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コメ作りに革命⁉ AI・ドローンを驚き活用 元エンジニアの農家が取り組む“スマート農業” 「人の力には限界がある」

コメ作りに革命⁉ AI・ドローンを驚き活用 元エンジニアの農家が取り組む“スマート農業” 「人の力には限界がある」

コメ作りの安定化が課題の中、IT技術や最新AIを駆使して「持続可能な農業」を目指す元エンジニアの男性がいます。経験や勘に頼らないコメ作りとは。

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【動画】田んぼを空から解析!?“エンジニア農家”がドローンで高低差を測る様子はこちら 【5分21秒~】

三重県津市大里睦合町。平安時代からコメ作りを続けてきたこの集落で、先端技術を活用するのは、創業10年の農業法人「つじ農園」。

肥料や農薬を散布するドローンをいち早く導入し、10アールあたりの作業時間を4割近く削減することに成功。経験や勘に頼らない、いわゆる「スマート農業」を実践しています。

(つじ農園 代表取締役・辻󠄀󠄀武史さん)
「今の農業で本当に求められているのは、高い生産性。付加価値をどうやって高めていくか」

社長は元エンジニア ノウハウを「コメ作り」に

1台200万円程度はかかる農業用ドローンの導入コストを削減するため、他の地元農家と共有で使うシェアリングサービスを提案するなど、地域の農業全体の底上げも実践し、表彰も受けています。

社長の辻󠄀さん、以前はエンジニアでした。それも、ロケットやレース用の自転車に使われる、超高精度の工業部品で知られるメーカーに勤めていたのです。

(辻󠄀さん)
「(エンジニア時代に)経験したノウハウを地域や食に使いたかった。コメ作りに興味があった。地形を活かしながらダイナミックに『ものづくり』ができる」

ネット販売でも即完売…オリジナルブランド「たらふく」

元はこの集落の出身で、父親も兼業農家の辻󠄀さん。衰退する農業の活性化を目指し、コメ作りの世界に飛び込んだのが10年前。耕作放棄地を買い取って、耕作面積を約30ヘクタールに拡大。

エンジニア時代自ら販路も拡大していた辻󠄀さんは、農協を通さない直販にしたほか、完全有機栽培のオリジナルブランド「たらふく」を開発。

今はネット販売でもすぐに売り切れるほどになりました。

会議にAI導入…総括から課題提示も

この日は、ことしの収穫を振り返る会議。ある技術を初めて導入すると言います。

(辻󠄀さん)
「なんか手を打たないといけない。(会議を)AIに聞かせている。ことし初」

(社員)
「手間は手間ですけど、(田んぼの)高低差は改善されるのかな?」
「除草剤のタイミングはどうだったのか?もっと早く入れるべきだったということ?」

1時間ほど社員それぞれが、意見を出し合います。いつもは何となく「来年も頑張ろう」程度で終わっていましたが、最新のAIがこの音声とデータを解析。導き出された答えは…

ことしの総括は「明暗が分かれた」というもの。総生産量は平年並みでしたが、品種によっては生産量や品質の低下が提示されました。課題は「水不足・雑草・カメムシなどの害虫対策・苗の質」の4つ。

(辻󠄀さん)
Q.(AIが課題を)気づかせてくれる?
「そう。重要な事は面倒くさい事なので、人間は面倒くさい事を後回しにしてしまう」

AIが提案した改善法は?

来年の作付けでは、雑草や水の管理、さらに栽培スケジュールの前倒しを即座に提案。

(辻󠄀さん)
「実施した記録に基づいて改善するというのは、エンジニアリングの基本。どういう規模であっても、やってしかるべきと考えている。『ものづくり』をしている限り」

Q.(AIを導入した会議を)理解していますか?
「あんまり理解できていない。私たちの時代とは全然違う。これが普通になってくるよ」

すべてはより良いコメ作りのため。これまで農業と縁遠かったあらゆる最新技術を取り入れるつじ農園。

「人の力には限界がある」データ収集もドローン活用

社長の辻󠄀さんは、その足で小型のドローンを持ち出し、刈り取りの終った田んぼで飛ばしました。

(辻󠄀さん)
「田んぼの(地面の)高さの違いを見ています。人の力で測定する場合は、各ポイントを1か所ずつ測量していくしかない。1つの田んぼで凄く時間がかかる。(人の力には)限界がある」

いまの時期にしか取れないというデータの分析を行うためです。

色分けされたのは「地面の高さ」。青くなるほど低い事を示しています。映像から分かるのは、1つの田んぼの中で高低差があること。これだと水の深さが変わるため、場所によって稲の生育に差が出る可能性があるといいます。

「昔の経験が通用しない場面が…」

三重大学と共同で行うこの研究、収穫量と品質をさらに上げる取り組みです。

(三重大学 大学院生物資源学研究科・関谷信人教授)
「地球温暖化がものすごく進行してきている。昔の経験が通用しない場面が出てくる。(農業を)データ化してできれば“見える化”したい。なるべく簡単に微生物の活動を見てみたい」

研究では、水の深さが変わると稲の生育を左右する、地中の微生物の活動に差が出ることも分かりました。収穫を増やすため、辻󠄀さんは来シーズン田んぼの中の高さを揃える方針です。

(辻󠄀さん)
「生産者だけで農業が完結するものではない。周辺の産業や知見・技術を合わせて“食べ物”をつくるという行為なので、そこが農業の一番面白いところ」

価格高騰に担い手不足と、課題だらけの日本のコメ作りを、誰でも結果を出せる持続可能なビジネスに。その挑戦が続きます。

CBCテレビ「newsX」2025年12月10日放送より

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