命にかかわる!?腰痛・頭痛サイン…放置しがちな「慢性痛」原因や対処法
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、横浜市立大学附属市民総合医療センター ペインクリニック内科 診療部長
診療教授 公認心理師 医学博士 北原雅樹先生です。
今回のテーマは「〜頭痛・肩こり・腰痛・ひざ痛〜名医が見抜く!痛みの意外な原因」
頭痛・肩こり・腰痛・ひざ痛など様々な痛みに悩まされていませんか?こうした痛みが3か月以上続く場合を「慢性痛」といい、全国で2300万人以上に何らかの慢性痛があると言われています。しかも、痛みがあるにも関わらず放置している人が意外と多いのだとか。しかし、痛みは心身からの何らかのSOSサイン。放置するとますます酷くなってしまったり、その裏に意外な大病が隠れていたりする事もあるのだとか。そこで今回は、多くの人が放置しがちな慢性痛の原因や対処法を専門医に教えてもらいました。
慢性的な痛みの原因と対処法「ひざ痛」
65歳以上の半数以上はひざに痛みがあるとのデータがあり、多くの人を悩ませています。
<ひざ痛の原因>
ひざ痛の原因の多くは、加齢と共にひざの軟骨がすり減り変形してしまう「変形性膝関節症」と言われていますが、先生によると変形性膝関節症を患っているからと言って必ずしも痛みがあるとは限らないそうです。
<ひざ痛の原因!?痛みの引き金「トリガーポイント」>
強い痛みを引き起こす筋肉のこりの事を「トリガーポイント」といいます。ひざ痛の主なトリガーポイントは、正面だと「太もも上部の外側」と「太もも下部の内側」、背面は「ひざの裏側」。これらのポイントを自分で押した時に特に強い痛みを感じる部分があれば、慢性的なひざ痛の原因の可能性が高いそうです。
<トリガーポイントのマッサージ>
トリガーポイントを見つけた場合、一番簡単な対処法は自己マッサージだそうです。こりのある筋肉に対して、痛気持ちいいくらいの力で3分ほど押してみましょう(※強い力で身体を痛めないように注意して行なってください)。自分で押しにくい部分は、テニスボールなどを使い押し当てるのがオススメだそうです。
<ひざの痛みが頭痛につながる!?>
片側の脚に痛みがあるなどで身体のバランスが崩れると、首でバランスを補うため頭痛につながる事があるといいます。その場合は、脚と首のこりをほぐす事で改善が期待できるそうです。
慢性的な痛みの原因と対処法「腰痛」
<慢性腰痛のトリガーポイント>
慢性的な腰痛に関係する主なトリガーポイントは下記の通りです。特に立ちっぱなしや座りっぱなしなど姿勢の変化が少ない人は、トリガーポイントが生まれやすいそうなので念入りにチェックしましょう。
・背骨を挟んだ背中の両側
・背骨を挟んだ腰の両側
・上臀部の外側
・中臀部の真ん中辺り
※手の届かない部分は、テニスボールを使ったり他の人に押してもらったりなどしてチェックをしましょう。
<背中のトリガーポイントの原因>
就寝直前に食事をするのが習慣になっていると、内臓が慢性的に疲弊します。すると、その影響で背中の周りの筋肉が緊張し、こりが発生してしまうそうです。
<見逃すと命にかかわる!?腰痛がサインの危険な病気>
内臓の影響などで、腰痛など異なる部分に現れる痛みを関連痛と呼びます。なかには、命の危険を知らせる病気のサインの場合もあるといいます。先生によると、筋肉のこりによる腰痛の場合、痛みの原因は血行不良のため抗炎症作用の鎮痛薬で劇的に良くなる事はないそうです。しかし、がんなど内臓の炎症による腰痛の場合、抗炎症作用の鎮痛薬により炎症がおさまるため、一時的に腰痛が改善するのだとか。そのため、鎮痛薬がよく効く場合は注意が必要だそうです。
肩こりのトリガーポイント
<正面>
・腕の付け根
・前腕の外側
<背面>
・首の下側
・肩の内側
・肩甲骨上部の内側
・肩甲骨下部の内側
・腕の付け根
足底腱膜炎のトリガーポイント
足底腱膜炎のトリガーポイントは「ふくらはぎ上部の内側と外側」。アキレス腱を介して足底腱膜とふくらはぎの筋肉は一体化しているため、ふくらはぎの筋肉が硬くなると足底腱膜が引っ張られて痛くなるそうです。
慢性的な痛みは身体からのSOS
痛みは身体から発せられているSOSです。放置している痛みがある場合は一度近くの医療機関で検査をしましょう。(※肩・腰・ひざ等の症状がある場合は整形外科、頭・首等の症状がある場合は脳神経外科へ)
見逃すと命にかかわる!?頭痛がサインの危険な病気
頭痛の中には、命の危険につながる大病が潜んでいる事もあるそうです。いつもとは違う頭痛に加え、下記のような症状がある場合はすぐに病院で精密検査を受けましょう。
<頭痛のサインと疑われる病気>
・ハンマーで殴られたような痛み →くも膜下出血
・頭痛+顔に電気が走る→三叉神経痛
・頭痛+目の奥の痛み→副鼻腔炎
・頭痛+身体のしびれ→脳梗塞
身体に悪い所がないのに痛い!第3の痛み
身体の痛みは、大きく分類すると3種類あるそうです。
<身体の痛みの種類>
(1)侵害受容性疼痛
切り傷や打撲といった身体にできた傷によって起こる痛みの総称
(2)神経障害性疼痛
腰のヘルニアなど、神経の圧迫や損傷によって起こる痛みのこと
(3)痛覚変調性疼痛
身体に明らかな痛みの原因がないのに痛みが現れる現象のこと
<脳の変化で生み出す第3の痛み「痛覚変調性疼痛」>
身体に明らかな痛みの原因がないのに痛みが現れる「痛覚変調性疼痛」は、2016年に提唱された第3の痛みのカテゴリー。過度な緊張やストレスにより、痛みを伝える神経回路に異常が起こり、脳が痛みを生み出してしまう状態をいうそうです。
<全身に痛みを及ぼす「線維筋痛症」>
線維筋痛症とは、肉体的・精神的なストレスによって全身の筋肉や関節に痛みが現れる病気。全国で約200万人もの患者がいると推定されています。しかも、発症するのは大人だけでなく子どもの場合もあるのだとか。線維筋痛症の改善に重要とされているのが、ストレスの緩和をはじめ、医師のサポート・生活習慣の改善・患者の意識改革などと言われているそうです。
原因不明の痛みを感じたら専門医に相談を
原因不明の痛みを感じたら、一人で悩まず専門医に相談しましょう(※横浜市立附属市民総合医療センター ペインクリニック内科の予約はかかりつけの医療機関からのFAXのみ受付けています)。原因不明の痛みの相談先として「慢性の痛み情報センター」では、慢性の痛みに対する情報発信と専門病院の紹介を行なっているそうです。
<慢性の痛み情報センター>
電話相談先:「日本いたみ財団」
電話:0561-57-3000
受付時間:平日9:00〜17:00(12:30〜13:30を除く)
※診察の予約、病院への取次はしていません
(2024年12月1日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)