トカラ列島近海で発生する群発地震。専門家に聞く「南海トラフ地震」との関連性

鹿児島県のトカラ列島近海を震源とする地震が、依然として続いています。6月21日に始まった震度1以上の揺れは1,700回を超え、今月3日には悪石島で最大震度6弱を観測。この地震により崖崩れや落石がありましたが、今のところはケガ人は報告されていません。しかし、地元住民は島外避難を余儀なくされていて、住民の生活への影響が続いています。7月11日放送『CBCラジオ #プラス!』では、名古屋大学減災連携研究センター長の鷺谷威先生に、今回の地震について天野なな実と竹地祐治アナウンサーが尋ねます。
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トカラ列島は鹿児島県の南にある離島で、屋久島と奄美大島の間に点在している小さな島の集まりです。
今回の地震は群発型といわれますが、どのような特徴があるのでしょうか。
鷺谷先生「みなさんが割合印象があるのが、大きい地震がドーンと来てその後に余震が続く、こういうのは本震・余震型といいます。
この場合ですと最初に大きいのがあって、だんだん時間の経過とともに活動が収まっていくんです。
群発地震というのは一番大きい地震がどれかってあまりよくわからないぐらい、同じぐらいの地震がずっとそれなりの期間継続することがあるんですね。
最近ですと、能登半島で昨年のお正月に大きな地震がありましたけど、その前3年間ぐらい能登半島のあたりでは群発地震が続いていたりとか」
また、火山地域でも群発地震が時々起こることもあるそうです。
今回の地震の原因は?
地震が起こるメカニズムとしては、プレートの下にプレートが潜り込み、溜まったひずみを解消しようとして跳ねる時に起きると言われます。
今回の地震はひずみの解消とはまた異なるものなのでしょうか?
鷺谷先生「地震が起きるというのは、何らかのひずみの解消が起きていることにはなるんですけど、正直言いますと、今回のトカラ列島の地震は専門家もあまり正体がよくわかっていないんですね。
というのは、非常に情報が少ない。
そもそも島が点々とあるだけですので、観測もあまり行われてなくて震源が何とか決まってるぐらい。
最近になって少しGPSで地殻変動の観測データが報告されてきましたので、ようやく断片的に情報が得られてきたところなんです。
それらを総合しますと、可能性としてはちょっと火山性の地下にマグマが入り込んでいて、それが動くことで群発地震を起こしてる可能性が高いかなと見ております」
1年以上続く場合も
トカラ列島ではこれまでも群発地震は起きていました。
しかし、今回は特に規模が大きく長時間続いているものとなっています。
群発地震そのものは年単位で続くこともあり、例えば過去にも長野県の松代や伊豆半島などで起きています。
マグマや地深部から上がってきた水が動き回ることで割れ目ができ、それが地震につながって長期間継続し、場合によってはそれがマグニチュード5、6クラスの大きな地震が起きることもあるそうです。
南海トラフ地震との関連性は?
気になるのは、今回の地震が南海トラフ地震に関連するのかどうかということ。実際に関連性はあるのでしょうか?
鷺谷先生「今回起きているのは、フィリピン海プレートが沈み込んでいく地域にあたるんですけれども。
そのプレートの境界ではなくて、そこから西側にずれた陸側、大陸のほうからつながってくるプレートの一部の中で起きてますので、南海トラフの地震とは直接は関係しないだろうと考えております」
今後もトカラ列島の群発地震がどれぐらい続くのか不明ですが、南海トラフ地震のこともありますので、やはり地震への備えは普段から行っておく必要があるようです。
(岡本)
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