中日ドラゴンズ、後半戦浮上のカギを握る平田良介、ルーキー鈴木博志に谷繁前監督が贈った言葉はまさに金言と言えるものだった!
【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
いまだダンゴ状態のセリーグ。めざせAクラス!
交流戦終了後、6勝7敗となかなか波に乗れない我がドラゴンズ。そんな中、ブルペンの屋台骨を支えてきた祖父江大輔投手が出場選手登録を抹消されるという暗いニュースが舞い込んできました。それでなくてもクローザー不在の中、今一番頼りになるリリーバーの戦線離脱は、多くのドラファンから悲鳴が聞こえてきたようでした。しかしこのような非常事態の時こそ、孝行息子の出現を期待!首位カープが独走態勢に入りそうな中、依然残りの5球団はダンゴ状態。まだまだAクラス入り、そしてクライマックスシリーズ進出も夢ではないだけに後半戦スタートまでにもう一度チームの立て直しを図りたいところです。
若手先発三兄弟の巻き返しに期待!
まずは投手陣。山井、松坂、吉見のベテランが引っ張り、そしてガルシアが良い意味予想外の9勝を挙げる活躍で前半戦、先発陣はよく頑張ったと評価できます。ただ期待された若手三兄弟、三男坊の小笠原はともかく、長男・柳、そして次男・鈴木翔太のふがいなさはファンではなく、本人たちにとっても忘れることのできない前半戦となったはず。柳は二軍落ちしてからも好結果が出ない状態、また翔太に関して言えば、今や二軍のローテーションからも外される最悪の状態。オールスター休みの間、心身ともにリフレッシュし、なんとか復調のきっかけを掴んで欲しいですね。そして後半戦ロケットスタートを切るための秘密兵器になれるよう、暑いナゴヤ球場でしっかり調整に励んでもらいましょう!
すべてを背負う覚悟、それが抑えの信条
心配なのはやはりリリーフ陣。中でも抑え不在は頭痛のタネといえます。田島が復調しない限り、ルーキー鈴木博志に任せざるおえない状況が続きます。しかしこれは博志にとっては入団以来、“いつかは抑えを務めたい”と思っていただけに願ったり叶ったりの話。メジャーリーグ、ボストンレッドソックスの絶対的抑えの切り札、クレイグ・キンブレルに憧れ、背番号46を懇願。いつかは必ず日本を代表する抑えになる思いを胸に秘め、プロ入りした博志ですが、ただ彼自身まだ実力で抑えの座を獲得したとは思っていないはず。7月8日のスワローズ戦でプロ入り初セーブを挙げた時も、“最後は博志とみんなに認めてもらえるような選手になりたい”とコメントしただけに、ようやく抑えーのスタートラインに立った程度と感じていることでしょう。そんな産まれたてホヤホヤの新人クローザー博志に今週サンドラのゲスト、谷繁前監督が金言を授けました!
今後抑えとしてやっていくために必要なこととして谷繁さんは、
『やらなければいけないことはたくさんあります。ただ抑えとして登板する時、今の段階で理解してもらいたいことは、ゲームを作ってきた投手であり、野手、そしてチーム全員の気持ちを考え、チームの勝利、そしてファンの大きな期待、そういうものをすべて背負った上で抑えというポジションをこなして欲しい。最初は勢いだけで抑えられることもある。だが大事なゲームともなると相当なプレッシャーがかかるはず。そのプレッシャーを最初から自ら感じて投げ続けていけば必ずや役に立っていくはず』と、アドバイスを贈りました。
ベイスターズ時代には佐々木、ドラゴンズ時代には岩瀬という日本プロ野球界不世出の左右レジェンドクローザーの球を受けてきた捕手だからこその重い言葉。博志にとってはお金では買えない代物を頂いたのではないでしょうか。今シーズン後にはドラの代魔神ではなく、正真正銘の大魔神へ名称変更できるよう、持てる力を発揮してもらいたいものです。
谷繁さんもようやく認めた、プロ野球人平田の姿
打撃陣に話を変えましょう。アルモンテに以前ほどの当たりが止まっているものの、平田、ビジエドとのクリーンアップは他チームの投手陣にとっては息の抜けない恐ろしい並び。そしてそれに続くは、いよいよ大器の花開くか!と最近評判の高い高橋周平、7番には昨年7月8月で14本のアーチを放った和製大砲福田の左右二枚。破壊力は満点だ!ただ彼らの前の大島、京田が出塁するか否かに得点力アップはかかってきます。
あくまで私見となりますが、後半戦の目玉としてトップバッターに平田を据えるのはどうでしょうか?出塁率はチームトップの.415(7月7日現在)。一発もあり、脚もある。そして誰よりも勝負強いバッティング!まさに讀賣坂本に対抗できる、最高のトップバッターになれる要素を持っているといえませんか!ゲームが始まった途端ドカンと始まるなんて想像するだけでも爽快気分になれます!
その平田には森監督も『平田は今一番落ち着いてプレーできる年齢。リーダーとしての役割は大島、そして平田にかかっている』と、熱い期待を寄せていました。プロ入り13年目の30歳。確かに一番脂が乗ってくる頃です。身体のキレを取り戻すため、昨年と比べ10キロ体重を落として臨んだ今シーズン、守備範囲が広くなり、盗塁の成功率も上がりました。質の高いプレーで結果を出す。彼はチームの若手に対し、“言葉で伝えるよりも自分自身のプレーで伝えていきたい”といいます。
『試合前には十分な準備を行い、試合中ではケースバイケースでしっかり状況判断ができる“野球力”を高めてもらいたい』と。そのコメントを聞いた谷繁さんはようやくお前もそんな言葉が言えるようになったかと満面の笑みで、『やっとですね!やっと野球人と言えるコメント、自分の言葉で言えるようになりました!』と、一流選手の仲間入りを認める発言を残しました。30歳にしてようやくとも言える大人扱い。谷繁さんに“認められた日”として、もしこの話を耳にしたならば、平田にとってさぞかし忘れられない日になったのではないでしょうか。余談ですが、周平も大人扱いになるには時間がかかるはずだと思えたのは私だけでしょうか(笑)。
12年ぶり!楽しみな球宴松坂の勇姿!
目標であったオールスターゲーム前までの借金返済は無理となったものの、昨年までのような負け始めたら止まらない負の連鎖は今年のドラゴンズには当てはまりません!何かのタイミングで投打の歯車がかみ合った時、どこのチームも止めることのできない昇竜野球を観れそうな気がしてなりません。それがいつ訪れるか。今シーズン中にぜひとも実現して欲しいですね!まずはしっかりベイスターズ戦を勝ち越して、オールースターブレイクを迎えたいものです。そしてファン投票1位、われらの松坂大輔12年ぶりとなるオールスターゲームでの快投をしかと見届けましょう!がんばれ!ドラゴンズ!燃えよドラゴンズ!
(ドラゴンズライター 竹内茂喜)