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井上ドラゴンズは低迷脱出へ大量の戦力外通告、“ドラフト失敗”の経験を活かせ!

井上ドラゴンズは低迷脱出へ大量の戦力外通告、“ドラフト失敗”の経験を活かせ!
井上一樹監督(C)CBCテレビ

2年目シーズンを迎える井上ドラゴンズ。ドラフト会議も終わり、まもなく始まる秋季キャンプを前にして、今シーズン限りでドラゴンズブルーのユニホームとの節目を迎えた選手も多い。(敬称略)

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引退選手は幸せなのだろう

大野雄大投手、祖父江大輔投手、柳裕也投手(C)CBCテレビ

現役引退を決めて、球団による引退セレモニーをやってもらえる選手は幸せだろう。2025年(令和7年)は、祖父江大輔、岡田俊哉、そして中田翔の3選手だった。かつて落合博満監督が、当時現役だった山本昌さんや岩瀬仁紀さんを例に挙げて「自分の決断でユニホームを脱ぐことができるような選手になれ」と、他の選手を鼓舞したことを思い出す。祖父江や岡田ら長年ドラゴンズのために頑張った投手が、万雷の拍手で送られた一方で、ファンに別れを告げる場もなく、チームを去る選手も多い。

今季は大量の戦力外通告

ドラゴンズは、これまでに12人の選手に戦力外を通告した(10月28日現在)。去就が決まっていない外国人選手も複数いるので、その数はまだ増える可能性がある。この内、手術からの復活をめざす梅津晃大ら一部の選手には、育成選手としての契約が打診されているが、そうした声もかからずドラゴンズと別れる選手たち。この2年間、戦力外通告を受けたのはいずれも9人だった。3年連続の最下位をようやく脱して4位になったとはいえ、負け越し数はまったく変わっておらず、チームの低迷は続いていると言えるだろう。そのため、今オフの12人という“大手術”はやむを得まい。

ドラフト2位選手が2年で・・・

しかし、今回、しっかりと受け止めなくてはいけない現実がある。立浪和義前監督が2年目から3年目に向かうオフ、2023年(令和5年)ドラフト会議で獲得した選手の去就についてである。2位指名の津田啓史、5位の土生翔太、6位の加藤竜馬、そして育成2位の菊田翔友、支配下と育成合わせて10人の新人選手の内、実に4人が今回、戦力外通告を受けた。プロ入りわずか2年である。津田と土生は育成での契約を打診されているが、その先も決して甘くはないだろう。

その前年2022年(令和4年)ドラフト4位の山浅龍之介と育成2位の野中天翔も、3年間の経験で今回戦力外となった。

スカウティング自体の課題

野球以外の決定的な理由があるとするならば仕方ないとしても、多くは“実力不足”と判断されたと見るべきだろう。しかし、プロ入りして2年から3年の選手たち、ほとんどが20代前半の若さである。20代半ばの加藤竜馬にいたっては、“投手”として入団して1年で“打者”に転向し、そして今回の戦力外通告となった。

そうなると、一般企業などで言うところの“人事採用”、すなわち組織としてのスカウティングの問題となる。2023年ドラフトについては、球団としてきっちりとした総括と反省が必要だろう。

過去ドラフトの反省を・・・

思えば、この年のドラフトは事前に「即戦力投手の指名が有力」と見られていたが、ドラフト前日に当時の立浪監督が、外野手の度会隆輝(現・横浜DeNAベイスターズ)の1位指名を公表、抽選で負けると、投手の草加勝に舵を切った。2位の指名順はドラゴンズがトップだったため、“実質はドラフト1位”とも言える“13番目に良い選手”を優先的に指名できる有利さがあった。そこで指名したのが内野手の津田だった。

野手が欲しいのか、投手が欲しいのか、この1位指名の迷走を“野球の神様”は見逃さなかったのだろうか。この2年間、金丸夢斗をクジで引き当て、中西聖輝投手を単独指名に成功した。指名全体のバランスの良さも評価できる。やはり球団内での用意周到な準備の賜物だと言っても過言ではない。

現役ドラフトへの注目

バンテリンドーム(2025年6月20日):筆者撮影

外国人選手との契約交渉、そして、12月の現役ドラフトへとチーム編成は向かう。細川成也を最高の成功例として、ドラゴンズは過去3回の現役ドラフトで、補強に成果を挙げている。今回はどの選手を出して、どの選手を獲得するのか。本拠地バンテリンドームには、新たなホームランウイングもできる。さらに2027年からは指名打者(DH)制が導入される。現場の声はあくまでも“参考”として、フロント主導でしっかりとした対応を進めていってほしい。

来季は球団創設90周年を迎える。一昨年の讀賣ジャイアンツ、今年の阪神タイガース、どちらも90周年イヤーにリーグ優勝を果たした。次はドラゴンズの番である。くれぐれも抜かりなき選手補強を進めてほしいと願う秋である。
                                                         
  
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。


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