「阿佐谷パールセンター」は古道だった!?東京「鎌倉街道・中道」の歴史を紐解く旅
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、歴史の痕跡を残す“古道”を愛してやまない道マニアの荻窪圭さんが、鎌倉と各地を結んだ「鎌倉街道」のひとつ「中道」を辿りながら、街の歴史を紐解きます。
鎌倉と各地を結んだ「鎌倉街道」

荻窪さんが訪れたのは、東京都世田谷区にある上北沢駅の近く。

(道マニア・荻窪圭さん)
「この交差点には『鎌倉街道入口』がある。なぜこんなところに鎌倉街道があるのか疑問に思ったのが古道にハマる始まりだった」

今から約800年前、鎌倉幕府を開いた源頼朝が支配力強化のために整備した鎌倉と各地を結んだ「鎌倉街道」。交通路かつ合戦時にそなえた軍事道路の役割も果たしていました。

鎌倉街道には「上道(かみつみち)」「中道(なかつみち)」「下道(しもつみち)」のメインルートが3つあり、中でも東北方面に伸びる主要ルート「中道」が特に好きという荻窪さん。
今回は、甲州街道と鎌倉街道が交わる上北沢の交差点から鎌倉街道の中道を辿り、その歴史を深掘りします。
「上北沢」と「下北沢」の由来とは

まずは、鎌倉街道入口の交差点を出発して北へ進みます。
(道マニア・荻窪圭さん)
「大昔、この辺りは『北沢村』という大きな村だった。上(かみ)と下(しも)に分かれて、真ん中に別の村が入ったので、上北沢と下北沢が離れた」

また、「北沢川という川が流れていて、今は暗渠(あんきょ)になっている。その上流が上北沢、下流が下北沢」と荻窪さん。東西に位置するこの2つの地名が上下で分けられているのは、方角ではなく北沢川の上流・下流を指しているからと言われるため。

古い地名は、川の流れや土地の高低差、都への近さなどを考慮して名付けられ、方角よりも“上(かみ)”“下(しも)”などの表記が目立つと言われています。
さらに進むと、「塚山公園」に到着。

(道マニア・荻窪圭さん)
「ここで鎌倉街道が曲がっている。この先は傾斜が急で、それだと馬も人も大変。なるべく斜面の角度を緩くするために、わざとカーブしている」
また、「すぐ北側に神田川が流れているから土地が低くなっている」と言い、「だからここは“山”と呼ばれる」と続けます。
そして、塚山公園を下った川沿いには、鎌倉橋や石碑が存在。江戸時代初期からその存在が確認されており、古くから交通の要衝だったことを物語る重要なポイントとのこと。

さらに進むと、道のすぐ脇に大きな木があります。荻窪さん曰く、昔から街道沿いには道標となる大木が存在していることが多く、これも古道を示す重要なサインと言います。
かつて古道だった!?今も痕跡が残る「阿佐谷パールセンター」

続いては、源頼朝の祖先にあたる頼義によって創建され、戦勝祈願の神社として知られている「大宮八幡宮」へ。
(道マニア・荻窪圭さん)
「ここは古い道が集まる、古道の交差点みたいな場所。この参道も、左に曲がってカーブしながら坂を下りる道も鎌倉街道。2本の鎌倉街道が合流するところ」
その後は大宮八幡宮の北側、阿佐ヶ谷へと続く鎌倉街道を巡ります。

さらに北へ進むと、阿佐ヶ谷駅南口から続く「阿佐谷パールセンター」に到着。
阿佐谷パールセンターは鎌倉街道の道筋そのもので、約700mにわたって多くの店が立ち並ぶ古道の商店街。

昭和29(1954)年に歩行者専用道路となり、昭和37(1962)年に全面アーケード化。戦後、街ににぎわいが戻る中、買い物客が安心して歩ける都内でも先駆けの歩行者中心の通りになりました。商店街の中にはお地蔵さんがあり、古道の痕跡が今も残されています。

また、「阿佐ヶ谷駅前の南口に“浅い谷”があって水が流れていた。浅い谷があったから阿佐ヶ谷」と荻窪さん。
「阿佐ヶ谷」の名が示すように、かつてこの周辺には浅い谷地が存在。周辺には川や水路も多く、阿佐ヶ谷パールセンターが微妙に方向を変えながら伸びているのも、古い道筋や地形の名残と考えられています。
「鎌倉街道」と「としまえん」の意外な関係とは

最後は、2020年に閉園した遊園地「としまえん」の跡地へ。
(道マニア・荻窪圭さん)
「昔、豊島郡という広い地域があって、そこを領していた武将が地名を取って自分を『豊島』と名乗った。豊島氏がこの辺にお城を持っていて、その城跡がとしまえんになった」
また、この辺りには馬を乗れるように調教する場所があったそうで…
(道マニア・荻窪圭さん)
「馬を乗れるように調教することを“馬を練る”と言う。だから、ここは練馬区。豊島氏が造った練馬城の跡がとしまえんになった。でも、ここは豊島区ではなく練馬区とややこしい」

かつて練馬城には出入口に“馬出し”という小さな防御陣地が存在。これは日本で最も古い時期に作られた“馬出し”のひとつと言われています。

今は穏やかな公園へと姿を変え城の痕跡はありませんが、鎌倉街道を見守る交通の要衝として、この地は確かに歴史の重要な1ページを担っています。
CBCテレビ「道との遭遇」2026年7月14日(火)午後11時56分放送より





