工事が中断した規格外の未成道 540億円かけて完成しなかった北海道の「日高横断道路」とは
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回はバイクで日本を2周したこともある道マニア歴27年の松村真人さんが、過去に訪れた北海道の未成道「日高横断道路」を紹介してくれました。
20年の歳月と540億円もの費用をかけたのに完成しなかったワケ
「日高横断道路」は、道マニア界で“規格外の未成道”と言われているそう。日本最後の山岳秘境と呼ばれる標高2053mの日高山脈を貫き、日高の中心地から十勝までをつなぐ100kmの道路「日高横断道路」の建設に着工したのは1984年。20年の歳月と540億円もの費用をかけて79kmの道路は造られたものの、残り21kmを造れば完成というところで工事が中断しました。
(道マニア・松村真人さん)
「あとどのくらいかかるか計算したところ、追加で980億円、工事にあと40年かかることが分かった」
残りの区間は日高山脈の中でも特に崩れやすい難所で、予想を遥かに超える追加費用と年月が必要だと判明。その見直しを受けて2003年、工事は中止に。完成した一部の区間は現在、北海道道111号として公道になっています。
「日高横断道路」に橋が50本!?路面がなく未成の橋梁も
そんな未成道「日高横断道路」を、松村さんは許可を得て探索済み。
(道マニア・松村真人さん)
「3日くらいかけて行って帰ってきた。車では行けないので、ひたすら歩き」
未成道ならではの痕跡がたくさんあり、キャンプ場ができる予定だった場所の近くには、「日高横断道路」の完成を見越して造られた標識が残っていたそう。また、見慣れない速度制限の標識も。
(道マニア・松村真人さん)
「時速10km制限の標識は、一般公道に存在しない。おそらく工事車両用の標識で、撤去されずに放置されている」
さらに、未舗装の道をしばらく進むと、未成道とは思えない立派な橋が出現!松村さんによると、「日高横断道路」には1984年以降に造られた橋が50本もあり、そのほとんどに名前が付けられているそう。中には、鉄筋が組まれているものの、コンクリートが流されていないむき出しの橋梁も残っています。
貫通しなかった「千石トンネル」
「日高横断道路」が分断されている突き当たりまで行ったという松村さん。その場所には、「千石トンネル」と書かれたトンネルの坑口があったそう。トンネル内の照明や非常電話に使うはずだった電気ケーブルが、どこにもつながることなくむき出しの状態になっています。
トンネル内は、照明はないものの完成形に近い状態。非常電話と非常ベルを設置する場所に掘られた「切り欠き」と言われる窪みなど、未成道ならではの痕跡も見られたと言います。
入口から1kmほど奥へ進んだ先は、壁があり行き止まりに。トンネルは貫通しておらず、壁にはボーリング調査に使われた直径5cmほどの小さな穴が残っていました。
松村さんが山越えしてトンネルの反対側を確認したところ、土砂崩れで荒れた状態だったそうです。
1月16日(火)午後11時56分放送 CBCテレビ「道との遭遇」より