誰が何のために?“謎の金シャチ”が大量に…名古屋の幹線道路・国道41号にレリーフが並ぶワケとは

ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国100万キロ以上の道を巡ってきた道マニア歴27年の鹿取茂雄さんが、国道41号にまつわる“謎”の解明に挑みます。
国道41号沿いに大量の金シャチレリーフ!?謎の解明に挑む

鹿取さんと一緒に旅をするのは、名古屋の魅力を知り尽くした名古屋在住のフリーライター・大竹敏之さん。「どうしても解明したい道の謎がある」と言います。
(フリーライター・大竹敏之さん)
「国道41号の清水口(しみずぐち)から高岳(たかおか)の間の両側の歩道にだけ、“金シャチ”のレリーフが大量にある」
名古屋城の東を通る国道41号の、清水口から高岳までの約1kmの区間にだけ、なぜか名古屋のシンボル“金シャチ”のレリーフが大量に並んでいて、それが謎だと語る大竹さん。
(フリーライター・大竹敏之さん)
「金のシャチホコのレリーフは、街灯など名古屋の町中にたくさんあるが、特定のエリアだけに大量というケースは他で見たことがない」
名古屋城から少し離れており、お城へ行くルートでもないのになぜ…?何のために設置されているのか国に問い合わせても記録が残っておらず、分からなかったそう。そこで、鹿取さんの力を借りることに。一体なぜこの限られた区間にだけ金シャチのレリーフが大量にあるのか、その謎の解明に挑みます。
金シャチは全部で269個!反射板の代わり?

2人はさっそく、国道41号の清水口へ。清水交差点の南側から南下します。歩道の脇にある金シャチを実際に見て、「樹脂っぽい。向きに意味があるのか…?思いのほか、新しそう」と鹿取さん。
腰の高さほどの壁が国道41号に沿ってずっと続いており、その壁の支柱1本に対し、1つの金シャチレリーフが支柱の上に取り付けられています。

まずは、全ての金シャチを把握するため、数を数えてみることに。清水口~高岳間の国道41号を挟み、東西の歩道脇に並ぶ全ての金シャチを1つずつ数えること1時間半。ネジ穴だけでレリーフがあったと思われる痕跡の支柱も確認し…
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「今残っているのが全部で240個。欠けたり無くなったりしているのが29個。全部で269個あった」
するとここで、鹿取さんがあることに気づきます。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「反射素材の代わりが、金シャチになっているかも。反射板の視点誘導装置“デリネーター”の代わりに、金シャチが付けてあるのでは?」

金シャチのない支柱には反射素材が貼られているのに対し、金シャチがある支柱には反射素材がありません。形や大きさ、さらには設置場所もデリネーターと似ているため、金シャチはその役割を担っているのではないかと鹿取さんは推測します。
ついに判明!金シャチレリーフが設置されたワケとは

名古屋城から離れた幹線道路の限られた区間にだけ存在する金シャチは、一体どんな理由で設置されたのか?解明するため、周辺の住民に聞き込みすることに。すると、「防音壁があったところに金シャチを付けていた」という情報が!
歩道の脇に立てられた壁は、国道の騒音対策として造られた防音壁で、設置されたのは十数年前だそう。しかし、その後は有力な情報が得られず、「自分はまだこの先も諦めずに調査したい」と鹿取さん。

ロケが終わったあとも鹿取さんは独自で調査を継続。そしてついに、今から18年前の平成19年(2007年)、防音壁を設置した際に金シャチも同時に設置したことが判明しました。防音壁の設置工事をした施工会社は2社あり、東西でそれぞれ担当が分かれていたそう。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「東側の車線の施工会社に問い合わせたところ、意外な話だったんですが、もともと国土交通省の設計に金シャチはなかったそう。施工会社から国土交通省に“金シャチをつけるのはどうか?”と提案し、了承を得て金シャチの設置に至った」

実は金シャチの設置を発案したのは施工会社で、国土交通省が決めた設計を変えることは極めて珍しい事例なのだとか。
また、デリネーターとしての機能はなく、単なる装飾ということも判明。“名古屋らしいもの=金シャチ”ということで、金シャチのレリーフに至ったとのことでした。
(道マニア・鹿取茂雄さん)
「実際はそこまで深い意味はなかったが、事実を掘り出せたことがすごく嬉しい。設計になかったものを施工会社から国に提案してくれたその心意気もすごくうれしい。施工会社のご厚意が身に沁みてありがたいと思った」
CBCテレビ「道との遭遇」2025年5月13日(火)午後11時56分放送より
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