「オレの考えは必ずみんなを一軍に上げること」吉見もゾッコン!アツイ指導者・森繁和前監督が掲げた“選手ファーストのススメ”
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
吉見一起の“ヨシトーーク”アツい指導者前編
元ドラゴンズの絶対的エース・吉見一起さんの初々しいトークが評判の燃えドラch『ヨシトーーク!』。現役時代さながらの絶妙なコントロールで球界裏話や同僚、ライバル話をビシバシ投げ込む!
今回は元千葉ロッテ里崎智也さんをゲストに迎え、アツイ指導者について語る!中日・黄金投手陣を支えた森繁和 さんのアツすぎるエピソードがたまらないぞ!
必ずみんなを一軍に上げる!
里崎『アツいベンチワーク!首脳陣との関係性を作るのには、どんなアツさがあるのかという話ですね』
吉見『ドラゴンズはですね…』
里崎『森繁和 コーチが決めていたんですよね?』
吉見『ピッチャーのことはそうですね。ボクは森さんにはかなり良くしてもらったので』
中日ドラゴンズの黄金期のピッチングコーチといえば、森繁和さん。
吉見さんが入団した当時から一軍で投手陣をまとめあげ、その後ヘッドコーチ、監督を経験された名伯楽!
そんな森さんのエピソードを里崎さんもお持ちのようで。
里崎『故障して一人だけ使われなかったけど、二軍の投手全員、一軍で投げたとか聞いたことがある。チャンスがあるからいいよね!』
その話を裏付けする“ここだけの話”を吉見さんも続けて口にする。
それは2011年にチームを離れる際に開かれた送別会でのこと。
最後に挨拶した森さんの口から出た話は吉見さんの心と目頭を熱くさせるものだった。
吉見『森さんが“こっちのミスで、〇〇と××を(一軍に)上げられなかった”と言ったんですよ。“ケガ人は上げられないけど、オレの考えは必ずみんなを一軍に上げる”と言われ、その時初めて、色々考えてやってくれていたんだなと思いましたね。どちらかというとアツいコーチですよね、森さんは』
簡単ではない“勝ちながらの育成”
時には奮い立たせる言葉で投手陣の心を高ぶらせた森さん。
もちろん吉見さんもそのひとり。
疲労がピークに達していると分かってはいるものの、ここ一番の勝負という時に掛けられる一声に“やる気スイッチ”を押され、意気揚々マウンドに上がったと聞いたことがある。
里崎『そういうのを聞いて凄いなと思って。弱かったら別よ。でも勝っていて、優勝もしている中で、全員二軍の選手も一軍に上げるってそんな聞かないじゃん』
吉見『できない!できないです!』
里崎『弱い状況なら可能かもしれないけど、勝ちながら育成ってそんな簡単じゃない中で、その話を聞いた時に“凄いな”って思った』
里崎さんは暗に、変わり果てた現状のドラゴンズと比較しているのか?
なかなか借金が減らせない苦しい時だからこそ、二軍から活きの良い選手を送り込んで流れを変えたいものである。
吉見『森さんがコーチの時は、先発の場合は2試合やられる、イコール、ファーム行きだったんです。中継ぎは防御率5点台、イコール、ファームでした。だからみんな必死で!数字との戦いで(笑)』
里崎『それはローテーション入っていても?』
吉見『エース級は別ですけど、四番手以降のボーダーの投手はすぐ入れ替えていました。そのやりくりが上手でしたね。』
うむ。確かに調子を崩した投手だけでなく、野手も含め、“放牧”という言葉を用いては、ナゴヤ球場で調整を強いた。
上がる選手、ファームへ落ちる選手、その“見える化された循環”があったからこそ、選手は心身ともにリフレッシュされ、期待に応える働きを見せたのである。
モチベーションを保つ、選手ファーストの考え
全員野球で勝利を上げるという点は里崎さんが在籍していた千葉ロッテマリーンズも同じだったという。
里崎『ボビー(バレンタイン監督)の時の“毎日誰が出るか分からない”戦術と似ていて、全員が頑張らなきゃいけない、試合に出るかもしれない、一軍に行くかもしれないという緊張感とモチベーションの高さが層を厚くして強くしているんじゃないかというね』
吉見『二軍の選手も“もしかしたらオレがあるかも…”というのが、ひとつのモチベーションになりますよね』
“モチベーションを保つ”
今のドラゴンズに一番欠けている部分と言えるでしょうね。
特に二軍で好成績を上げているにも関わらず、一向にお呼びがかからない選手を見るにつけ、その思いは増していく。
里崎『しかも絶対上げてくれるわけだから、チャンスがある。どんなに頑張っても上げてくれないし、何故アイツばかりが…となると、何もなくても“アイツは監督派”だとか言われる』
里崎さん、それはもうウチの現状そのものです!
絶対上げる!そしてすぐにチャンスを与える!
その流れこそ、一番若手が伸びる特効薬と言えます。
里崎『森さんのようにみんな一軍に上げる起用の仕方をすれば、そんな事を言われることはない。全員がチャンスあるので、つかめないのは本人のせいになるから。そういう監督とかコーチが良いですよね。やりやすいですよね』
吉見『森さんが凄いなと思ったのは、愛情があるというんですかね。見た目ちょっと怖いんですが、選手ファーストなんですよ。そこは本当にやり易い環境でさせてもらったなと思っています。今のボクがあるのは間違いなく森さんのおかげです』
理解していてもチーム状態が悪くなると目先のことだけしか見えなくなるもの。
選手ファーストを徹底し、プレーし易い環境下を実現していった森さんの評価はユニホームを脱いだ今も下がる気配すら感じられない。
出来ることならば、もう一度ドラゴンズブルーのユニホームを着て、元気な姿を見せてもらいたいものである。
~後編へ続く
(竹内茂喜)