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“石川4番”構想は頓挫、井上ドラゴンズ開幕ダッシュ失敗の現状と打開策は?

“石川4番”構想は頓挫、井上ドラゴンズ開幕ダッシュ失敗の現状と打開策は?
石川昂弥選手(C)CBCテレビ

我慢比べは、開幕13試合でいったん終わった。ドラゴンズの井上一樹新監督は、攻守に精彩を欠く石川昂弥を、開幕から起用し続けてきた「4番」の座から外すと共に、打順を変えるなどせずに、いきなり2軍での再調整に踏み切った。リーグ5球団との対戦を終えて、ドラゴンズは5勝7敗2分、最下位である。(敬称略)

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元気のない背番号「25」

石川昂弥選手(C)CBCテレビ

新生・井上ドラゴンズの「4番」石川昂弥は、2025年(令和7年)4月12日の13試合目まで全試合に出場した。52打席に立ち、安打はわずか8本で打率1割6分。打点は3、期待されるホームランは1本も出ていない。打てないだけではなく、石川本人が力を入れていると語った守備面でも元気がなかった。

直前の広島東洋カープとの3戦目をバンテリンドームで現地観戦したが、守っている三塁への打球の処理もどこか緩慢で、それが失点へとつながっていった。スタンドで応援する側としても、背番号「25」を包む重苦しい空気を肌で感じていただけに、「4番」からの降格はやむなしだった。(成績は4月13日現在)

石川いきなり2軍行き

打順を下位にするとか、ベンチに置いて代打で起用するとかをせずに、いきなり2軍への降格には驚いた。それも甲子園の遠征先であり、阪神タイガースとの3連戦の最中だったからである。「石川の4番」起用を早くから明言して「自分の信念。我慢比べ」と語っていた井上監督だけに、思い切った決断だった。それだけ「4番」がチームに与える影響は重大だと判断したのであり、それは石川を4番に起用した自らへの責任の表れでもあった。

石川を降格させて、代わりに急きょ2軍から招集した高橋周平がサードを守って、いきなり活躍しチームも勝利、甲子園球場で昨季から続く連敗を11で止めた。カンフル剤はとりあえず成功した。

狂いが生じたクリーンアップ

福永裕基選手(C)CBCテレビ

打線について、井上構想はペナントレース開幕前から大きく揺らいだ。春季キャンプの早い段階から「3番・福永裕基、4番・石川昂弥、5番・ジェイソン・ボスラー」というクリーンアップが念頭にあったはずだ。しかし、福永とボスラーがケガなどで開幕に間に合わず、そして、石川も4番を外れることになった。それをカバーする選手も登場しないまま、打線の勢いは低迷し続けている。

チーム打率、得点、ホームラン数、すべてがリーグ最下位であり、相変わらず「あと1本」が出ない竜打線に、ファンのストレスも溜まり続けている。井上監督の言う「我慢比べ」の最初の節目が13試合、これが早いか遅いかは、シーズンこれからの戦いが証明してくれるだろう。

ポジティブな明るい要素

逆襲をめざす新チームの象徴だった“石川4番”が頓挫した。しかし、「どらポジ」というスローガンに沿って“ポジティブ”な見方をすれば、明るい要素も多い。打線で言えば、送りバントなどの犠打の数、さらに盗塁の数も、リーグでは上位であり、点を取るために果敢に仕掛けている姿がある。

高橋宏斗投手(C)CBCテレビ

投手陣については、初の開幕投手だった高橋宏斗(※「高」は「はしごだか」)が予想外に苦しんでいるものの、6人による開幕ローテーションはきちんと維持されている。チーム防御率2.28はリーグ1位どころか、12球団でもトップである。リリーフ陣は豊富であり、移籍したライデル・マルティネスの代わりにクローザーを務める松山晋也も、失点は許すものの5セーブを挙げている。リーグトップである。

井上新監督への願い

井上一樹監督(C)CBCテレビ

ひとつだけ気になることがあるならば、井上監督が時おり口にする“弱気な”言葉である。ブライト健太の決勝ホームランで打撃戦を制した神宮球場での試合後、選手を讃えながら「俺がネガティブになりそうになっていた」と語った。指揮官による本音の吐露は、ある意味では効果的だが、井上監督には“鉄壁のポジティブ”を貫いてほしい。

沖縄での春季キャンプから“明るく元気”だったドラゴンズが、最近どこか昨季までのムードに戻ってしまっているように感じる時がある。「活躍した選手にはチャンスを与える」そんな積極的なバトルは続いているはずであり、そのためにも監督には“ポジティブの象徴”として戦ってもらいたい。

3年連続最下位という低迷からの脱出は容易ではないだろう。新監督もチームも、試行錯誤をすればいい。ジタバタすればいい。シーズンの戦いはまだ10分の1が終わったばかり。ポジティブに戦う挑戦者である限り、ファンとしても全力で応援し続ける。
                          
  
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。

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