やむなく工事中断… 20年の歳月と540億円をかけた「日高横断道路」が完成しなかったワケとは
全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』では、道マニアがイチオシの道をご紹介。今回は、道マニア界で“規格外の未成道”と言われている北海道の「日高横断道路」を紹介しました。(この記事では道情報だけをまとめてご紹介します)
工事が中断に… 「日高横断道路」が未成道になったワケとは
北海道中央南部を南北に約150kmに渡ってそびえる日高山脈。日本最後の山岳秘境と呼ばれる標高2053mのこの山脈を貫き、日高の中心地から十勝までをつなぐ100kmの道路「日高横断道路」の建設に着工したのは1984年。
20年の歳月と540億円もの費用をかけて79kmの道路は造られましたが、残りの区間は日高山脈の中でも特に崩れやすい難所で、さらに約40年の工期と約980億円が必要になることが判明。あと21kmを造れば完成というところで計画が見直され、2003年に工事は中断。実質、中止となりました。
完成した一部の区間は現在、北海道道111号として公道になっています。
鉄骨がむき出しの橋梁も残る50本もの橋
許可を得て探索したという道マニアは、「日高横断道路」の様子を自身が撮影した写真とともに紹介。完成を見越して造られた標識が随所で見られ、今も残されていると言います。
さらに、「日高横断道路」には1984年以降に造られた橋が50本もあるそうで、中には鉄筋が組まれているものの、コンクリートが流されていないむき出しの橋梁も。工事が中断された橋は路面もなく、立派な骨組みだけが山の中に佇んでいます。
ほとんどの橋に名前が付けられているようで、橋の名前が書かれた橋名板も見られたそうです。
工事中断で貫通しなかった「千石トンネル」
「日高横断道路」が分断されている突き当たりには、「千石トンネル」と書かれたトンネルの坑口が残されています。
トンネル内の照明や非常電話に使うはずだった電気ケーブルが、どこにもつながることなくむき出しの状態に。また、非常電話と非常ベルを設置する場所に掘られた「切り欠き」と言われる窪みなど、未成道ならではの痕跡もあるのだとか。
入口から1kmほど奥へ進んだ先は、壁があり行き止まりに。トンネルは貫通しておらず、壁にはボーリング調査に使われた直径5cmほどの小さな穴が残っています。トンネルの反対側は、土砂崩れで荒れた状態になっているそうです。
1月16日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より