「水木一郎じゃない!」昭和のこどもを泣かせたアニソンカセットの罠

4月15日放送のCBCラジオ『北野誠のズバリ』のテーマは「あ~ハラがたつ!」でした。このお題で寄せられた投稿の中で、北野も同意したのは、アニソンに関するエピソード。有名アニソンが全く別の歌手によるカバーだったという苦い思い出は、当時のこどもたちに思わぬ追い打ちまで与えていたようです。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く全然知らん謎の歌手
リスナーAさんが体験した、50年前の出来事です。
母親の買い物に付き合った帰りに、レコード店で必死にねだって買ってもらったという「アニソンベスト」のカセットテープ。
しかし家に帰って再生すると、そこに待っていたのは大きな衝撃でした。
「腹が立ちました。全然水木一郎じゃない、謎の男性歌手の歌う『マジンガーZ』。全然子門真人じゃない、謎の男性歌手が歌う『ガッチャマン』。『バカボン』も『ゲッターロボ』も『宇宙戦艦ヤマト』も、全て全然知らん謎の歌手が歌ってました。めっちゃ腹が立ちました」(Aさん)
なんと、収録されていたアニメソングはすべて、まったく知らない歌手によるカバー版だったとのこと。
母親にしつこくせがんで買ってもらったカセットが、心を躍らせていたこどもの夢を打ち砕く代物だったというのです。
昭和の音楽商法
この話題、北野も思い当たる節があるようです。
「これ、昔よくありました。これはね、昭和にありがちなことです」との北野のコメントに、「えー?」「よくあるんだ!もうなんかむちゃくちゃになってるんですか?」と驚く、佐藤実絵子と松原タニシ。
北野「我々もよくレコードで『騙された!』っていうのがあったんですよ」
「映画の大ヒットソング特集」などと銘打たれたLPレコードが、通常1,500円するところを800円程度で売られていたとのこと。
しかし、この安さには理由がありました。
北野「買って帰ったら、当人が歌ってない、ほんまに謎の歌手が歌ってるレコードってまあまあありました」
松原「それ、録音し直してるわけでしょ?なんなん、それ」
北野にもあった苦い経験。松原はこの不可解なシステムを、全く納得できない様子です。
こどもの小遣いを狙い撃ち
音楽には原盤権というものがあり、番組で使用されているオリジナル歌手の音源は、契約したレコード会社しか発売できません。
そのため、他のレコード会社では人気楽曲を同じようなアレンジで、なおかつ別の歌手に歌わせて収録して販売していたのです。
しかしオトナの事情とは別に、こどもたちが引っかかってしまったのには理由があります。
北野「800円だから。こどもの頃、お小遣いないから安いのを選んじゃうやん。それのためのもんやったと思うけどね」
限られたお小遣いで憧れのアニソンを手に入れたいこどもたちの心理を巧みについた商法だったのかもしれません。
北野「おいらは当人が歌ったやつをまとめたと思ったら、全然違う人が歌ってる。まあまあ昭和にありがちなことです」
その言葉には昭和のこどもたちが味わった、共通の苦い思い出が込められていました。
バカにされた思い出
この話題に、共感の投稿が寄せられました。
「謎の歌手が歌う偽物カセット、私も買ったことがあります。当時、そのカセットを聴いていると友達に『それは本物の歌手じゃなくて偽物が歌ってる』とめっちゃバカにされて、悲しい思いをしました」(Bさん)
佐藤「切ない…(笑)」
北野「昭和にありがちな。昭和はこれ、ほんまに多かったもんね。『誰やねん!』みたいな、しかも下手やったりしますからね」
50年経っても忘れられない悲しい思い出。当時のこどもたちにとっては、本当に腹立たしい出来事だったことでしょう。
(minto)
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