ダム湖に残る吊り橋の遺構 富山県の山中に眠る「利賀大橋」が歩んできた歴史とは
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、廃道と遺構を愛する道マニア歴9年の渡邊美樹さんが、富山県にある廃道と、その先にある遺構を巡ります。
遺構を目指して廃道へ しかし、悪天候と道の崩落で断念…
渡邊さんと一緒に旅をするのは、プロギャルのMAAACHIRIN(まーちりん)さん。訪れたのは、南砺市(なんとし)。
(道マニア・渡邊美樹さん)
「今日は富山県の廃道へ。その先にご褒美がある。私の中では上位に入る衝撃」
小牧ダムのすぐ側を走る国道471号から分岐した廃道の先に、渡邊さんが今まで見た中でもトップレベルの衝撃を受けたという遺構があると言います。渡邊さんは過去に一度訪れているそうですが、まだ分かっていないことが多いため再調査したいとのこと。
2人は雪が降る中、国道471号から分岐する廃道へ。道の上に川が流れる“洗い越し”を越えて進むと、次第に道なき道へと姿を変えます。
(道マニア・渡邊美樹さん)
「ここは昔、集落に住んでいた村人たちが使っていた。少なくとも80年前は使われていた」
当時は集落に住む人々が日常的に使っていた道で、その先にある遺構も生活に欠かせないものだったそう。2人は険しい道をひたすら進みますが…。
(道マニア・渡邊美樹さん)
「この先は思った以上に道が崩れていて、雪も積もって地盤も心配なので、あきらめようかなと」
遺構まであと半分というところで、今回は安全を第一に考え、探索を断念することに。
遊覧船から見られるかつての「利賀大橋」の主塔
リタイヤしてしまったことが悔しかった渡邊さんは、別の日に今度は違う方法でリベンジすることに。
(道マニア・渡邊美樹さん)
「ダム湖で運航している遊覧船に乗って(遺構を)見てみたい」
遊覧船に乗って揺られていると、見えてきたのはコンクリート製の建造物。
(道マニア・渡邊美樹さん)
「吊り橋が昔あって、今は主塔だけが残っている」
かつて小牧ダムのダム湖を渡るために、吊り橋の「利賀(とが)大橋」があったそう。橋の部分は撤去され、主塔のみが残っています。
(道マニア・渡邊美樹さん)
「自然の中に、造形美が置き去りにされているのが魅力的」
以前は廃道を通り、主塔がある場所まで足を延ばせたそう。今回は廃道ルートから近づくことはできませんでしたが、遊覧船に乗ると、2連のアーチが残る美しい遺構がダム湖から見られます。
昭和12年に完成 「利賀大橋」が歩んできた歴史
江戸時代、この地域の交通の要所として「仙納原大橋」が架けられていましたが、昭和5年に小牧ダムが完成すると、ダムの湛水(たんすい)によって水没。代わりに「利賀大橋」が造られ、昭和12年に完成しました。
その「利賀大橋」は従来の歩道橋から車道橋へと変更したこともあり、生活道路・産業道路の両面で活躍。大雪や火災に見舞われるたびに修復され使用されていました。
しかし、迂回路の誕生や橋を利用していた集落の廃村などにより、昭和30年代後半頃から次第に使われなくなりました。撤去される直前の橋は、タイヤの通る板のみなど最低限の整備しかされていなかったと推測されます。
平成に入ると吊り橋のワイヤーも取り外され、今は主塔だけが当時の面影を残しています。平成30年、新しく「利賀大橋」が上流に架け替えられ、新たなシンボルとなっています。
2月6日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より