「辛みに強い人&弱い人」の差は舌の細胞の数にある!?激辛メニューの攻略法も伝授
激辛ラーメンで検証!どの辛さレベルまで食べられる?
今回ギモンを寄せた藤原千佐子さんは、辛いものが苦手。寿司はわさび抜き、サンドイッチはからし抜き、カレーは甘口でなければ食べられませんが、弟さんはキムチ鍋が大好き。姉弟間でも違いがあるため、今回調査依頼を出しました。
まずは、辛いものが平気な人と苦手な人の差を調べるため、辛いものが苦手な番組スタッフを連れて辛い料理が楽しめる「台湾ケンさん」へ。数々のピリ辛メニューのおいしさのポイントが、台湾ミンチです。これをたっぷり乗せたのが「黄金の台湾メン」で、辛さが4種類あります。
4種類の中で一番辛くないのが辛さレベル1の「味変」で、辛いのが苦手な人や子どもにもおすすめ。最上級の辛さ「地獄」は、パンチのある台湾辛味を3杯入れた中に、極辛のカプサイシンソースを加え、鶏ガラベースの黄金スープに唐辛子パウダーをたっぷり散らした危険な辛さです。
番組スタッフは、レベル2の「辛旨」でギブアップ。辛いものが得意な中山調査員は、迷わず辛さレベル4の「地獄」を注文しましたが、食べ進めるうちに…。
(中山調査員)
「徐々に、徐々にきたよ汗。急に舌が痛くなってきた」
中山調査員は、レベル4「地獄」の途中でギブアップする結果となりました。
辛さは「味覚」ではなく「痛覚」!辛みセンサーとは?
辛さについて研究している人がいると聞き、愛知県岡崎市にある自然科学研究機構生理学研究所へ。辛み成分の研究でノーベル生理学・医学賞の受賞にも貢献した、細胞生理研究部門の富永真琴教授に、人によって耐えられる辛さが違う理由を尋ねました。
(生理学研究所・富永真琴教授)
「辛さを敏感に感じるかどうかの違い。敏感に感じる人は辛いものが苦手、鈍感な人は辛いものが得意。人には辛みを感じる辛みセンサーがある」
富永先生は27年前、カリフォルニア大学の研究チームで“辛みセンサー”を発見。教授のデビッド・ジュリアス先生は2021年に、この研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
実は、辛みという味覚はありません。人が感じる味覚は、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つで、この中に辛みは入っていません。
(生理学研究所・富永真琴教授)
「辛みは、痛みに似た感覚。辛みセンサーは舌の奥の三叉神経にある」
甘味や塩味などの味覚は、舌の表面の「味蕾」と呼ばれる器官を通り、味覚神経から脳へ伝わります。一方、辛みは別のルート「三叉神経」とつながった部分で感じとられるのです。
(生理学研究所・富永真琴教授)
「辛みセンサーの数が多い人は、辛いものが苦手。数が少ない人は、辛いものが得意」
ギモンを投稿してくれた藤原さんが姉弟で辛さの感じ方が違ったのは、お酒の強さが兄弟でも違うように、辛みセンサーの数も多い場合と少ない場合があるのではないかということでした。
冷まして食べれば辛くない!辛みを消すには水より冷えた乳飲料
富永先生いわく、辛みセンサーは「温度」とも関係しているといいます。
(生理学研究所・富永真琴教授)
「辛みセンサーは43度以上の温度で活性化する。熱くて辛いキムチ鍋は、より辛いと感じる」
温度による辛さの感じ方の違いを検証するために、中山調査員と番組スタッフで再び「台湾ケンさん」へ向かいます。今度は、しっかり冷ましたスープで、中山調査員がギブアップした台湾メンの辛さ最上級「地獄」を特別に作ってもらいました。温度は、約42度です。
(中山調査員)
「麺、全然辛くない」
通常温度のレベル4「地獄」では、痛みを感じるほど激辛だったのに、42度では麺をすすることもできました。番組スタッフも、断念したレベル2「辛旨」を冷ました状態でリベンジすると、難なく完食。
最後に、辛みを感じたときに水を飲むより早く取り除ける方法を教えてもらいました。
(生理学研究所・富永真琴教授)
「冷たい牛乳を飲むと、より早く舌の中に入っていったカプサイシンを取り除くことができる」
理由は、辛み成分カプサイシンを含む唐辛子は油と一緒になっていることが多いため、油は同じ油である乳脂肪で落とすのが一番なんだそう。そのため、食後のアイスクリームや、カレーといただくヨーグルト飲料のラッシーも理にかなっているというわけです。
今回の報告は、「辛いものが平気・苦手は、その人が持つ「辛みセンサー」が影響し、辛さを感じにくくするには、冷まして食べるといい。辛さを感じたときは牛乳やアイスも有効です」という結果になりました。
CBCテレビ「チャント!」3月1日放送より