岩瀬は無視に限る!?大野捕手へ贈る谷繁式投手操縦法
【ドラゴンズライター竹内茂喜の『野球のドテ煮』】
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)をみたコラム
松坂、無念の故障降板!
全国のドラゴンズファンはさぞかし今、気が気でないことでしょう。昨夜13日のジャイアンツとの一戦において、松坂大輔投手、まさかの右足故障発生。彼にとってはプロ入り初登板の地でもあり、WBCで幾度も戦った思い出の地・東京ドーム。ただただ無念の降板だったことでしょう。ふくらはぎの強い張りがあるということですが、大事でないことを祈るばかりです。
チームも大敗を喫し、ジャイアンツ戦、無念の3カード連続負け越しとなりましたが、先週の成績は2勝2敗1分の五分。大敗もするが大勝もする。なかなか安定しない戦いが続く我がドラゴンズ。しかし先発投手が踏ん張れば試合になるのは衆知の事実。森監督も昨年とはひと味違う!と、実感しているはずです!
さて今週のサンドラは先週に引き続き、谷繁前監督と大野奨太捕手によるスペシャル対談PART2!投手分析編として、主力投手へのそれぞれの思い、そして期待を包み隠さず語ってくれました。
慎之介を絶対的エースにするための助言は?
なかでも球団最年少の開幕投手を務め、将来の期待も大きい小笠原慎之介投手には二人とも口を揃えて絶対エースに育て上げなければいけないと断言。その時見せた谷繁さんの鋭い眼差しは暗に「大野、お前がなんとかしてやれよ!」と訴えていたように感じたのは私だけでしょうか(笑)。
谷繁さんは今後、慎之介が真のエースとしてチームを支えていくために必要な課題として2点挙げました。まずひとつ目は立ち上がりの克服。「立ち上がりが悪いのであれば、ゲームに入るまでの準備で今までと違うことをやらせてみること。毎回同じ準備をしていても同じようにやられていては意味がないわけで、これは絶対変えていかないといけない」と強調。
もう一点は「毎回100球前後で必ず打たれている。原因は明らかにゲームを投げ切るスタミナがないこと。克服するためには投げ込みなどで徐々にスタミナをつけていけば良い」と、監督時代、自らがドラフト1位で獲得した逸材である慎之介だけにあえて厳しい言葉でゲキを飛ばしていました。
実は慎之介について番組冒頭、ゲストの川上憲伸さんも触れていました。「気になっていることとして、メディアを含め、慎之介を対戦チームのエース級、いわばスゴいピッチャーと競わせようとプレッシャーをかけ過ぎではないかと。慎之介は慎之介なりの投球スタイルがあるはず。それに彼は十分に仕事はしている。現時点、日本のエースとも言えるジャイアンツ菅野投手と比較するのは間違い。そのレベルに到達するまでにはまだまだ何段もの階段を上がる必要がある。それをいかに楽しんで成長し、2~3年後ぐらいには四つ相撲が組めるくらいの勝負ができるようになれば十分!」。かつての絶対エースであった憲伸さんの言う事だけになるほどなと納得することばかりでした。森監督も「慎之介と菅野の年の差はいくつだよ」と先日のゲーム後に談話を残しているように、まだまだこれから日々成長していく慎之介には温かい目で見守っていきましょう!
柳、鈴木翔の克服する課題とは何?
谷繁さんの表情が変わり、大野捕手に対し「おっ、よく見てんじゃん」と思わせた(ように見えた)のが、柳裕也投手について話した時でした。右バッターのインサイドが苦手ということで、球種が偏る、投げるコースが偏る点を指摘。それらの課題克服が今後の先発ローテを守る条件となりそうです。
また今季飛躍を期待されながらも現在二軍でもがき苦しんでいる鈴木翔太投手については、大野捕手から四球で自滅する点を指摘。しかし谷繁さんはあえて逆説的な言い表し方で改善案を提案しました。
「オレの経験上、四球を出すなと言うと、絶対逆効果になる。だからピッチャーには何も言わない様にしていた。時には逆に“思い切って四球だせば?”と言い、“その代わり力を絶対抜くな!しっかり腕を振って投げろ!”と言っていたね。そういうのもキャッチャーの仕事だよ」と、チクリ大野捕手にワンポイント説教を(笑)。あえて逆の言い回しをして、ピッチャーをリラックスさせてあげるのも一つの手なのでしょうね。
レジェンド岩瀬への取扱いは“ほぼ無視”が正解
大野捕手がプロに入って一番球を受けてみたいと思っていたのが岩瀬仁紀投手。18.44m(マウンドからキャッチャーまでの距離)の空間を岩瀬投手は自分のモノにしていると感心しきりの大野捕手。憧れの存在を察したのか、谷繁さんはそんな岩瀬さんの操縦術、言わば岩瀬仁紀取扱説明法を伝授した。それが意外とシンプル!ほぼ無視、ほっておくが答え。「体調が悪かったら、気付いてくれ!というオーラを出す(笑)。顔色を見て、これくらいなら大丈夫かなという時はもう無視で結構!」と笑って話す谷繁さん。岩瀬信者の大野クン、冷静に判断できるでしょうかね?(笑)
谷繁さんから大野捕手への提言
ドラゴンズ投手陣を立て直すために獲得した大野捕手。フロント、首脳陣の期待は相当高いはずでしょう。そんな彼に谷繁さんは番組内でふたつの提言を残しました。
「現役時、ピッチャーが良い状態のイメージを自分の頭の中にいつも入れていた。もし少しでもズレた場合のみ、その部分をしっかり伝えてあげた。そういう指摘ができることがキャッチャーには大事。もう一点はキャッチャーが誰であれ、ピッチャーは自分たちで考えて投げられるようにならないとダメだと言い続けていた。大野捕手にも是非言い続けてもらいたいし、ピッチャーと意見を交換しながらベストな選択を取ってもらいたい」と、大野捕手に助言をした谷繁さん。自分の考えはもちろん主張するが、それ以上にピッチャーファーストの気持ちを大切にする、まさにピッチャー思いの恋女房といえる谷繁式ピッチャー操縦術が展開されました。この対談を機会にもう一段階高いステージに上っていく大野捕手の今後の活躍に期待したいと思います。
さあ!本拠地に戻っての6連戦だ!
5月1日から始まった長期遠征も終わり、15日の火曜日からは本拠地ナゴヤドームで首位カープを迎え、上位進出の足がかりとなる6連戦が始まります。その先鋒に立つのは柳投手。苦手と言われる右打者の内角をビシビシ突く強気のリードを大野捕手には期待し、それに応えるナイスピッチングを楽しみに待っています!打線はクリーンアップは好調を維持しているだけに、大島、京田の一二番。特に京田の復調がこの6連戦の大きなカギとなりましょう。二年目のジンクスなんて過去の遺物!何も気にすることなく無心でバットを振って欲しい!それが必ずや不振脱出の糸口になると信じます。さあ6連勝で借金返済だ!がんばれドラゴンズ!燃えよ!ドラゴンズ!
(ドラゴンズライター 竹内茂喜)