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“守護神”松山が咆えた!“沢村賞”大野が魅せた!~井上竜2025総括(投手編)

“守護神”松山が咆えた!“沢村賞”大野が魅せた!~井上竜2025総括(投手編)
井上一樹監督(C)CBCテレビ

3年連続最下位という、球団史上でも最悪の低迷状態からの逆襲をめざす中日ドラゴンズ。新たに井上一樹監督が指揮を取った2025年(令和7年)ペナントレースが終わった。結果は4位と最下位は脱出したが、多くの課題が浮き彫りにもなった。新生・井上竜1年目の戦いをふり返る。今回は“シン・守護神”誕生の「投手編」。(敬称略)

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宏斗の序盤戦は大誤算

高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

井上新監督の1年目は、打線でも大きな誤算があったが、投手陣では高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)だろう。2024年(令和6年)シーズンは、12勝4敗、防御率は1.38の“無双”状態で、最優秀防御率のタイトルも手にした。今季は、本格的に“エース道”を歩むシーズンであり、初の開幕投手にも指名された。しかし、なかなか勝てない。

5月2日に2勝目を挙げてから、実に2か月も勝ち星がなく、7月末にようやく3か月ぶりに3勝目にたどり着いた。シーズン最終盤では、奪三振のタイトル争いをするまでに復活したが、8勝10敗は本人としても納得していないだろう。

ルーキー金丸の勝ち星遠く

金丸夢斗投手(C)CBCテレビ

高橋宏斗と共に「宏斗と夢斗」として、大きな注目を集めたのが、ドラフト1位のルーキー、金丸夢斗だった。4球団が競合した逸材は、その評価に偽りなく、5月のゴールデンウィークに1軍デビューすると、毎試合のように好投を続けた。

しかし、竜打線は毎試合のように沈黙して、金丸に十分な援護点を与えることができなかった。15試合に先発して2勝6敗。もし、打撃が好調なチームに入団していたら、勝ちと負けの数が逆どころか2ケタ勝利も夢ではなかったのではないか、と金丸には申し訳ない思いでいっぱいの竜党も多かったのではないだろうか。

大野雄大、これぞエースの活躍

大野雄大投手(C)CBCテレビ

そんなモヤモヤを吹き飛ばしてくれたのが、背番号「22」、15年目のベテラン、大野雄大の活躍だった。沢村賞に輝いた頃の速球は少なくなったが、コースを丹念につくコントロールと、打者との駆け引きには円熟味が加わった。おととしは0勝、去年は2勝だったが、最優秀防御率や最多奪三振のタイトルを取った2020年(令和2年)以来、自己最多となる11勝を挙げた。

チームの連敗をことごとくストップしたことも評価したい。高橋宏斗が「エース」の座を前に足踏みしている中「これがエースだ!」と、大野が見せつけてくれた。

松山の“奮投”こそ竜の宝

松山晋也投手(C)CBCテレビ

この投手抜きに、井上ドラゴンズの2025年シーズンは語れない。松山晋也である。育成選手として入団して3年目、讀賣ジャイアンツに移籍したライデル・マルティネスに代わって、抑え投手(クローザー)になった。正直、マルティネスが抜けた穴は大きいと思われたが、それを埋めて余りある大活躍だった。何より「絶対に抑えてやる!」という気迫こもったマウンドが魅力的だ。右ひじのケガで1か月ほど離脱したものの、リーグのタイ記録である46セーブを挙げて、元・同僚のマルティネスと共に最優秀救援投手に輝いた。

見事としか言いようがない。そして、マルティネスがいた昨季までも同じだが、これだけの強力なクローザーを有しながら、優勝争いに加われないドラゴンズというチームの、深刻な弱さを痛感してしまう。「優勝するチームで投げたい」とドラゴンズを去ったマルティネスの気持ちが、分からないでもない。悔しいけれど。

待ったなし!先発陣の再整備

長く「投手王国」という代名詞が似合っていたドラゴンズだが、先発ローテーションには大いなる課題がある。今季の前半戦は、松葉貴大が大車輪の活躍で支えたものの、松葉もベテランの域に入る。7勝目を挙げて以来、後半戦は1勝もできなかった。大野雄大、柳裕也、そして涌井秀章らベテラン勢が、来季どこまで投げられるかは未知数である。

高橋宏斗と金丸夢斗、この左右の好投手がローテーションの柱になることは間違いないが、もう2枚でも3枚でも、しっかりした先発投手が必要だろう。パ・リーグで連覇を果たした福岡ソフトバンクホークスには「10勝カルテット」と称される4人の先発投手がいた。竜投手陣の最重要課題だろう。

「投手王国」再建への道

今シーズンの戦いを見守ってきて、投手交代のタイミングやリリーフの登場順が気になった場面が度々あった。投手コーチがマウンドへ行くタイミングも「おや?」と思ったことも多かった。せっかく、松山という日本を代表するクローザーが誕生した今、投手陣の顔ぶれ、さらに、教える側のコーチングスタッフ含めて、しっかりとした検証、そして、必要ならば入れ替え含めた、抜本的な再整備は必要だろう。

気の早い話だが、来年の開幕戦のマウンドに立つのは、宏斗か夢斗か。ひょっとしたら、この2人を差し置くような投手が登場するか。それがギリギリまで決まらないような、そんな楽しみな投手陣の構築に期待したい。
                        
                     【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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