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「甲状腺」の病気…放置で死に繋がることも!見逃しやすい「甲状腺疾患」早期発見のポイントと治療法

「甲状腺」の病気…放置で死に繋がることも!見逃しやすい「甲状腺疾患」早期発見のポイントと治療法
CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、伊藤病院 院長 医療法人社団甲仁会 理事長 医学博士 伊藤公一先生です。

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今回のテーマは「〜年のせい?と思ったら大間違い〜見逃しやすい甲状腺疾患!」

喉仏の下にある臓器「甲状腺」。縦5㎝ほどの小さな臓器ですが、腸・心臓・脳・筋肉など様々な臓器や器官の活動を管理する大切な働きをしています。そんな甲状腺に何らかの異常をもつ人は推定約700万人。その内治療が必要な患者数は約240万人と推定されています。しかし、実際に治療を受けているのはわずか約90万人。甲状腺疾患で現れる症状は「疲れやすい」「動悸がする」「手足が冷える」など、忙しさや年齢のせいと勘違いしやすいため、とても見逃しやすいのだとか。しかし、甲状腺疾患に気付かず放置していると、心疾患のリスクを高め、死に繋がることもあるといいます。そこで今回は、甲状腺疾患の早期発見のポイントと治療法を専門医に教えてもらいました。

甲状腺の働きは?

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

喉仏の下にある臓器「甲状腺」は、内分泌臓器と言い全身にホルモンを出している臓器。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、血流に乗って脳・心臓・胃・腸などに運ばれ、各器官の働きを活発にする元気の源なのだとか。甲状腺ホルモンはバランスが大切で、多くても少なくても身体に異常をきたしてしまうそうです。

甲状腺の病気「バセドウ病」

<「バセドウ病」とは?>
バセドウ病は、日本語では「甲状腺機能亢進症」と言い、甲状腺の働きが過剰になり甲状腺ホルモンが必要以上に分泌される病気。甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されると、内臓や筋肉などが働きすぎて身体に様々な不調が起こります。心臓が働きすぎると「動悸」に、交感神経が働きすぎて緊張状態になると「手の震え」が現れることも。また、筋肉が働きすぎると、代謝が上がるため急激に体重が減ったり、体温が上昇して暑くないのに汗が止まらなくなったりすることもあるそうです。

<バセドウ病の代表的な症状>
下記の項目に3つ以上当てはまる場合は病院で受診しましょう。
□よく手が震える
□動悸がする
□よく食べるが太らない
□何もしなくても汗が出る
□下痢をしやすい

<甲状腺ホルモンが過剰になる理由は?>
先生によると、バセドウ病は自己免疫疾患と言い、自分に対して攻撃してしまう特殊な病気だそうです。普段私たちは、体内にある抗体によって細菌などの外敵から守られています。しかし、バセドウ病はその抗体が暴走。免疫機能が甲状腺を刺激するため、甲状腺ホルモンの分泌量が増えてしまうのだとか。その原因ははっきりと分かっていませんが、女性は思春期・妊娠・出産・更年期といったライフイベントに伴うホルモンの変動が、バセドウ病発症に大きな影響を及ぼすと考えられています。一方、男性の患者数は女性の約4分の1ですが男性の場合、手足の力が一時的に入らなくなる「周期性四肢麻痺」という症状が現れることがあるそうです。

バセドウ病の合併症「甲状腺眼症」

<約3割の目に発症「甲状腺眼症」>
バセドウ病の合併症の1つが「甲状腺眼症」。甲状腺に関係する抗体によって、目の周りの脂肪や筋肉が炎症を起こして肥大し、眼球が前方へ押し出されてしまうのだとか。「甲状腺眼症」は、バセドウ病の患者の約3割に見られるそうです。

<「甲状腺眼症」の治療法>
甲状腺眼症の治療には、重症化する前はステロイド治療や放射線治療を行い、重症患者になると手術を行うそうです。手術は、眼球の奥の骨を削ったり、脂肪組織を取り除いたりする非常に高度な手術だそうです。

バセドウ病の放置は命を落とす!?

