2棟の建物しかない人工島はなぜできた?静岡・浜名湖に浮かぶ“小さすぎる謎の島”を調査
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、YouTubeチャンネル「おもしろ地理」でさまざまな道を紹介している道マニア歴24年のかずまるさんと、珍しい道や変わった標識などを求めて全国を巡る道マニア歴22年の石井良依(らい)さんの2人が、静岡県の浜名湖に浮かぶ“小さすぎる謎の島”を調査します。
2棟の建物しかない島!?浜名湖に浮かぶ“小さすぎる謎の人工島”

2人が訪れたのは、静岡県浜松市。
(道マニア・かずまるさん)
「浜名湖を南下すると、人工で造られた島がいくつか浮かぶ『弁天島(べんてんじま)』がある。その中に、建物が2棟しかないめちゃくちゃ小さい島がある。その島ができた経緯や名前を調査したい」
かずまるさんがずっと気になっているというのが、浜名湖に浮かぶ「弁天島」という地域。人工的に造られた島々が並ぶ場所に、建物が2棟しかない一際小さい島があると言います。
周りの人工島と比べても極端に小さく、独自で調べるも存在理由が不明とのこと。以前から石井さんも気になっていたと言い、謎の解明に挑みます。
さっそく2人は、謎の島がある弁天島へ。まずは、離れたところから目的の島を見るため県道323号を歩いて行きます。

(道マニア・かずまるさん)
「弁天島にあるそれぞれの島には名前が付いていて、今いるのが『渚園』。他にも、『乙女園』や『蓬莱園』、『観月(かんげつ)園』、『千鳥園』がある。僕が知る限り、“園”が付く島はここだけ」
しかし、「真ん中の小さい島の名前が色々と諸説あるけど、はっきりしない」とかずまるさん。

弁天島は、明治後期から昭和にかけてリゾート地として開発が進められ、その際に複数の人工島が造られました。
それぞれの島には名前が付けられ、海水浴場や温泉旅館ができるなど、浜名湖を代表する観光地として発展していきましたが、「様々な論文を読んでもこの小さい島だけはほとんど情報がなく、謎に包まれている」と言います。

道なりに歩いて南下すると、2棟の建物が存在する謎の小さい人工島が見えてきます。島の両側には橋が架けられ、誰でも通ることができるようですが、この島は一体何の目的で造られたのか…?
「水門らしきものも見当たらないし、改めて見ても謎」とかずまるさん。2人は、西側から「観月(かんげつ)橋」を渡って目的の島へ。銘板には、「昭和43年(1968年)6月竣工」と書かれています。
(道マニア・石井良依さん)
「2つの橋でしか他の陸地と繋がっていないが、ちゃんと2車線の道路が通っている。島の区間が、前後の橋よりも短い」

船着場もなく、謎の島は東西に抜ける道を挟んで両側に建物が2棟。北側には「レイクランド弁天島」というマンション、南側には一般の住宅があります。
たった30mほどの間に、居住用の建物が2棟存在しているのみの謎の島。「観月橋」の反対側には、「朝日橋」が架かっています。
島の外周に道があり、南側の道は入り口が塞がれているため、2人は北側の道へ行ってみることに。道自体には特に変わった所はありませんが、釣りスポットとして人気のようで、釣りを楽しんでいる人も見られます。
昭和初期に存在していた!?水道施設から払い下げられた「中ノ島」

島を探索していると、南側の建物の所有者と遭遇。4年前に南側の土地を購入したという方に、お話を聞くことができました。
この島ができたのは、昭和7年。当時南側には「中島飛行機株式会社」という名の社宅があり、そこには浜名湖から取水する水道施設(社宅用)もありました。

そして昭和26年、社宅が無くなった土地を浜松市が買い取り、水道施設の改良整備を行うことに。汲み上げた水は、橋の下に設置した水管を通して周辺の島へ供給していたと言います。しかし、昭和40年から50年頃、設備の劣化により施設は撤去されました。
その後、島の土地は民間に払い下げられ、北側にはリゾート用マンション、南側には旅館ができましたが、旅館は廃業。島を外周する道は、市が民間に払い下げする際に、公共の遊歩道として建設したのではないか、と言われているそうです。
さらに、約70年前からこの地域に住んでいる住民によると、島に架かる橋はかつてもっと細い道だったようで、そこで釣りをする人がたくさんおり、危険だったとのこと。歩道のある道に生まれ変わり、橋で釣りができないようフェンスが取り付けられました。

「湖島(こじま)」とも呼ばれる謎の島ですが、正式名称は「中ノ島(なかのしま)」。もともとあった旅館の名前が「湖島」だったことから、そう呼ぶ人も増えたのではないか、とのこと。

地元の方が見せてくれた昭和中期の中ノ島の写真には、改修される前の橋や、水道施設と思われるタンクが写っていました。手前にはボートレースのボートが写っており、昔は中ノ島の手前でターンしていたそうです。
さらに、リゾートマンションができる前、島の北側には「魚藍(ぎょらん)観音像」が建っており、年に1回、ウナギの供養祭が行われていたそう。
現在は別の場所に移設された観音像ですが、毎年ウナギの供養祭は行われているとのことです。
CBCテレビ「道との遭遇」2025年11月11日(火)午後11時56分放送より




