんでパパは家にいるの?』とか言われたり、そういう部分で非常に悔しい思いをしました。」

そんな思いを抱えた板山に、ドラゴンズは育成選手としての契約でもう一度再起へのチャンスを与えた。春先は、タイガース時代から縁のあった井上一樹二軍監督のもとで牙を研いだ。

「一樹さんとはタイガース時代も一緒にやっていたので、『ラストチャンスだと思ってやれよ!』と言ってもらえたので、自分もそう思っていました。結果が全ての世界で、ファームでも結果が残せなかったら一年で終わると思っていた。毎日朝起きたときから寝る時まで常に野球のことを考えて過ごしていました。」

「サンデードラゴンズ」より井上一樹二軍監督(C)CBCテレビ

井上二軍監督「すごく練習する選手ですし、板山は野球に対する取り組み方も真面目な選手。そういったところは非の打ち所がない。」

井上二軍監督も認める練習量を武器にファームで結果を残すと、5月5日に支配下登録された。限られた支配下の枠を勝ち取った重圧を背負い、意気込みも新たに試合に向かった。

「ここからが勝負っていうか、1年目に初めて一軍に上がった時の気持ちになりました。」

『またグラウンドで』元チームメイトに感謝の気持ちを持って挑んだタイガース戦

「サンデードラゴンズ」より板山祐太郎選手(C)CBCテレビ

即スタメンで移籍後初ヒットを記録すると、内外野守れるユーティリティープレイヤーとしてチームにとっての存在感は日に日に強まった。見せ場は6月25日、タイガースとの一戦。両チーム無得点のままの迎えた8回、値千金のタイムリーヒットを放ち、お立ち台に上がった。

「今までは味方として応援してもらった声援が、敵として聞くと本当にこんなに凄いのかと感じましたし、忘れられない1日になったなと感じます。」

お立ち台の上で、感慨深そうに語った板山選手はその時の思いをこう語った。

「(タイガースには)8年間一緒にやってきた先輩や後輩がいますけど、『頑張れよ』『またグラウンドで会えるのを楽しみにしている』とか色々言ってもらえたので、タイガース戦では感謝の気持ちを持ってプレーしています。」

プロ生活で結果の出ない日々もあった中で、タイガースでの感謝を胸にラストチャンスとしてドラゴンズにやってきた30歳は、32試合で2本塁打・10打点・打率.308と新天地で躍動を遂げた。

更なる目標『チームのワンピースになれるように…』

「サンデードラゴンズ」より板山祐太郎選手(C)CBCテレビ

チームにとって欠かせない存在となりつつあり板山選手はこれからの目標をこう語る。

「ここから最後までいい時も悪い時もあるけど、1試合でも多く勝ってまだそんなにゲーム差も離れていないので、なんとか上位に食い込んでいけるようにそのワンピースになれるように頑張りたいと思います。」

掴み取ったラストチャンスにしっかりと結果で答えた板山選手は、チームの中で求められるかたちに柔軟に対応して価値を発揮している。7月7日には、最終回に満塁のチャンスで石川昂弥選手の代打として登場して自身初のサヨナラ打を放った。チームメイトにも手荒い祝福を受けて、結果とともに仲間として溶け込んだ姿が印象的だった。

ヒーローインタビューでは板山選手は『スポーツドリンクをかけられてベタベタしていますけど最高です』というコメントで笑いを誘ったが、その犯人の一人は宇佐見真吾選手だった。理由を聞くと、昨シーズン、サヨナラ打を放った3回とも高橋周平選手にスポーツドリンクをかけられたからだという。ちなみに高橋周平選手は、今回飴をかけるという斜め上を行くイタズラを敢行していた。スポーツドリンクと飴をかけられることで、ジンクスとして宇佐見選手のようにまたサヨナラ打が見られるかもしれない。

福永裕基選手は板山選手について、『めちゃくちゃ負けず嫌いでアプリのゲームで負けるとやりこんできて再戦を挑んでくる』と語り、阪神のチームメイトでもあった山本泰寛選手は『目の前のことに夢中になりすぎて、後輩にいじられる。』と語っており、実直で一生懸命な性格が伺える。その直向きさや覚悟を持ったプレーはチームにも好影響を及ぼすだろう。井上二軍監督から受け取った期待をこのままさらに磨いてチームも押し上げていってほしい!がんばれ板山選手!がんばれドラゴンズ!

澤村桃

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