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“崖っぷち”と自らを奮い立たせる、中日ドラゴンズ・吉見一起が 明かす、復活の“意識改革”とは?そして期待の若手に向けた “エースの心得”を激白!

“崖っぷち”と自らを奮い立たせる、中日ドラゴンズ・吉見一起が 明かす、復活の“意識改革”とは?そして期待の若手に向けた “エースの心得”を激白!

【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム

落合元監督のコメントだけが心の支え

毎日続く猛暑。至るところで40℃超えも続出し、体温以上の気温の中、厳しい体調管理を余儀なくされいるかと思います。しっかりと水分補給を取り、日中できるだけ外出を控えるなど、ご自愛下さい。しかし熱中症対策よりもストレス症候群で夜も眠れないと悩む多くのドラゴンズファンがさぞかし多くいらっしゃることでしょう。まさかまさかの神宮スワローズ三連敗!借金も今季最大10となり、盆を迎える前に早くも終戦宣言なのか!?と、あきらめムードも漂ってきてもおかしくないところ。年がら年中ポジティブ思考の私でさえ、さすがに今年もアカンのか?と心折れ始めている中、心の支えとなっているのは落合元監督が“喝っ!”で有名な日曜朝の情報番組の中で残したコメント。「優勝はあきらめてはいないが、貯金20で優勝するならば60まで負けられる」と。少しばかりか、かなり心にたまっていたフラストレーションが取り除かれた気になりましたね!すでに48敗(7/22時点)はしているものの、2位ジャイアンツとは負け数の差がまだ4つ。最下位といえどもAクラス入りはまだまだ十分狙える射程距離であるのです、ハイ!

前半、打線を引っ張ってきたアルモンテが故障で戦線離脱。代わってスタメンに入ったモヤがアーチ連発で、さあ!これから!という時にこれまた故障発生で代打が送られるなど心配のネタは尽きないものの、安打製造機に変身した平田を中心に打線は活発。浮上のカギはこのコラムでも散々取り上げているように投手陣の整備に尽きます。ベテラン先発陣が活躍した前半戦。なかでも今季ローテーションの軸として投手陣を牽引してきた吉見一起投手の力は後半戦も必要不可欠!若返りを図るチームにとって、吉見は優勝の美酒を味わった数少ない戦士のひとり。今週のサンドラでは、今季見事に復活を遂げたそのワケから、エースとしてこれからに向けた勝負の夏・熱い後半戦の戦い方について熱く語ってもらいました。

吉見を変えた意識改革とは?

2013年右ひじの手術以降、5年間結果が出せず、ここ数年吉見自身が口ぐせにしていた言葉が「崖っぷち」。公言することで自らを奮い立たせていたといい、昨オフは股関節の強化と可動域を拡げ、復活に向けフォーム修正に取り組んだそうです。
「脚が動くというか、ラクに投げられるようになった」という吉見。下半身を効果的に使うことで、上半身が連動し、傍目から見てもストレートのキレが戻った。結果は如実に表れ、成績こそ3勝3敗ではあるものの、12試合先発し、クオリティスタート(6イニング以上投げ、自責点が3点以下)9試合はお見事の一言。交流戦、そしてオールスター明けのそれぞれ初戦先発を任されおり、首脳陣の信頼を全盛期に近くまで取り戻しました。しかし吉見自身は復活を果たした今でも心はズタズタ、不安でしかないと言います。思うように投げられなかった日々が、彼自身の心をネガティブ思考に変えてしまった。ただ今年のキャンプ前、ある意識改革を行い、現在の好調・吉見を支えるきっかけとなったようです。

吉見を変えた意識改革とは。それはプレー中の心理を4段階に分類することから始まるそうです。
■浮つく
■楽しむ
■真剣
■深刻
良い精神状態は真ん中の2つ。その意味とは、「楽しむ」だけだと真剣さがなくなる。「真剣」だけだと不安も出てくる。だからこそ、その中間が一番良い精神状態だという。やはり心技体がすべて揃わないと修羅場をくぐれないということでしょう。心の収まりがついた今、吉見はエースの座を再び自分のモノにしたわけです。

色々な経験をした吉見は勝ちに対する意識も以前とは変化したといいます。
「本音を言うと、白星が欲しい。しかし勝ち負けは相手があるし、また白星は試合の流れによって、消えたり、拾ったりする。それに一喜一憂していたらシンドイ。自分の仕事ができたらヨシっと思って、今年は過ごしている」と、笑顔で話す吉見。実は今シーズン3度のサヨナラ勝ちすべてで吉見が先発。ということは試合途中で救援陣が打たれ、吉見自身の勝利が消えているわけです。自分に勝利がつかない時でも、ベンチで声を枯らし、チームを鼓舞している。まさにフォア・ザ・チーム。自分が勝つことより、チームが勝つことが一番と公言するあたり、大人になった吉見一起を感じさせます。

若手とベテランの融合なくして勝利はない!

前半戦、ベテラン先発陣が活躍し、後方ながらも、なんとかペナントレース争いに生き残ったドラゴンズ。吉見自身、後半戦勝ちあがるためにも若手の突き上げなしにはチーム浮上はないと断言。特に未来のエース候補、小笠原慎之介にかける期待は大きい。
「もっと勝っていてもおかしくないわけで。常々慎之介に言っていることは、“お前は完投しろ”と。完投することによって違う世界が見えるはず。ましてや連続完投などすれば、自信をつけてもっと上(のステージ)に行ける」
吉見本人が歩いて来た道を慎之介に授ける。これがエースの伝授なのでしょうか。教えたとしても誰もが通れる道ではない。ましてや何が起こるか分からない獣道。しかしそこを通った者でしか味わえない喜びを慎之介には体験して欲しい。そしてベテランと若手の融合があればこそ、つかむことができる栄冠。先日の試合でも未だ完治しない100球病でマウンドを降りた慎之介には一日も早く自分自身のベストである心技体をモノにして、先輩吉見の思いに報いてもらいたい。そして反撃を待ちわびるファンの総意に応える活躍を期待しています。

ここが正念場!トーナメント戦の意識で戦うべし

8月を迎える前に終戦なんて、そんな寂しいシーズンになるのはまっぴら御免!ちょいと時代を遡れば、暑い季節は竜の季節といわれたものです。まだまだ50試合以上残しているだけに、何かのきっかけで必ずやチーム力は上がってくるはずです。それにはラッキーボーイが出現することが必要不可欠。投では前半戦不調を極めた柳であり鈴木翔、そして噂されるドミニカ人リリーバー。打ではフレッシュオールスターでMVPを獲得した石垣や石岡のような振れるバッターがナゴヤドームで快音を響かせればチームの流れは一気に変わります!今週はまさに正念場。毎試合トーナメント戦のような意識で臨み、一戦必勝でこの窮地を乗り越え行きましょう!がんばれ!ドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!

(ドラゴンズライター 竹内茂喜)

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