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すい臓を守る医師たちの最前線

すい臓を守る医師たちの最前線

サマリーSummary

ゲスト:天野ひろゆき
ドクター:JA尾道総合病院 副院長・内視鏡センター長 医学博士 花田敬士
50代から男女ともに急増する「すい臓がん」。画像検査でも映りにくいため早期発見が難しいといわれています。そこで今回は、すい臓について徹底リサーチ。すい臓の基礎からすい臓の病の恐ろしさ、明るい未来が見えだした最新のすい臓がん検査まで専門医に教えてもらいました。

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~5年生存率が2倍以上に!~すい臓を守る医師たちの最前線

50代から男女ともに急増する「すい臓がん」。画像検査でも映りにくいため早期発見が難しいといわれています。そこで今回は、すい臓について徹底リサーチ。すい臓の基礎からすい臓の病の恐ろしさ、明るい未来が見えだした最新のすい臓がん検査まで専門医に教えてもらいました。

すい臓の基礎知識 ~すい臓の役割とは?~

すい臓は、胃の後ろ側の肝臓・胃・十二指腸とつながっている場所にある重要な臓器です。主な役目の1つは、すい液という物質を十二指腸に送り込み、消化を助ける事。すい液は、炭水化物・たんぱく質・脂質の三大栄養素全てを溶かすとても強い消化酵素で、胃で溶かしきれずに通過した食べ物をしっかりと消化してくれています。

恐ろしいすい臓の病「すい炎」

すい炎とは、さまざまな原因ですい臓が炎症を起こし腫れ上がる病気。すい臓が腫れ上がってすい液の一部が漏れだすと、その消化力ですい臓自体を溶かしてしまうのだとか。また、すい液が周囲や血液の中に漏れると他の臓器にまで影響を及ぼしてしまうそうです。

<すい炎の症状>
・みぞおちあたりに違和感
・吐き気
・下腹部の痛み
・背中の痛み

<一度発症すると慢性化する恐れも>
先生によると、すい炎は一度発症すると再発しやすくなってしまうとの事。急性すい炎を繰り返すと慢性すい炎となり、正常な細胞を破壊します。すると、細胞が繊維化してしまい二度と戻らなくなってしまうのだとか。慢性すい炎になると進行しないように定期的な検査が必要になるそうです。

早期発見が難しい「すい臓がん」

すい臓がんは進行度に応じて、ステージ0からステージIVに分類されます。ステージ0は、がんがすい臓の中にある「すい管」というところに留まり臓器に広がっていない状態。手術で比較的簡単に腫瘍を取り除ける超早期の段階です。すい臓がんの恐ろしいところは、早期発見が難しく自覚症状が現れる頃にはかなり進行している事。また、さまざまな臓器とつながっているため、転移しやすい恐ろしさもあるそうです。

<なぜ早期発見が難しい?>
すい臓の位置は、他の臓器の裏に隠れているため、超音波検査などでも診断がしにくいといわれています。さらに、初期(ステージ0~I)のすい臓がんは75%以上が無症状といわれており、早期発見が難しいそうです。

あなたは大丈夫!?すい臓がんのリスクをセルフチェック

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

下記の項目に2つ以上当てはまる場合は、すい臓がんになるリスクが高くなるそうです。

<すい臓がんの危険因子>
□家族にすい臓がんを患った人がいる
□健康診断で膵臓に嚢胞が見つかった
□糖尿病
□慢性すい炎
□毎日の過度な飲酒
□喫煙
□肥満

花田先生考案!すい臓がんの早期発見を可能にした「尾道方式」

あらゆるがんの中でも早期発見が難しく、見つかった時には手遅れが多かったすい臓がん。そんなすい臓がんをステージ0という超早期で発見できる方法を考案したのが、JA尾道総合病院の副院長で内視鏡センター長の花田敬士先生です。先生のいる尾道市からスタートした「尾道方式」は、広島県の他の市にも導入されこの夏からは県が全面バックアップするほどの規模になろうとしています。

<すい臓がんの早期発見法「尾道方式」>
「尾道方式」は、かかりつけの病院などで問診を行い「危険因子が2つ以上ある」「軽い症状がある」「健康診断の数値が悪い」などに当てはまる場合、腹部の超音波検査を実施。そこで、少しでも疑いがあればさらに大きな病院で詳細な検査を行うという仕組みです。検査では、胃の中から胃壁越しにすい臓に超音波を当てていく「超音波内視鏡EUS」という機器を使う事で、通常の検査では見えない異常も見つける事ができるそうです。

他にもある!すい臓がんを早期発見する最新検査

<(1)ミルクティーですい臓がんを発見?!>
大阪国際がんセンターで考案された方法は、超音波検査の時にミルクティーを使うというもの。すい臓の前にある胃が空っぽだと、溜まった空気の影響ですい臓が見えにくいそうですが、ほどよく超音波を通すミルクティーを使って検査を行うと胃の後ろにあるすい臓が目立つようになるのだとか。この方法は現在、多くの病院で実践されているそうです。

<(2)胃カメラと同時にできるすい臓検査!?>
九州大学で現在研究中の最新検査は、すい液を含んでいる十二指腸液をカテーテルで吸い取るというもの。すい臓がんの場合に特に作られるたんぱく質の量を調べる事でがんの診断に役立てようとしているのだとか。この検査は、胃カメラ検査のついでに1分程度で行う事ができるそうです。

~大切なすい臓を守るために~
先生によると、すい臓を守るために重要なのは、上記で紹介した危険因子に注意する事。
特に糖尿病が悪化した時や、検診で糖尿病が見つかった時には、必ずすい臓の検査を行なった方が良いそうです。また、わずかな異常があっても一度専門医に相談してみてください。

(2022年4月3日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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