二軍で好投の中日・松木平優太投手、最後の支配下登録枠は取れるのか?

二軍で好投の中日・松木平優太投手、最後の支配下登録枠は取れるのか?

6月29日現在の中日ドラゴンズの支配下登録枠は残りひとつとなっています。この日の『若狭敬一のスポ音』(CBCラジオ)では、パーソナリティの若狭敬一アナウンサーが、育成選手・松木平優太に聞いた話を披露しました。

「松木平」を世界に轟かせたい

松木平優太投手は現在21歳の右腕ピッチャーです。育成選手で今年が4年目。入団した2020年は、髙橋宏斗投手がドラフト1位で入団した時です。
父はインドネシア人、母は日本人ですが、幼い頃に離婚して父は音信不通、母は亡くなっており、姉がひとりいます。

祖父母に育てられましたが、祖父は高校時代に亡くなりました。祖母は、親族のいる千葉県の施設にいるそうです。

入団会見では、「松木平という珍しい名前を世界に轟かせたい」と言っていました。
これを聞いた時の若狭は「メジャー志向があるのか?」と思ったそうです。


実は松木平投手の本心は、世界のどこかにいるであろうお父さん、天国にいる母と祖父に、松木平という名前を届けたい、という意味だったそうです。

ウエスタンリーグで好投中

松木平優太投手の現在の成績は、ウエスタンリーグで13試合で8勝3敗、防御率が1.81。
この8勝はウエスタンリーグでナンバーワン、防御率はリーグ3位です。


13試合中12試合が、6イニング以上投げて自責点が3点以下のクオリティスタート。12回のクオリティスタートはウエスタンリーグ1位です。
そしてクオリティスタート率92.3%、完投2回も堂々の首位です。


ちなみに昨年の成績は二軍で16試合に登板し5勝4敗、防御率は4.56でした。今年は格段に良くなっています。

若狭「ウエスタンリーグの中で最も安定しているピッチャーと言っても過言ではありません」

今季好調の秘密

好投を続けている松木平投手、昨年から今に至るまで何があったのでしょうか?

育成選手の期間は3年間です。

3年が終了した昨年のシーズン後「このままではプロ野球人生が終わる」と考えた松木平投手でしたが、契約更改となり再びチャンスが与えられました。

昨秋のキャンプでは落合英二コーチと、ピッチャーの基礎を養うべく個別練習に取り組んだそうです。

またこのキャンプではストライクテストなるものがあったそうです。ひとり25球、ストレートを投げ、一番ストライクを取ったピッチャーに、翌年の一軍キャンプの切符が与えられるというもの。


投球はトラックマンという機械が判定し、首脳陣が見ている中での投球です。
明らかに置きに行ったストレートはカウントしないとのこと。

松木平投手は25球中18球ストライクで、見事1位となり、一軍キャンプ切符を獲得しました。
しかし首脳陣からは「18球で1位か。レベル低いな」と言われたそうです。

きっかけは球団代表の言葉

昨年11月の契約更改の場で、加藤球団代表から「三振の取れる変化球があるといいね」と言われた松木平投手。

昨年は追い込んでも三振を奪えませんでした。ストレート、大きく曲がるカーブ、カット、スライダー系はあります。チェンジアップも投げられますが、精度が良くありません。
今季を前に、この補強と克服が課題となったのです。


1月には宮崎で、柳裕也投手と仲地礼亜投手と共に自主トレをします。
両投手の両右腕に共通する変化球はチェンジアップ。ふたりのアドバイスを自分なりにアレンジしてチェンジアップを磨きました。

2月のキャンプでは思うようにストライクが入らなかった時、山井コーチからかけられた、次の言葉が大きかったそうです。

「お前の悪いところは完璧を求めすぎているところだ。バッターが手も足も出ない球を、コーナーギリギリに投げて打ち取るイメージを持っていないか?」

松木平投手は、まさにコーナーを狙って三振を取れるのが一軍のピッチャーだと思っていたそうです。

しかし山井コーチの考えは逆でした。ストライクゾーンに投げて、相手に手を出してもらって1球でフライアウト。こういう考え方をしなさいという教えだったのです。

キャンプで好投

のキャンプ中、2月12日に宜野湾で横浜DeNAベイスターズ戦が行われました。
対外試合の初戦で開幕投手に指名された松木平投手は、3イニング1安打、無失点と結果を出しました。


昨年は完璧を求めるあまりカウントを悪くし、焦りから置きにいったボールを打たれる、の繰り返しだったそうです。

しかしこの日は、1回から3人を3人ともフライアウト。3イニングを0点に抑えました。今やDeNAの正捕手となった山本祐大捕手からはチェンジアップで三振を奪いました。
松木平投手は、この試合でフライアウトを多く取れたことと、山本捕手から取ったチェンジアップでの三振が、自信になったそうです。

さらに2月21日には北谷で千葉ロッテマリーンズと対戦。ウンベルト・メヒア投手が体調不良のため、1イニング投げる予定が、先発を言い渡されました。

一軍の選手もいたロッテ打線を、4イニング1安打、ストライクゾーンに投げ込み、フライアウトを積み重ねて、チェンジアップで三振を取りました。
結果4イニングを40球。球数少なくイニングを食う好投を見せました。

井上一樹二軍監督の言葉

キャンプで結果を出し、昨年までの課題だったことをクリア。
松木平投手は、支配下登録や一軍入りへの色気が出てきて気持ちが浮ついてきたそうです。


そこを見透かしたように、井上二軍監督から「今年は1年間、二軍でローテーション守ろうか」と声がかかったんだとか。

「一瞬ショックだった」と振り返る松木平投手。
他の選手が支配下になっていくのを見て「俺じゃないのかよ?」と思ったこともありました。


しかし「2月のキャンプで出した結果を、今年1年出してからだ」と悟った途端、邪念が消えたとのこと。

力強い言葉

そして今季の松木平投手は、ウエスタンリーグで与えられた機会をきっちりこなして、現在13試合、8勝3敗。防御率1.81。12回のクオリティスタート。

「残りひとつになった支配下登録についてどう思いますか?」と若狭が尋ねると、冷静に力強く、松木平投手は返したそうです。

「僕が取ります。他の人には譲れません。待っててください。必ず一軍で投げて見せます」


さらにこう続けたという松木平投手。

「7月にはオールスター休みがあります。それを利用して、千葉のおばあさんのところに行こうと思っています。そこでいい報告ができたらと思っています」

シーズン中の支配下登録への期限は7月31日です。松木平投手の支配下登録に期待を寄せる若狭アナでした。
(尾関)

 

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