全国で2,000万人も利用!スキマバイトのメリット・デメリット
企業と直接雇用契約を結ばず、マッチングアプリを使ってちょっと空いた時間に働くというスキマバイトが人気です。スポットワークという言い方もあり、国内では今や2,000万人ほどが働いているそうですが、応募してから早ければ数時間後に働けるという手軽さが魅力です。企業側からしてもすぐに人材が確保できるというメリットがありますが、次第に問題点も浮かび上がってきているようです。10月29日放送『つボイノリオの聞けば聞くほど』(CBCラジオ)では、スキマバイトのメリットとデメリットについて、小高直子アナウンサーが紹介しました。
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スキマバイトのアプリで有名なのがタイミーやショットワークス、ワクラク、シェアフルの4つで、最近ではメルカリやLINEヤフーも参入。
最近参入したスポットバイトルでは、評価の高いアルバイターには独自のボーナスを付けるといったサービスを目玉としているなど、今後競争が激化しそうです。
仕事の内容は軽作業やオフィスワーク、飲食、接客、販売などさまざま。
具体的にはスーパーでの店頭への品出しやレジ、飲食店ならホール係やキッチンでのお皿洗い、レンタカーでは車の回収や洗車、工場の手伝い、警備、お掃除、ホテルのベッドメイク、荷下ろし、倉庫の整理など多岐にわたっています。
人手不足がニュースになっている介護や運送関係の募集も多くなっています。
経験者を募集するものから初心者歓迎のものまで幅広く、資格が必要な理容師や美容師、フォークリフトやトリマーといった求人もありますので、まさに自分にピッタリのバイトを選ぶことができるわけです。
働く側も雇う側もメリットが
雇う側のメリットは数時間、数日間といった短い雇用期間のため、社会保険や各種手当の対象外であり、労務管理も不要。
必要な人数を必要な時間だけすぐに確保できるということで無駄がなく、良い働き手であれば長期雇用や直接雇用の声掛けがしやすい点もあります。
一方で働く側の最大のメリットは、自分がやりたい仕事がうまくマッチングすればすぐに働けるということ。
育児や介護、体調の都合で定期的に働くのが難しいという方も働く機会が得られやすいことや、本業を持つ人や学生らが収入を増やすために副業として働けること。
自分に合った仕事を見つけるために、いろいろな職業体験をしたいという人にもピッタリです。
スキマバイトの問題点
しかし、利用者が増えてきている分、トラブルも発生したり、構造的な問題点も浮かび上がったりしています。
働く側が困るのは、募集内容と仕事の内容が違った、仕事先の環境が悪かった、直前に企業からキャンセルされた、約束の時間までに仕事が打ち切られ報酬が少なくなってしまったなど。
最も困るのは、ケガをしたのに労災認定されないということもあります。
これらの苦情はアプリを通じて申し立てたり、働いた会社のレビューに反映させることはできますが、苦情を申し立てたらその会社からブロックされたということもあるようです。
労働市場にとって新たな良い面も
10月1日の時事ドットコムの記事で、労働経済学専門の東京大学大学院の川口大司教授へインタビューされている内容によりますと、労使間の高速マッチングが可能になったという要素もあり、効率性が改善したという意味では日本の労働市場にとって良いことと語っています。
若者がスポットワークを通じていろいろな仕事を経験できたり、正社員への転換につながったりするのであれば良いシナリオであるとしています。
しかし悪いシナリオとしては、スポットワーカーは究極の非正規であるため、さらなる社会の格差拡大につながることを懸念しています。
トラブルへの対処
スキマバイトは手軽である反面、不安定な雇用形態であることは事実であり、本当に軽い副業感覚で利用していれば良いのですが、定職に就けずにやむなくスキマバイトで生計を立てているという方にとっては不安なシステム。
また、雇用する側としてドタキャンされるのは困りもの。アプリによっては連絡のない欠勤をした人にはペナルティーポイントを付けて、貯まると一定期間仕事を制限する措置を取っています。
ただ最近、無断欠勤するとアプリを無期限利用停止するとしていた求人サイトが、職業安定法に抵触するとして、厚生労働省から指導を受けたというニュースもありました。
今後もトラブルが増える懸念がありますが、最後に小高は「これからやってみようという人は、危ないバイト先を見極める方法がWebサイトでも取り上げられてたり、ニュース番組でも取り上げているので、安全な職場を見定める目を磨くことも大切です」と呼びかけました。
(岡本)