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「長嶋茂雄賞」創設へ、ドラゴンズからは誰が候補になっていくのだろうか?

「長嶋茂雄賞」創設へ、ドラゴンズからは誰が候補になっていくのだろうか?
長嶋茂雄氏&高木守道氏(C)CBCテレビ

プロ野球だけでなく、日本スポーツ界のヒーローだった。2025年(令和7年)6月に89歳で亡くなった元・讀賣ジャイアンツ、長嶋茂雄さんの功績を讃えて来季から「長嶋茂雄賞」を創ることが発表された。

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野手を対象にした賞

日本プロ野球には、個人名を冠した賞に、投手を対象にした「沢村栄治賞」、監督や選手全般を対象にした「正力松太郎賞」がある。しかし、野手のみを対象にした賞はなかった。米メジャーには「ハンク・アーロン賞」などがある。「長嶋茂雄賞」は日本では初めて“野手”を念頭においた、個人名を冠した賞となる。

走攻守に加えてスター性

日本野球機構(NPB)の発表によると、「長嶋茂雄賞」の対象は12球団の選手で、まず「走攻守」で顕著な活躍が求められる。打つだけなく、「打って、守って、走って」という三拍子が必要となる。それだけではない。「プレーでファンを魅了する」として、長嶋さんとまではいかないにしても、華やかなスター性でファンを喜ばせる選手という条件も課せられた。「プロ野球の価値向上に貢献した野手」という崇高な定義である。

山田哲人が浮かんだ

これまで「長嶋茂雄賞」が存在していたとしたら、過去に誰が選ばれたのだろうか。やはり、「打率3割、ホームラン30本、盗塁30」という“トリプルスリー”の達成者が思い浮かぶ。その中でも真っ先に挙がるのは、2015年(平成27年)から実に3度のトリプルスリーを刻んだ、東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手だろう。

次に、1989年(平成元年)の秋山幸二さん(当時は西武ライオンズ)、そして、山田選手と同じ2015年の福岡ソフトバンクホークス、柳田悠岐選手の2人だろうか。史上初3度目の三冠王を獲った、1986年(昭和61年)の落合博満さん(当時はロッテオリオンズ)も挙げたいところだが、盗塁数は5にとどまっていた。

むずかしい「選考基準」

この種の賞の選考でむずかしいのは選ぶ基準である。「沢村賞」には、勝利数、奪三振数、そして完投数など7つの基準がある。今後、プロ野球OBらがメンバーとなる選考委員会によって、この「選考基準」も検討されるそうだが、「長嶋茂雄賞」にとってむずかしいのは、「ファンを魅了する」という“印象面”での評価だろう。まずはきちんと、数字の「選考基準」を決めた上でのことだが、何を持って「ファンを魅了」と判断するか、選考委員の顔ぶれも重要になるだろう。

ドラゴンズから誰が候補?

現役時代の長嶋選手には、何度も痛いところで打たれて“煮え湯を飲まされた”ドラゴンズファンとしても、この「長嶋茂雄賞」は楽しみである。ぜひ、ドラゴンズから選ばれる選手に出てほしいと期待する。しかし、では来季、誰が受賞に一番近いかと問われると、正直、すぐには選手の名前が浮かばない。ここに、長年の低迷を続けるドラゴンズの現在地を見る思いである。

巨人ファンの間では「王貞治賞」も必要という声が出ているそうだが、竜党としては、優れた守備の名手に与える「高木守道賞」(高ははしごだか)がほしいと、つい話を拡げてみたくもなる。現役のドラゴンズ野手たち、がんばってもらいたい。

米メジャーで活躍中の大谷翔平選手が日本でプレーしていたら、「沢村賞」とのダブル受賞もありそうだが、実際に「長嶋茂雄賞」の受賞者を選ぶことは、とても難しいのではないだろうか。そう思わせるほど、長嶋茂雄選手は不世出の“スーパースター”だった。
                          
  
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)ほか。


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