<大切なのは早期発見&早期治療>
先生によると、バセドウ病は早期発見がとにかく大事。バセドウ病を発症しているかどうかは、保険診療で甲状腺機能を測ると簡単にわかるそうです(※検査結果が出るまでの時間は施設によって異なります)。そのため、まずはかかりつけ医に相談してください。そして、早期治療もとても重要。早期に治療することで心臓や他の臓器への負担も少なくなるそうです。

<放置は命を落とすことも>
バセドウ病は、放置すると「甲状腺クリーゼ」というショック状態を伴うこともある多臓器不全を起こし、死にいたることもあるそうです。

バセドウ病の3つの治療法

<(1)薬物治療>
先生によると、バセドウ病を発症した場合日本では第一選択として薬で治療をするとのこと。薬の治療を3年程度行い、治らない場合はアイソトープ治療を行うそうです。

<(2)アイソトープ(放射線)治療>
アイソトープ治療とは、放射性ヨウ素をカプセルなどで服用し、甲状腺の細胞を徐々に壊すことで甲状腺ホルモンの分泌を抑える治療法だそうです。

<(3)手術(甲状腺を全摘出)>
手術は、甲状腺を完全に切除します。手術時間は1〜2時間、入院期間は1〜2週間ほど。退院後約1週間で社会復帰ができますが、生涯ホルモン薬を服用し続ける必要があるそうです。

甲状腺ホルモンが減少する病「橋本病」

CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』

<40代以上女性の約10人に1人が罹患!?>
橋本病は、「バセドウ病」とは反対に甲状腺ホルモンの分泌量が減少する病気。自己免疫反応によって甲状腺に炎症が起こり、甲状腺ホルモンの分泌が低下するのだとか。そのため、正常な甲状腺と比べると腫れて肥大することもあります。先生によると、40代以上の女性の約10人に1人は橋本病に罹患していると言われているそうです。

<「橋本病」の症状と治療法>
甲状腺ホルモンが不足すると、脳や心臓など様々な臓器の働きが低下します。脳の機能が低下すると疲労感に、筋肉が機能低下すると冷え症に。代謝が機能低下すると「それほど食べていないのに太ってしまう」といった変化も見られるのだとか。また、橋本病は「気が落ち込む」「やる気が出ない」などメンタルに影響が出ることもあります。橋本病の主な治療法は薬物療法。治療によりうつ症状が改善することもあるそうです。

<「橋本病」チェック>
下記の症状に3つ以上当てはまる場合は、早めに病院を受診しましょう。
□元気が出ない
□食べなくても太りやすい
□手足の末端が冷えやすい
□むくみやすい
□脱毛が気になる

甲状腺にできる腫瘍

<良性の腫瘍「腺腫様甲状腺腫」>
甲状腺には腫瘍ができることもあります。良性の腫瘍の1つが「腺腫様甲状腺腫」。手術の必要はありませんが、自然になくなることはないので定期的に検診を受け、経過を見守ることが大切だそうです。

<悪性の腫瘍「甲状腺がん」>
近年甲状腺がんは発見率が高くなり、日本では年間約2万人が罹患しているそうです。重症化すると器官に影響を及ぼし「血たん」や「声が枯れる」などの症状が出ますが、多くの場合は無症状なので、超音波検査を受けることが大切だそうです。

気になる場合は一度医師に相談を

甲状腺の異常は、採血と10分程度の超音波検査でわかるそうです。病院以外でも健康診断や人間ドックのオプション検査で調べることもできるのだとか。甲状腺疾患の専門は、内分泌科・耳鼻咽喉科。気になる症状がある場合は、忙しさや年のせいにせず医師に相談してみて下さい。

(2025年11月16日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)

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