誰でもできるようなことをどれだけできるのかが勝負!吉見も納得!里崎智也が推奨する“準備そして継続”
CBCテレビ野球中継「燃えよドラゴンズ」燃えドラch
吉見一起の“ヨシトーーク”アツい指導者後編
元ドラゴンズの絶対的エース・吉見一起さんの初々しいトークが評判の燃えドラch『ヨシトーーク!』。現役時代さながらの絶妙なコントロールで球界裏話や同僚、ライバル話をビシバシ投げ込む!
今回も元千葉ロッテ里崎智也さんをゲストに迎え、アツイ指導者について語る後編!
前回は中日・黄金投手陣を支えた森繁和さんの『オレの考えは必ずみんなを一軍に上げること』の言葉にやられ、選手ファーストの考えに吉見さんが心酔したエピソードをお届けしました。さて今回のアツい指導者話は一体誰!?楽しみで仕方ないぞ!
明確なる指示が必要!曖昧は要らない
後編を始める前に改めて、里崎智也さんをご紹介。
現役時代、千葉ロッテマリーンズの正捕手として活躍。1度のリーグ優勝、そして2回の日本一に貢献。2006年のWBCでは正捕手として日本代表を世界一に導いた。そんな名声を残した里崎さんだからこそ、指導者に求めるモノはシンプルかつ分かり易いことばかりだった!
里崎『明確な指示とかあるとやり易いんですよね。曖昧なこと言う人がいっぱいいるんで困っちゃうんですよ』
いるいる!どうにでも取れるいい加減な指示を出す指導者って!
里崎『新人とか一軍に上げると、“サト、うまくリードしてやってな!”って。ん?うまく?いつもやっているよ!うまくってなんやねん!ってね』
具体的でなく抽象的な表現ね!酷いコーチにはよくある話(笑)。
里崎『また“サト、もうちょっとうまくカーブ使って!”え?うまくって何ですか?しかもそのうまくできたかどうかの答えって、結果が出る以外ないんですよ』
結果が出たらうまく使えたと言うし、出なければ使えていない。
言われたことをやれないと選手のせいにされてしまう。
酷いコーチにとっては、自分の身を守る常套手段の手口のようである。
里崎『具体的に“カウント球にカーブ使え”なのか“勝負球がフォークに偏っているからカーブを使え”なのか言って欲しいんですけど、それがない人はキツイですよね』
里崎『あとベンチから“初球から振ってくるぞっ!”(長い沈黙があり)………で?何ですか?みたいな。オレの方が絶対知ってる!コイツが初球から振ってくることを!(笑)あとは初球から振ってくるから、ボールから入れという人も嫌いなんですよ。初球から振ってくる奴はファーストストライク振ってくるから、初球ボールにしても次振ってきますよ。一緒じゃないですか?ただボールが先行してこっちの首がどんどん締まっていくんですよね』
誰でもできるようなことをどれだけできるのかが勝負
いくつかの例を挙げてくれた里崎さん。
だからこそ明確な指示が欲しいんだという気持ちがビンビンに伝わってきますよね!
その時、吉見さんが名アシストぶりを発揮!
吉見『今までにアツい首脳陣の方はいらっしゃいましたか?』
吉見さんの森投手コーチ同様、里崎さんにも同様なる名コーチがいたはず!
是非聞きたいものだ!
里崎『オレはもう、ドラゴンズにも在籍した山中潔さんに育ててもらったよね!』
山中潔さん。
現北海道日本ハムファイターズ二軍バッテリーコーチ。
本拠地ナゴヤ球場時代を知るドラゴンズファンなら必ずや覚えているはず!
1979年のプロ野球ドラフト会議で広島東洋カープから4位指名を受け入団。
その後福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンク)へ移籍し、1990年から2年間、中日でプレーをした。
当時正捕手であった中村武志を脅かすシュアなバッティングが彼の真骨頂!
そんな山中さんに育てられた里崎さんの山中愛はホント半端じゃなかった!
