「あまりにも過激」と批判の声。アメリカ国内で物議を醸している「ICE」とは?
不法移民の取り締まりが行なわれているアメリカ・ミネソタ州。その中西部のミネアポリスで、「ICE」の職員に市民が射殺されるという事件が起こりました。射殺されたのは移民取り締まりに対する抗議デモに参加していたアメリカ国籍の男性で、この事件をきっかけにICEに対する批判が殺到しています。そもそも「ICE」とはどういった組織なのか、どのような取り締まりが行なわれているのか。1月31日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、現状に抱いている懸念とともに詳しく解説しました。
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石塚「最近アメリカで『ICE』という機関が話題になっています」
「ICE」は「Immigration and Customs Enforcement」、日本語に訳すと「移民・税関捜査局」のことです。それらの英語の頭文字をとってICEと呼ばれています。
2001年の同時多発テロを受けて2003年に創設された組織で、国土安全保障省のもとで主に移民の取り締まりを行なっている機関です。
石塚「ミネソタ州のミネアポリスで移民の取り締まりをしているんですが、やり方があまりにも酷く。巻き込まれたり仲裁に入って射殺されたという事件が2件続いているんです」
そもそもの取り締まりが過激だったこともあり、抗議デモが相次いでいるようです。
食い違う証言
移民捜査官は発砲に至った経緯を「相手が拳銃を所持して激しく抵抗したのでやむを得ず」と証言していました。しかし実際の状況とは食い違っていたようです。
石塚「このご時世ですから現場の映像なんかも残っていて、正当防衛ではなく無抵抗の市民を一方的に射殺していたことがわかっています」
このように事件の報告が事実と異なることもさらなる批判を呼んでいるのだとか。射殺事件に関して最初は正当防衛を主張していたドナルド・トランプ大統領も、この流れを受けてさすがに言葉を濁しているようです。
移民取り締まりの最中にアメリカ市民が射殺されるのは2度目。ミネアポリスでは凍える寒さの中、数百人が街頭で抗議デモを行ない、ICEに対する批判を訴えています。
なぜ過激に?
移民・税関捜査局は国土安全保障省の元についている機関ですが、最近になってトランプ政権が不法移民の取り締まりに力を入れ始めたことでかなり組織が拡大しています。
石塚「予算もどんどん増えているし人員もどんどん増えている」
ICEには年間4兆円以上の予算が当てられたそうで、人員を増やすために給与やボーナスもどんどん上げているとのこと。政府の補佐官は1日3,000人、年間100万人以上の移民を逮捕するようノルマの要求もしているのです。
石塚「本当に悪い人なのかも分わからないのにね。さらに思想的に若干人種差別的な意識を持っていたり、強烈な愛国心を持っている人が応募しやすいような採用方法を取ったりしています」
過激な移民取り締まりに発展しやすい人選を意図的にしているとも考えられます。そういった背景もあり、移民の摘発で発砲が増えたりもしているようです。
与党からも批判
決して警察ではないにもかかわらず、準軍事組織や警察保管組織のようになっていることに恐れを感じているという石塚。
石塚「しかも捜査員が覆面をしているので、誰だかわからないようにしている。野党だけでなく、与党である共和党からもやり過ぎだとの声が上がっています」
取り締まりを行なうのであればもっとルールを厳しくしたり、警察官のようにボディカメラをつけるべきといった意見が浮上しているようです。
続けて石塚は歴史を振り返り、ナチス・ドイツ政権下で似たようなことがあったと警鐘を鳴らします。
石塚「準軍事組織のような警察じゃないのに警察的な動きができる組織が容認されるようになると、訓練を受けたわけでもない人たちが取り締まりをすることになるんですよね。
そうすると、ちょっとでも反対の声をあげると、捕まったり殴られたり連行されたりするようになる。こういう動きは、ナチスが権限を持つようになった流れと同じで少々不安です」
どちらかと言えばトランプ大統領を支持しているアメリカのフォックスニュースの世論調査でさえ、59%の有権者がICEは攻撃的すぎると回答しています。ICEに怯える日々を過ごすアメリカ市民が、平穏に暮らせるようになることを願うばかりです。
(吉村)
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