中で二股に分岐する!?木曽川沿いにある不思議なトンネルに隠された歴史とは
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国100万キロ以上の道を巡ってきた道マニア歴26年の鹿取茂雄さんが、岐阜県の長良川・木曽川にまつわる道を巡ります。
長良川近くの山中に架かる“謎のアーチ橋”
鹿取さんと一緒に旅をするのは、河川の観察が好きだという一般の男性。2人が訪れたのは、岐阜県美濃市。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「今回は、川にちなんだオススメの道に行きたい。県外から岐阜に来た人を最初に連れて行く道がある」
向かうのは、濃尾平野を流れる大河川「長良川(ながらがわ)」と「木曽川」にまつわる道。他ではなかなか見られない珍しい姿をしていると鹿取さんは言います。
湯の洞(ゆのほら)温泉の近くを流れる「長良川」から山側に向かって歩き進むこと約3分。現れたのは、古いアーチ橋。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「デザインが凝っている。しかも、全てレンガで素晴らしい橋脚」
2車線にも満たない狭い道と重厚なレンガ造りの橋とのギャップが、鹿取さんにとってたまらないそう。橋の上は一体どうなっているのか?確認するため、山道を上って行くと…
(一般の男性)
「え~!?川じゃん!」
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「ここは水路橋(すいろきょう)。この近くにある発電所が水路式なので、長良川に並行して何キロも水路を引いている」
このアーチ橋は上に水が流れる水路橋で、すぐ近くにある長良川水力発電所まで水を運んでいます。
川で取水し、水平に造られた水路で水を運び、発電所の手前で一気に水を落とす「水路式」と言われる発電方法。こうすることで落差ができ、勢いよく水を落とせるので、効率よく発電することができるそう。
長良川水力発電所ができたのは明治43年。それと同時期にこの水路橋も造られ、どちらも登録有形文化財に指定されています。「湯之洞谷(ゆのほらだに)水路橋」と呼ばれ、文化財になるまでは日常的に使われていた道だったとのことです。
中で二股に分岐する不思議なトンネル
続いて訪れたのは、岐阜県八百津町(やおつちょう)。鹿取さんとっておきの道へ向かいます。県道358号を進み、木曽川の近くを通るトンネルを走行していると…
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「トンネルの中に分岐がある」
コンクリート製で一般的なトンネルのように見えますが、天井が高く、トンネル内で二股に分かれている不思議な構造をしています。2人はトンネル内を歩いて、じっくり観察することに。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「名称は定かではないが、『蘇水峡(そすいきょう)橋』と連続しているので『蘇水峡トンネル』と呼ばれている」
「蘇水峡トンネル」は中で二股に分岐し、一つはその先の木曽川に架かる「蘇水峡橋」と繋がっており、もう一つは木曽川沿いにある丸山発電所へと続いています。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「このトンネルは丸山ダムを造る時の、建設資材を運ぶためのルートだった。もともと鉄道が走っていたので天井も高い」
昭和28年、丸山ダムを造る際に必要な機材などを運ぶため、電力会社によって鉄道専用のルートが造られ、トンネルも使われていました。
昭和29年に丸山発電所が完成した後、丸山ダムに繋がるルートは県道に移管され、丸山発電所への道は封鎖に。現在は、発電所に行くための関係者専用道路として使われています。
5月28日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より