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竜4連勝!4番・細川成也の一撃で思い出す「4番・落合」真夏の決勝ホームラン

竜4連勝!4番・細川成也の一撃で思い出す「4番・落合」真夏の決勝ホームラン
細川成也選手(C)CBCテレビ

「起死回生」とは、危機的な状況から一気に挽回することという意味である。福島での試合で、中日ドラゴンズの4番・細川成也が放った一発は、まさに「起死回生」のホームランとなった。その後チームは4連勝である。(敬称略)

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土壇場での逆転3ラン

細川成也選手(C)CBCテレビ

舞台は「ふくしま県営あづま球場」。2025年(令和7年)7月9日。讀賣ジャイアンツ相手に0対2とリードされ、9回表のマウンドには、昨季まで同じユニホームを着ていたライデル・マルティネスが立った。前夜は2点リードの9回裏に、悪夢とも言える逆転負け。この夜も強力なクローザーであるかつての同僚を前にして、重苦しい空気がドラゴンズベンチを包み込んでいた。それは応援するファンとて同じだった。2死2、3塁とマルティネスを攻めながらも、正直「負け」も覚悟していた時、細川のバット一閃、打球はレフトスタンドに飛び込んだ。

ついにマルティネスを打った

「優勝するチームで投げたい」という言葉を残して、マルティネスは“宿敵”ジャイアンツへと去った。そんな彼を打ち崩すことを、竜党として夢見てきた。しかし、それは同時に「リードを許した局面でマルティネスがクローザーとして登場する」ことであり、敗戦リスクの可能性も高い。それだけに、細川が打った逆転3ランは、本当に嬉しい一発だった。目の前に打球が飛び込んできたレフトスタンドのドラゴンズファン、まさに狂喜乱舞状態だった。ノックアウトされて、巨人ベンチでうなだれるマルティネスの姿に、溜飲ならぬ「竜飲」が下がる。心の余裕も生まれ、わずかだが惻隠の情(そくいんのじょう)まで動いたほどだった。

その勢いで本拠地3連勝

細川成也選手(C)CBCテレビ

ジャイアンツに逆転勝ちし、本拠地バンテリンドームへ戻っての広島東洋カープとの3連戦は、代打・板山祐太郎の勝負強さあり、大野雄大の完投勝ちあり、ジェイソン・ボスラーのサヨナラヒットあり、一気に3タテして4連勝となった。チームを乗せたきっかけは、間違いなく福島で細川が打った逆転3ランホームランである。その勝ち試合だけではなく、5位に低迷する井上竜の戦いにとって「起死回生」となった。あらためて「4番」という立場の大きさを痛感した。

細川の激打は昨季もあった

細川成也選手(C)CBCテレビ

細川の「起死回生」のホームランは、昨シーズンの開幕当初にもあった。開幕3連戦を戦って12球団唯一勝ち星がなかった立浪ドラゴンズ、4試合目となったバンテリンドームで、延長11回裏に、細川が左中間にサヨナラホームランを打った。この時の細川の打順は「5番」だったが、相手は今回と同じジャイアンツだった。やはり相手が巨人だと、応援するファンとしても大いに燃える。

落合による伝説の逆転3ラン

まもなく球団創設90周年を迎えるドラゴンズ。ジャイアンツ相手に、数々の劇的なホームランの思い出も多いが、何と言っても“4番の一振り”を見せつけたのは、落合博満だった。1989年(平成元年)8月12日、場所はナゴヤ球場。マウンドの“巨人のエース”斎藤雅樹は、9回1死までノーヒットノーランを続けていた。何とか1点を返した後の1対3の場面で、「4番・落合」は、斎藤のストレートを右中間スタンドに運んだ。ほんの一瞬だけ“バットにボールを乗せる”ような、いかにも落合らしい右方向へのホームランだった。大歓声の球場。ゲームは4対3で、ドラゴンズがサヨナラ逆転勝ちした。今もファンの間の“語り草”である。

“一球の怖さ”と落合采配

この時の真夏のジャイアンツ3連戦は、ドラゴンズが3連勝した。やはり4番打者の一発は「起死回生」につながる場合が多い。そして、それが「4番」に座る打者の使命でもある。一球で仕留める。その“一球の怖さ”を斎藤に示した側の落合自身も、それを体感したのであろう。

巡り巡って2007年(平成19年)に、ドラゴンズ監督として日本シリーズに臨んでいた落合は、完全試合を続けていた山井大介を9回表に“絶対的な守護神”だった岩瀬仁紀に交代した。ドラゴンズは日本一を果たしたが、大記録を前にしての投手交代は、大きな議論を巻き起こしたのだった。交代の背景は様々語られているが、落合自身が打った、あのサヨナラ3ランと結びつける見方もある。一球は怖い。それは「起死回生」として継続していくからだ。

4番・細川成也の「起死回生」弾、4連勝の勢いはどこまで続くのだろうか。舞台は甲子園球場へ移り、首位を独走する阪神タイガースとの3連戦である。懐かしいホームランの思い出話をした流れで、少し古い表現をするならば「鯉(カープ)を釣った後は、虎(タイガース)退治を」。勝てる時は徹底的に勝ち続けてほしいと願う。
                                                            
  
【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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