ガザ地区侵攻から2年。和平に向けた動きの現在

パレスチナ自治区のガザで、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まってから2年。すでに6万7千人以上が犠牲になった戦闘を終わらせるため、和平交渉がエジプトで始まりました。10月8日放送『CBCラジオ #プラス!』 では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員がガザ戦闘の歴史と最新情報について解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴くガザ地区ができた背景
問題が起きているガザ地区はイスラエルの南側でエジプトに近い場所。東京23区の60%ほどの面積に200万人以上が住んでいます。
イスラエルの一部ですが、アラブの人たちの自治も認めようと、1993年(平成5年)のオスロ合意によって、ヨルダン川西岸とガザは自治政府を作ることが認められました。
しかし、イスラエルの強硬派が周囲を包囲してしまいました。「天井のない監獄」とも称されています。
そこで争っているハマスとは、ガザ地区を仕切っているイスラム組織ですが、パレスチナの自治政府はハマスが仕切っているわけではなく、ファタハという「イスラエルと仲良くしても良いのではないか」という考えの穏健なグループも存在します。
イスラエルとの戦争が勃発
この状況下で2023年10月7日、大きな問題が起きてしまいました。
ハマスのメンバーたちがガザから飛び出してイスラエルの人々に危害を加え、1,200人もの死者、250人以上の人質が発生。現在も50人近くが帰ってきていません。
これにより、イスラエルは圧倒的な武力を持ってガザに侵攻しますが、当初はヨーロッパ各国からも支持されていました。
しかしこの侵攻の結果、6万7千人以上が命を落とすこととなり、逆に国際社会から批判が出ています。
ハマスのメンバーか一般人かに関わらず攻撃する、ガザへ運び込む食糧や物資の調達を止めるなど人道的な問題として受け取られるころになったのです。
さらにパレスチナを国として認めても良いのではないかといったように、国際社会の風向きが変わってきています。
合意への道のりはまだ遠く
現在、和平に向けた動きはどのようになっているのでしょうか?
アメリカは、以前からイスラエル寄りであるにもかかわらず、和平交渉の仲介国であるカタールを空爆したイスラエルを非難しました。
この空爆は、ハマスがカタールで和平会議を開いている最中に起きたもので、アメリカの同盟国でもあるカタールは、自国が攻撃されたことに激怒しています。
こうした状況下で、アメリカはイスラエルとハマスの双方に、20項目の和平案を提示しています。
トランプ大統領が解決を急ぐ理由は、ノーベル平和賞欲しさであるという噂もありますが、今年はすでにノーベル賞の発表が進んでいるところです。
双方が本当に相手が撤退するのか疑心暗鬼になっている状況で、合意への道のりは長そうです。
またイスラエルの連立政権には強硬派の政党があるため、ネタニヤフ首相は妥協が許されない状況にも置かれています。
(岡本)
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