里崎『山中さんは結果論で怒らないから、やらなくてはいけないことを絶対しなくてはいけないし、あとピッチャーは信頼してもいいけど信用するなと言われたことは忘れられない』
里崎さんが二軍で一軍を目指し、技術習得に励んでいた時のこと。
山中さんから口酸っぱく言われたことが多々ある。
その中の数点を挙げてもらった。
まずは左バッターだと毎回ベースカバーに行けよと必ずピッチャーに確認すること。それは一軍に上がっても、どんなベテランの人でも必ず言えと教えられたという。セフティセーフティバントがある時も同じように一声かける。
里崎『“誰でもできるようなことをどれだけできるのかが勝負や!”ということをずっと教わって来たね』
特に若い時はイニング間のセカンドスローを全部全力で投げろと教えられたという。試合中で盗塁を刺す時みたいに全力で投げろと。そしてブルペンに入ったら、絶対マスクを付けて、どんなボールが来ても止めろとか、ひざをつくなとか厳しく教えられたという。
里崎『アップシューズで捕るなとも言われたね。だから最近キャンプ視察した際、アップシューズ履いて受けている奴は“コイツは上手くならないな”って思っちゃう(笑)』
吉見『でも大半はアップシューズ履いて受けていませんか?』
里崎『オレはずっとスパイクしか履かない。人工芝でも。最低でも人工芝用のスパイク。もうアップシューズ履いていたら、オレがコーチだったらそいつをブン殴る!ぐらいの勢いでむかつくよね。だってバランス変わるじゃん。そこがブロッキングの練習にもなるし、だって投げていてワンバウンド止めているぐらいじゃ練習にならないよ!』
若い時からずっと言われ続け、ベテランになっても教えを忠実にこなした。
膝ついて捕ることもない。
それだけの反復を繰り返した基礎練習の成果があったからこそ、ライバルが現れても里崎さんは正捕手の座を譲らないだけの技術を会得したわけだ。
里崎『山中さんには“ランナー3塁でお前、膝ついて捕るか?練習の時からしとけば、試合になってもしないんや”ってね。100何球投げて、一回ぐらいしかワンバウンドのボールが来ないかもしれないけど、そのボールを絶対止めろと言われたよね』
しっかり準備してこそ、一流のプロ
一流のプロは皆、口を揃えて言う。
“しっかり準備しろ”
その教えをプロ入り当初からしっかり頭と体に叩き込まれた里崎さんは幸せ者だ。
吉見『若い時にそうやって言ってもらうのはありがたいですよねぇ』
里崎『それが当たり前になっているから、ベテランになってもずっとやり続けたね』
吉見『それをベテランになってもしていて、若い子たちは見ているわけじゃないですか。それはチームにとって伝統としてつながっていくのですか?』
里崎『さぁー?』
吉見『ええぇぇぇーっ!(大笑)』
見事なボケであり、オチである。素晴らしい(笑)。
里崎さんみたいなオンオフがしっかりこなせる指導者がドラゴンズに入ってくれないものか。
これ、結構切実なるお願いです。
里崎『楽な方を選ぶからね、みんな!だってブルペンなんて、オレが若い時、ブルペンキャッチャーとか二軍にいなかったから、一日に2、300球ぐらい一人で受けていたけど、ずっと膝つけないで捕っていたから、こっちもしんどいからね!』
吉見『それ気にして見てみようかな』
里崎『特に北谷なんて人工芝じゃん。見ていてめっちゃ面白いから』
吉見『でも、大半(膝)ついてますよね。ボクの記憶だと』
里崎『膝ついてマスクしないで、ワンバウンド来て、顔に当たったらどうする?ケガして、鼻骨折したり、失明したらどうする?しかも特にこれから一軍狙っていく選手なんかケガしてはいけないのに。もしくは隣からボールがたまに来る時もあるじゃない?万に一つ起こるのがケガだから、もしそうなったらどうするの?と思っちゃう』
里崎『ファンの皆さんもキャンプで是非見て下さい!そいつがクソかどうかわかりますから!』
吉見『クソ…クソっていうか…ハイ!(笑)大成するかしないかですね!』
里崎さんの暴投をナイスブロックした吉見さん!さすが準備に怠りはありませんでした!(笑)
(竹内茂喜)