実りの秋に向けドラゴンズ秋季キャンプスタート!体力をつけ技術を磨け!そして野球脳を身に付けろ!
【ドラゴンズを愛して半世紀!竹内茂喜の『野球のドテ煮』】CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日12時54分から東海エリアで生放送)
来季への飛躍に向け動く竜
10月30日、福岡ソフトバンクホークスが阪神タイガースを4勝1敗で下し、5年ぶり12度目の日本一に輝いたのは記憶に新しいところ。結果はどうあれ、両チームのファンは10月の最後まで野球を堪能できたことにさぞかし満足していることに違いない。そんな中、われらドラゴンズは来季への飛躍に向け、秋季キャンプをスタート。各自が目標を設定して、故障を怖がらず徹底的に体を追い込む姿をファンは楽しみにしているに違いない。今週のサンドラは高知・春野球場、そしてナゴヤ球場二か所で始まった秋季キャンプにスポットを当て、初日の練習内容、そして来季にかける選手の姿を追った!
限界に挑戦

“限界に挑戦しなさい。みんなで競争だよ”井上一樹監督はまさに選手同士のやる気を煽る言葉から始まった秋季キャンプ。選手たちもその気持ちは十分伝わっているようで、初日から目の色を輝かせた。
まずは高知・春野キャンプから。投手陣が続々とブルペン入り。今シーズン最終戦にプロ入り初登板・初先発を果たした草加勝投手は自身の課題であるスライダーとアウトローへのコントロールを意識し78球の熱投を披露。ゲストコメンテーターの荒木雅博さんは“来年でプロ入り3年目。とにかくローテ定着し2桁勝利を目標にがんばってもらいたい”と檄を飛ばす。
草加投手「アウトローとスライダーの2つを意識する中で感覚のズレというか狙ったところに行く数が少ないのでキャンプ後半でしっかり修正していきたい」
と抱負を述べた。
先発ローテ入りを期待されながら今季1試合のみの登板で終わった松木平優太投手。この秋から取り組み始めた新球種カーブを織り交ぜながら50球を投げ込んだ。
松木平投手「アピールしかない。来春一軍キャンプに呼んでもらい、そこでもアピールして一軍定着できるよう頑張りたい」
重ねて“アピール”を強調した松木平投手。残念なシーズンを送ったことに本人自身もかなり堪えているようで、来季にかける気持ちを強く感じさせるコメントとなった。
さらに先輩たちに負けじと高卒ルーキー・高橋幸佑投手もブルペン入り。さらなる高みを目指す。
高橋投手「コントロールもそうですが、球威だったり、ボールの回転だったり、投げる力を鍛えていきたい」
体力向上がこの秋の課題と自己分析。来季投げる舞台をナゴヤ球場からバンテリンドームへ変えるためにもこの秋で一回りも二回りも身体を逞しく変身してもらいたい期待のサウスポーのひとりだ。
無心となって振り込め

野手では打撃不振やケガの影響で今季22試合しか一軍出場できず、思うようなシーズンを送ることができなかった石川昂弥選手がフリーバッティングで柵越えを連発。その後は練習用である1キロのパットを振り込み、初日から無心に追い込む姿を見せた。
石川選手「あの重さのものをあれだけ振り込むことはないのできつかったですね。これを毎日やって完走すれば自信につながる。この自信を来季へのプレーに活かしたい」
と、未完の大砲が口にすれば、竜の忍者・田中幹也選手も重たいバットを振り込んだ。通常より重たいマスコットバットを振り込む利点について荒木さんはこう口にする。
荒木さん「“振る力”をつけたい意図から来ていると思います」
ちなみにこの日石川選手はゆうに800球のスイングをこなしたとか。本人が話す通り、振る力が自信となり、おとなしいイメージから野獣化する“ニュー昂弥”に変わることを今度こそ期待したい。
各自課題に取り組む練習

