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がん治療最前線2022

がん治療最前線2022

サマリーSummary

ゲスト:松本明子
日本人の死因1位「がん」。今や男性の3人に2人、女性の2人に1人が発症し、そのうち4人に1人が命を落としているといわれています。そんな厳しい現実に立ち向かうべく、医療技術は日々進化しているそうです。そこで今回は、最前線のがん治療について専門医に教えてもらいました。

がんの基礎知識身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。

今回のテーマは「~医療の進化が命を救う!~がん治療最前線2022

日本人の死因1位「がん」。今や男性の3人に2人、女性の2人に1人が発症し、そのうち4人に1人が命を落としているといわれています。そんな厳しい現実に立ち向かうべく、医療技術は日々進化しているそうです。そこで今回は、最前線のがん治療について専門医に教えてもらいました。

がんの基礎知識

<がんとは?>
私たちの身体の細胞は、毎日たくさん死んでいます。それを補うために、細胞分裂を毎日数千億回行い、遺伝子をコピーしているそうです。しかし、その時にコピーミスがあると、細胞が死ななくなってしまうのだとか。これが「がん」という病気。先生によると、長く生きているとコピーをする回数もその分増えるので、がんは一種の老化とも言えるそうです。

<がんは遺伝する?>
先生によると、遺伝はがんの原因のわずか5%。それよりも大事なのは、飲酒や喫煙などの生活習慣だそうです。

<がんのステージとは?(大腸がんの場合)>
ステージ0 → 身体や臓器の表面にとどまりリンパ節への転移がない状態
ステージ1 →がんが筋肉の層でとどまっている状態
ステージ2 →がんが筋肉の層を超えて広がっている状態
ステージ3 →リンパ節への転移も見られる状態
ステージ4 →がん細胞が血液にのって全身に広がっている状態

<がんの5年生存率(大腸がんの場合)>
先生によると、大腸がんの5年生存率はステージ1では約95%。ステージ4になると約20%なのだとか。そのため、早期に発見する事がとても大切だそうです。

<がんを知る事が大切>
先生曰く、がんはわずかな知識の有無で運命が変わってしまうこともあるとの事。そのため、新しい知識を得て正しい治療を受ける事がとても大切だそうです。

がん治療の3本柱(1)「手術」の最前線

<従来の腹腔鏡手術>
通常の腹腔鏡手術は、お腹に小さな穴を開け器具を差し込みながら人間の手で行います。

<がん手術の最前線「初の国産手術支援マシンhinotori」>
手術支援マシン「hinotori」は、初の国産ロボット。コックピットから4本のロボットアームを操作し、従来の鉗子ではできなかった手首のような動きも実現できます。小柄な日本人の体内でも、繊細で正確な作業が行えるそうです。

<将来は遠隔手術も可能に!?>
操作性に優れるhinotoriの特性を活かし、今後に向けたある実験も行われています。それが遠隔操作手術。昨年行われた実験では30km離れた場所での遠隔操作に成功したのだとか。将来的には、遠隔から習熟した先生がロボット手術を患者さんに提供できるようになるかもしれないそうです。

<手術支援ロボットの課題>
通常の腹腔鏡手術に比べて、手術支援マシンは触った感じが分かりません。ただし、高画質な画像の視覚情報があるので大きな問題ではないそうです。課題はありつつも今後の進化に期待が高まっています。

<保険適用で治療可能ながん>
・腎臓がん
・前立腺がん など
※症状や施設によって異なる場合もあります

がん治療の3本柱(2)「放射線」の最前線

<従来の放射線治療>
従来の放射線治療は、事前にCTでがんの位置を撮影。その画像をもとに、放射線照射中に呼吸などの動きでがんがずれる事を想定。がんの周囲10~20mmほどのりしろをつけて照射します。

<放射線治療の最前線「がんを狙い撃ち!MRリニアック」>
MRリニアックとは、放射線治療装置「リニアック」とMRIとを合体させた装置。MRIを使って体内をリアルタイムで可視化しながら照射するので、従来よりも細かくピンポイントにがん細胞のみに照射しやすくなっているそうです。

<ピンポイント照射でさらなるメリットも!?>
MRリニアックは正常な組織になるべく照射しない事ができるので、1回に当てる放射線の量を増やして分割照射の回数を減らせるという特徴があり、患者さんの負担を減らす事ができるそうです。

<放射線治療の課題>
先生によると、放射線治療は効き目に個人差があるので、なかには効果が見られない患者さんもいるのだとか。さらに、放射線は健康な組織には害を及ぼすので、適切に扱える専門の医師や技師の育成プランニングも必要だそうです。

<保険適用で治療可能ながん>
・乳がん
・子宮頚がん
・肺がん
・食道がん
・頭頸部がん
・前立腺がん など
(※症状や施設によって異なる場合もあります)

がん治療の3本柱(3)「抗がん剤」の最前線

<従来の抗がん剤治療>
ステージが進み、手術が不可能な場合などに有効とされる抗がん剤治療。抗がん剤は、がん細胞を直接攻撃する治療法だそうです。

<抗がん剤の最前線「免疫チェックポイント阻害剤」>
免疫チェックポイント阻害剤は、自らの免疫を活性化させてがん細胞を攻撃するそうです。

<世界も注目の新薬「ニポルマブ」>
2018年京都大学の本庶佑教授がノーベル医学・生理学賞を受賞した研究が免疫細胞の物質「PD-1」の働き。その研究結果をもとに開発されたのが新たな抗がん剤「ニポルマブ」です。がん細胞と免疫細胞「キラーT」の結合を阻害する事で、自身の免疫を活性化しがん細胞を排除できるようになったのだとか。特に画期的なのが、今まで抗がん剤が効かなかったメラノーマ(悪性黒色腫)にも効果がある事。

<抗がん剤の課題>
抗がん剤は効果に個人差があり、副作用もあります。そのため、専門的な施設、専門医のもとで適切な治療を受ける必要があるのだとか。効果の個人差については、日々研究が進められているそうです。

<保険適用で治療可能ながん>
・非小細胞肺がん
・頭頸部がん
・胃がん
・食道がん
・尿路上皮がん
・メラノーマ(悪性黒色腫)など
※症状や施設によって異なる場合もあります

(2022年9月4日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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