あんかけスパの名店「ヨコイ」元々はイタリアンだった？大人気メニュー！ミラカンの誕生秘話とは？

2023/10/25 17:07

太田×石井のデララバ

名古屋めしマニアの裏話

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太めのスパゲッティに大きめに切られた具材や揚げ物、そしてスパイシーなあんかけがかかった名古屋名物「あんかけスパ」。今回はあんかけスパゲッティの元祖とされている「ヨコイ」の知られざる歴史と魅力に迫っていきます。

始まりは1959年。日本にイタリアンを根付かせたいという思いから

ヨコイの創業者はその名の通り横井博氏（以下横井氏）。名古屋国際ホテルの洋食部門で腕をふるうシェフでした。

1959年ごろ、まだ馴染みがなかったイタリアンとスパゲッティをどうしたら日本に広められるのだろうと考え始めたのがきっかけ。自身の得意とするデミグラスソースと、イタリアパスタの定番であるミートソースをアレンジすることで、それを実現できないかと試行錯誤を繰り返し、約2年の時を経て現在のあんかけスパゲッティを完成させました。

1961年にはホテルを退職し、親類との共同出資のもと名古屋市東区に「スパゲティハウスそーれ（現在のそ〜れ）」を開業。さらにその2年後、横井氏が独立し、名古屋市中区に「スパゲッティハウスヨコイ」が誕生しました。

当初はピザをはじめとするさまざまなイタリアンを提供していましたが、もっとも食べてほしいあんかけスパゲッティが注文されるのは稀だったとのこと。洋食店としては珍しい深夜2時までの営業と出前、そして営業後は人脈作りと、横井氏の行動に周囲が巻き込まれるようにしてあんかけスパゲッティの噂は徐々に広がっていき、様々なメディアに取り上げられるようになったことで「名古屋めし」としての地位を確立したのです。

使用するスパゲッティとあんかけソースへのこだわり

あんかけスパゲッティといえばあの太めの麺。ヨコイでは日本最古のパスタブランドである「ボルカノ」に特注で作ってもらっているものを使用。デュラムセモリナ粉と通常イタリアでパスタには使用しない強力粉をブレンドしたもの。太さは2.2ミリと決まっています。

麺は注文が入ってから茹でるのではなく、仕込みの時点ですでに茹でられています。2.2ミリと太い麺は通常茹で時間16分のところを12分で固茹でし、その後水洗いすることで粗熱を取って麺を締め、90〜120分寝かせます。さらに注文後にラードでコンフィのように加熱することで、香ばしい風味をまとい、表面は硬めで中はもちっとした食感の仕上がりに。麺ひとつとっても手間暇がしっかりとかけられています。

濃厚なソースはトマトやニンジン、玉ネギ、ニンニクなどの野菜とひき肉をベースとしたもの。割合はトマト以外の野菜：7、トマト：2、肉：1と決められています。それら素材は2日間、30分ごとに焦げないように混ぜながらゆっくりと煮込み、さらに1週間冷蔵庫で熟成されます。そうすることで角がなく、具材のうま味がソースに染み込み、滑らかでコクのあるソースへと仕上がるそうです。

そしてヨコイのソースといえば食欲そそるスパイシーさ。これは細かく挽いた黒胡椒のみを使用。複雑な調味料が使用されているのかと思いきや、シンプルに素材の力を発揮していたのですね。10日ほどかけて作られたソースは、最後に水溶き片栗粉でとろみがつけられて、ようやくお客さんの目の前に提供されます。

人気 No.1のメニューミラカンとは？

ミラカンは、ウインナー、ハム、ベーコンなどの具材が入ったミラネーズと、玉ねぎ、ピーマン、マッシュルームなど野菜の具材が入ったカントリーを掛け合わせたメニューです。創業当時は存在しないメニューで、ミラネーズとカントリーを一緒に出してほしいというお客さんからの要望が多数集まって生まれたとのこと。ミラネーズカントリーを略してミラカン。現在、ヨコイで一番人気のメニューです。

ヨコイの知られざるオーダー方法

ヨコイに限らずあんかけスパゲッティといえばボリュームが魅力。普通盛りでも十分な量ですが、ヨコイでは麺の量を1.2倍、1.5倍、ダブル（2倍）と選べるようになっています。しかし1.5倍で注文すると、なんと2倍の量が出てくるという不思議なからくりがあるとのこと。メニューには載っていませんが、もっと食べたい人のためにトリプル（3倍）や、トッピングができるため、中には総重量2キロを超えるメニューを食べる人もいるのだそう。