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竜のドラ1・ブライト健太 苦悩の向こう側に見た、輝きとポテンシャル

竜のドラ1・ブライト健太 苦悩の向こう側に見た、輝きとポテンシャル
「サンデードラゴンズ」よりブライト健太選手(C)CBCテレビ

「ブラケンっ!さあいこうぜ!」

打席に立つブライト健太選手へ向けて、ベンチ内のチームメイトから声が飛ぶ。

ニックネームである”ブラケン”は、ドラフト直後にCBCラジオ「ドラ魂キング」に生出演した時に話してくれた愛称だ。ボクが今回、二軍キャンプ地である、沖縄県読谷村の平和の森球場に到着するやいなや、球音と共に耳に届いてきたその呼び名。上武大学野球部の仲間に名付けられ、ファンの皆さんからも“ブラケン”と呼ばれたい、と言っていたことを思い出す。

早くもみんなから愛されている。そんな彼の魅力をスタンドからも実感した。

ドラゴンズブルーに染まる琉球の空、レフトフェンスの向こうには村役場のシルエット。沖縄らしい朱色の煉瓦が鮮やかだ。そんな風景へ打球を放り込む、ブライト健太選手の躍動を想像した。なんといっても、身体能力の高さを活かしたプレーが走攻守で期待されるドラフト1位ルーキーだ。

プロ初のキャンプで思い知った現実

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

しかし、そんな初めての沖縄キャンプ終盤に漏らした、ひと言。

「ただ、悔しいです」

表情には、明らかに苦悩の色が見える。

「キャンプを通じて、課題が毎日見つかりました。プロ1年目で、こういう悔しい思いができて、自分では良かったと捉えます。一軍から(二軍の)読谷に移って、すぐにヒットは一本出ましたが、波留コーチからは『その前の初球を打たなきゃいけない』と熱い指導をいただいています。ストレートをしっかり前で打つこと。初めて見たプロの変化球がどうしても頭にあって、後ろで振ってしまう。勇気を持って、前で打てるように」

「守備では、積極性を失ってしまいました。一歩前に出れば捕れる打球でも、一瞬、引いてしまって。まずは普通の打球をしっかり捕球できるよう、ゲーム後だけでなく、キャンプでは毎日“特守“です。継続してやっていくしかありません。ここまで、悔しい思いができていることに感謝しています。全くチームの力になれていないことを今後の成長に繋げていきたいです。まだ目標を置けるような立場じゃないし、危機感もありますが、一日一日成長して、少しでも早く一軍に上がりたいです」

プロのレベルを思い知った現実。その悔しさの中、思いを言語化してくれたことにまずは感謝したい。ただキャンプの最終盤に、決して苦悩だけではない、彼の伸びしろと負けん気を見た。

プレーで取り返すポテンシャル

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

名護市で行われた、二軍でのファイターズ戦。ブライト健太選手は途中出場したが、高めの速球についていけず2つの空振り三振を喫した。センターを守っては、平凡なフライをポロリ。チェンジのはずが、このプレーをきっかけに味方の大量失点を招いてしまった。

しかしその翌日、読谷で行われたベイスターズ戦。終盤8回、センターで途中出場したときの守備で、明らかに右中間を抜けるであろうという長打に対し背走しながら打球を追い、見事、背番号42を見せたままランニングキャッチ。そしてさらに最終回、満塁・逆転サヨナラのチャンスで打席が回る。必死に7球粘った後、直球をセンターへライナーで弾き返し、追撃のタイムリーを放った。

「サンデードラゴンズ」(C)CBCテレビ

まずはプロとして、当たり前のプレーができる確実さは必要だ。ただ、ブライト健太選手の凄さは、攻守にミスがあっても下を向かず、その結果をすぐにプレーで取り返すことのできるポテンシャルなのではないか。そこに見えた可能性に、近い将来の活躍を期待せずにはいられない。燃えよ!ドラゴンズ!!

【CBCアナウンサー 宮部和裕 CBCラジオ「ドラ魂キング」水曜、三浦優奈さんと共演、テレビ・ラジオのスポーツ実況担当。生粋の元少年ドラゴンズ会員。早大アナ研仕込の体当たりで、6度目の優勝ビール掛け中継を願う。「月刊ドラゴンズ」コラムも連載中】

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