きつい練習はバッティングだけではない。来季、野球人生を懸ける一年にすると意気込む福永裕基選手はサブグランドでノックを受け、右へ左へ足を動かしての守備練習に終始。ケガに泣かされなければ、今季チームのキーマンと期待された29歳はノックの後、井上監督にボールを転がしてもらい、さらなる追い込みに励んだ。井上監督は次なる標的をルーキー石伊雄太選手に変え、ノックバットを手にし、一時間を超える地獄ノックを繰り広げるハッスル振りも披露した。
時刻が夕方5時を過ぎてもメイングラウンドではバットの快音が響き続けた。鵜飼航丞選手、村松開人選手のふたりがロングティーの個別練習。バットを振って、振って、そしてまた振り込む。
最高気温22度。つめかけた観客数は約400人。キャンプ初日を終え、井上監督は感想を述べた。
井上監督「2026年シーズンの戦力として“その中にオレは絶対入ってやる”という気持ちを持ってもらいたい。“高知キャンプからアイツは伸びたね”と、“凛々しくなったね”“逞しくなったね”という形をそれぞれが作ってほしい」
新参謀の秋

一方、ナゴヤ球場でも秋季キャンプが幕開け。ストップウォッチを片手に声をあげる嶋基宏新ヘッドコーチの姿が。岐阜県海津市出身。憧れのドラゴンズ、そして幼少期から慣れ親しんだナゴヤ球場には感慨深いモノがあるようで、張りのある声を響かせていた。来年は球団創設90周年という節目の年。“嶋が来てくれてよかった”と言ってもらえるシーズンにしたいと願う新ヘッドコーチのお手並みを早く拝見したいところだが、まずは選手ひとりひとりの個性の把握から開始。コミュニケーションを取りたいためまずは“じっくり見る”ことにこだわり、選手への直接指導についてしばらくは封印の様子。来春キャンプを待ちたい。
侍ジャパンのメンバーである高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)、金丸夢斗両投手は初日から元気な姿を見せた。高橋投手はブルペンで変化球を織り交ぜながら約30球を投げ込み、金丸投手はブルペン入りせずキャッチボールで汗を流し、11月6日から始まる侍ジャパン強化合宿に向け調整を進めた。
そして全体練習終了後には根尾昂投手がブルペン入り。来季勝負の8年目、荒木さんの根尾評は?
荒木さん「昨年と比べ、今年はピッチャーらしいボールになってきました。来年へのレベルアップを期待したいですね」
野手陣ではソフトボールを使用してのトスバッティングが目についた。この意図について荒木さんは“重たいバットでの練習同様、ボールに押し込まれないようはじき返す練習”であるとコメント。数多なるユニークな練習が打力向上につながっていくことをぜひとも期待したい。
忘れられない秋に
初の高知キャンプとなるドラゴンズ。荒木さん曰く、名古屋で球場に行って自宅に戻るキャンプよりも、ホテルに泊まり、球場に送迎してもらって限界まで体を動かす、それを繰り返し毎日行い、体を作り上げる方が選手にとっては良いはずと断言。投手10人、野手13人の少数精鋭。しかしそこに選ばれた喜びを心に秘め、忘れられない秋にしなければならない。限界を超えるくらいしっかりと体を苛め抜き、そして課題に取り組む。ブラッシュアップされた技術に加え、どうすれば勝てるか、どうすれば打てるのか、そしてどうすればチームは勝てるのか。たっぷりある時間の中で野球脳のレベルアップを図ってほしい。その答えを来春キャンプに披露し、一軍の戦力としてひとりでも多く名乗りが上がるよう、野球漬けに徹してもらいたい。好きな野球でお金がもらえる幸せを一年でも長く続けるために、そして多くのドラファンに喜んでもらえるために。キャンプに参加した選手全員が充実した秋となるよう、そう願うばかりである。
がんばれ若竜!
がんばれドラゴンズ!
燃えよドラゴンズ!
竹内 茂喜









