CBC web | 中部日本放送株式会社 / CBCテレビ / CBCラジオ

MENU

井上竜の開幕1か月を検証する「ドラゴンズはこんなに弱くなっていたのか!」

井上竜の開幕1か月を検証する「ドラゴンズはこんなに弱くなっていたのか!」
井上一樹監督(C)CBCテレビ

長きにわたる低迷は、これほど重いものなのか。2025年(令和7年)ペナントレースも開幕から1か月がたった。井上一樹新監督の下、3年連続最下位からの逆襲を狙う中日ドラゴンズ。ケガ人も多い中「健闘している」という見方もあるものの、チーム全体の脆さ(もろさ)は解消されていない。(敬称略)

関連リンク

【動画】近藤廉が支配下復帰後、初登板!力強い球で空振り三振に!【2分33秒~】

開幕ダッシュは失敗

シーズン前に、筆者のコラムでは、新生・井上ドラゴンズについて「開幕ダッシュ」と「大化け選手の登場」を願った。まず開幕ダッシュだが、今季もそれはかなわなかった。ここまで23試合を戦い9勝12敗2分の負け越し3で、同率4位。最下位の東京ヤクルトスワローズともゲーム差なしの状態で、新チームの勢いは開幕直後に加速できなかった。(成績は4月27日現在)

井上構想に誤算が生じた

福永裕基選手(C)CBCテレビ

ひとつの理由は、ケガ人の多さである。新外国人選手のジェイソン・ボスラーと、背番号「7」に変わって「3番・セカンド」を期待された福永裕基が開幕に間に合わなかった。福永と共に、新二遊間を期待された村松開人も、4月23日の東京ドームの試合で右脇腹を傷めて、登録を抹消された。井上監督が就任直後から思い描いていた期待の二遊間「セカンド・福永とショート・村松」は、2人とも1軍から姿を消した。さらに、新チームの「4番」を任された石川昂弥も期待にはほど遠く。その座を離れて現在は2軍である。打線にとっては、大いなる誤算が続いた。

打てないのはなぜなのか?

井上一樹監督と松中信彦コーチ(C)CBCテレビ

その結果、長年の課題である“点が入らない”打線の問題は、依然として解決されていない。ここまでのチーム打率は2割6厘と、つい先日までは12球団で唯一の1割台だった。得点数46はリーグ最少であり、ホームランの数も7本と同数ながらリーグで最も少ない。讀賣ジャイアンツは17本である。監督も代わった。指導する打撃コーチも入れ替えがあった。そして、出場する選手にも新しい顔が加わった。それでもドラゴンズが“打てない”のはなぜなのだろうか。「ここまで弱いチームに成り下がっていたのか」と竜党のため息は深く重い。

メンタル面の指摘もあるが・・・

「あと1本が出ない」打線について、メンタル面の問題を指摘する評論もある。しかし、かつて落合博満さんが現役選手時代に常々語っていたように「日本に12しかない会社(プロ野球チーム)に選ばれた社員(選手)」なのである。秀でたものがあるからこそプロへの扉が開かれて、野球を“生業(なりわい)”としているのである。精神的に弱くて「チャンスに打てない」などと、甘えてもらっては困る。結局はとことん練習して、自分自身で打撃技術を磨いていくしかないのである。

大化け選手は2人の「松」だけ

開幕前に願ったもうひとつは「大化け選手の登場」だが、こちらも期待を裏切っている。むしろ、マイナスの方向に化けてしまっている選手が目立つ。開幕投手だった高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)しかり、石川に代わって「4番」を打つ細川成也しかり、この投打の中心に、昨季のような勢いが見られない。

松葉貴大投手(C)CBCテレビ

そんな中「大化け」しつつあるのは投手の2人、松葉貴大と松山晋也だろう。先発しても「ドーム球場で5回限定」と立浪和義・前監督時代に起用されてきた松葉は、今やローテーションの軸となり、長いイニングを投げている。4月26日のゲームは、あわやプロ入り初完封かという大好投を見せた。勝利数は4勝と12球団でもトップである。ライデル・マルティネスに代わって抑え投手をまかされた松山も、ここまでチームの全勝利を締めくくる9セーブを挙げている。そろそろ打撃陣にも「大化け」選手が出てきてほしい。

明るさと元気を忘れていないか

金丸夢斗投手(C)CBCテレビ

ドラフト1位ルーキーである金丸夢斗の1軍デビューも期待されるなど、5月攻勢への明るい話題もある。しかし、開幕1か月の戦いを見て最も気になるのは、春季キャンプから井上竜が見せてきた“明るさと元気”がどこか失われていることである。それがアピールポイントだったはずだ。長年低迷するチームからの脱却は、並大抵なことではないだろう。今季はもがき続ければいい。試行錯誤すればいい。ただ、勝っても負けても、井上ドラゴンズにはスローガン通り「ポジティブ」でいてもらいたい。「病は気から」という言葉があるが、今こそ「勝利は元気から」だと再確認してほしい。

チームが東京ドームで連敗していた頃、本拠地のバンテリンドームでは、サザンオールスターズが全国ツアーのライブを行っていた。ステージの締めくくりで、桑田佳祐さんは「フレー、フレー、名古屋!」に続いて「頑張れ、頑張れ、ドラゴンズ!」と会場全体を巻き込んで叫んでいた。サザンにまでエールを送られる現状の井上ドラゴンズ。まずは正念場の9連戦を、どうか明るく元気に勝ち抜いてほしい。
                                                            
                     【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。

この記事の画像を見る

オススメ関連コンテンツ

PAGE TOP