相続税額がゼロ円になる?「配偶者の税額軽減」の2つの条件!
昨今、少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者難が大きな経営課題となっています。そして、元気なうちに資産の管理や、次世代へのスムーズな承継について考えていく必要性も高まっています。CBCラジオ『北野誠のズバリ』「シサンのシュウカツにズバリ」では、事業承継と資産承継について専門家をゲストに学んでいきます。11月6日の放送では、「相続税の申告」について北野誠と松岡亜矢子が三井住友信託銀行 名古屋営業部 財務コンサルタントの渡邊謙治さんに伺いました。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く配偶者の税額軽減の特例を受ける条件
今回、渡邊さんが解説するのは「相続税の申告」について。
どのような事例ででしょうか?
相続人は、遺産分割協議で亡くなった父の遺産は母親が全て相続する内容で合意しました。
その後、「配偶者の税額軽減を利用したら相続税の課税はかからない財産額」との判断から、「税務署に申告せずに放置しておいても大丈夫でしょうか?」との問い合わせが来たそうです。
まず「配偶者の税額軽減」とはどのような控除なのでしょう?
渡邊さんは「条件が2つある」と説明します。
ひとつは、配偶者が取得する遺産が1憶6000万円以下かどうか。
もうひとつは配偶者の法定相続分以下であるかどうか。
この条件を満たせば配偶者の相続税額はゼロになるというものだそう。
今回のケースは母親が相続する遺産額は1億円とのことで、軽減制度を活用すれば相続税納付の必要はないケースになると渡邊さん。
北野「その軽減は非常に大きいですね!」
渡邊「例えば、遺産額が10憶円で相続人が配偶者と子なら、配偶者は法定相続分である1/2 の5億円まで相続しても、その分にかかる相続税はゼロになります」
これは通常よりも大きく税負担が軽減されることになります。
相続税がなければ申告は不要?
北野「今回の相談の場合は相続税納付の必要がないので申告不要となるんですか?」
渡邊「いいえ違います、配偶者の税額軽減やその他の特例を利用するにも相続申告が必要になります」
相続税の申告・納付は、相続が起きたことを知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10か月以内で、被相続人最後の住所地の税務署に申告する必要があると続けます。
北野「10か月以内ってあっという間ですね」
渡邊「そうなんです」
葬儀・法事・納骨などを行いながら10 か月以内に遺産の調査をして、遺産分割協議作成の為に話し合いをまとめていくのは「中々大変だった」との相続人の声をよく聞くそうです。
相続のわずらわしさを避けるためには
このような場合、どのような対策があるのでしょうか?
渡邊「遺言書の作成が効果的」
遺言書が作成していれば、遺産分割協議書の作成をしなくても、遺言の配分内容での遺産分割が可能とのこと。また、遺言書の中に相続手続きに慣れた遺言執行者を指定し、相続手続きの大部分をその執行者に任せることで、円滑な相続手続きが期待できるそうです。
北野「なるほど。いくら大丈夫だと思っていても遺言書を書いた方がいいんですね?」
渡邊「スムーズな遺言の完結は遺言書がいいですね」
ただ、今回の相談者は相続が発生した後の相談だったので、税理士の先生を紹介したそうなのですが、その後に子どもにも税務上の特例が利用できる資産があったそうなので、
渡邊「お母さまに遺言書を作成頂き、安心して頂くことができた」
北野「税務の手続きは面倒くさいし、遺言書は絶対作っておいた方がいいですよね。家には何もないと言っていても、何かしらちっちゃいことで揉めるから笑」
改めて「遺言書」を作っておくことで、後の手続きがスムーズになったり、身内のもめごとを回避できたりすることを実感した北野でした。
(野村)