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なかなか適用されなかった危険運転致死傷罪、基準を明確化へ

なかなか適用されなかった危険運転致死傷罪、基準を明確化へ

時事通信などが報じたところによると、悪質な自動車運転による死傷事故に適用される「危険運転致死傷罪」を巡り、法務省の有識者検討会は13日、あいまいさが指摘される成立要件の明確化などを打ち出した報告書案を公表しました。速度やアルコール濃度に一定の数値基準を設けるのが柱で、今年度中に正式決定する見通しです。11月16日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、現行の法律において危険運転致死傷罪の扱いはどのような点で問題なのか、角田龍平弁護士が解説しました。聞き手はパーソナリティの北野誠と加藤由香アナウンサーです。

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危険運転致死傷罪とは

危険運転致死傷罪は2001年にできた法律で定められました。
それ以前は悪質な飲酒運転による死亡事故を起こしても、過失でしか処罰できませんでした。

つまり、故意に自動車事故を起こさない限りは過失の扱いになっていたのですが、ある悪質な飲酒運転による死亡事故をきっかけに、故意に危険な運転をして死亡させたりケガをさせた運転手を処罰するために設けられた法律とのことです。

角田「危険な運転をすることに故意がある場合なんですよね。死亡の結果あるいは障害の結果に故意があれば、それは殺人になったり傷害罪になるんで、そこまでの故意はないけれども自分は危険な運転をしているということを認識して、危険な運転をして人をケガさせたり死亡させたら危険運転致死傷罪が成立するということで。

具体的にはアルコールや薬物の影響で正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた場合や、赤信号を殊更に無視した場合、進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為。
それからあおり運転などの妨害行為とかが危険運転とされてるんですけど」

危険運転致死傷罪による懲役の上限は20年で、必要な注意を怠った運転を処罰する過失運転致死傷罪の上限7年と比べると重い罪といえます。

危険運転致死傷罪は適用されにくい

ここで北野が疑問に思ったのが、危険運転致死傷罪はあまり適用されていないということです。

角田「適用の要件が条文上、例えば高速度の運転でいくと、『その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行』って書いてるんですけど、具体的な速度が定められていないんですよね。

だから時速何km以上だから処罰できるというものではないし、飲酒の場合は『アルコールの影響により、正常な運転が困難な状態で自動車を走行させた場合』ということなので。

『正常な運転が困難な状態』ってどんな状態というのがいろいろ争われると、検察官は争われて無罪になることを一番恐れる職業の人たちなので、その場合は過失運転致死傷で起訴するみたいな扱いが多かったりするんですね」

時速194kmでも正常運転!?

15日に求刑のあった事件ですが、当時19歳の男性が2021年に大分市で法定時速60kmの所を約194kmで走行して死亡させた事件では、検察は当初、過失運転致死傷罪で起訴しました。

この事件では極端な速度で走っていたものの、車線から外れてはいなかったために進行は制御できていたと被告側から言われかねないという理屈で、危険運転ではなく過失運転として起訴していたそうです。

裁判ではプロのドライバーなどが194kmで走るとどのようなハンドルの状態になるかなど証言していますが、遺族が厳罰を求める署名を大分地検に提出し、危険運転致死傷罪に罪名が変更されたとのことです。

飲酒運転の基準も明確に

危険運転致死傷罪の成立要件があいまいなため、一般常識では明らかに危険と思われる運転でも過失運転致死傷罪で起訴されていました。

角田「例えば最高速度の2倍とか1.5倍とか明確な基準を設けて、そのスピードで走っていることがわかってて人を死亡させたりケガさせたら適用しましょう、という議論がなされているということなんですよね」

飲酒運転でも「正常な運転が困難な状態」というあいまいな言い方ですので、お酒が強い人だと問題がないように見えてしまうこともあります。

それが体内のアルコール量などで判断するとなると、ハッキリします。

角田「やっぱり194kmを出して事故を起こして人を死亡させてるのに、危険運転じゃないっていう解釈は、一般的な国民の意識とあまりにもかい離しているので」

個人差に左右されない明確な基準を設けることについて賛成していました。
(岡本)
 

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