たった一度の転倒から「寝たきり」も… 転倒事故 約5割は自宅!?家に潜む転倒・転落の危険と対策
身近な健康問題とその改善法を、様々なテーマで紹介する番組『健康カプセル!ゲンキの時間』。
メインMCに石丸幹二さん、サブMCは坂下千里子さんです。
ドクターは、佐賀大学医学部附属病院 リハビリテーション科 医学博士 浅見豊子先生です。
今回のテーマは「〜わずかな段差が命取り!?〜家での転倒・転落の原因」
実は、転倒事故の約5割は自宅で発生しているそうです。たかが転倒と侮ってはいけません。転倒や骨折は、介護が必要となる要因の12%を占めており、たった一度の転倒によって骨折から寝たきりや大病につながる事もあるのだとか。さらに、高齢者の転倒・転落による死亡者数は8700人で、交通事故の3倍以上にのぼるというデータもあります。そこで今回は、家に潜む転倒・転落の危険とその対策を専門医に教えてもらいました。
自宅の危険スポット〜転倒を引き起こす小さな段差〜
<家に潜む危険>
(1)部屋の敷居
1cm程度の段差でも転倒のリスクが潜んでいるそうです。
(2)配線コード
配線コードにひっかかると足を引っ張られて転倒につながるそうです。
(3)カーペット
カーペットの端のめくれた部分に転倒のリスクが潜んでいるそうです。
<転倒の原因(1)筋力の低下>
小さな段差につまずく原因の1つが加齢による筋力の低下だそうです。下半身の筋肉量は20代をピークに大きく減少。80歳までに約4割が減少すると言われています。そのため、自分が思っているより上がらなくなった足が、小さな段差にひっかかり転倒につながってしまうそうです。
<高齢者には更なる危険も>
高齢者が気を付けなければいけないのが「骨粗しょう症」。骨粗しょう症とは、骨密度の低下によって骨がもろくなり骨折しやすくなる状態の事。患者数は50代から急激に増え始め、女性に関しては70代以上の3人に1人が罹患していると言われているそうです。骨粗しょう症になると、小さな段差につまずいて尻餅をついたり手をついたりするだけでも、骨折につながる事があるのだとか。さらに、骨折をして寝たきりになってしまうと活動量が減少。脳への刺激も少なくなり、認知症のリスクが高まってしまうそうです。
<転倒対策>
大切なのは、段差自体を極力減らす事だそうです。配線コードはカーペットの下に隠したり、めくれたカーペットはテープで止めたりするのがおすすめ。敷居の段差は、ホームセンターで売っている室内用スロープを設置すると良いそうです。
自宅の危険スポット〜最悪の場合大怪我に!階段の踏み外し〜
<家に潜む危険>
(4)階段
自宅で多い転倒の1つが、踏み外しによる転倒だそうです。
<転倒の原因(2)足の感覚のズレ>
階段の踏み外しは、筋肉の衰え以外にも原因があるそうです。それが、足の感覚のズレ。人間は足の位置がよく分かっておらず、タンスの角に小指をぶつけてしまうのも足の位置の認識がズレているからなのだとか。そのため、洗濯物を抱えるなど足元が見えない状態で階段を上り下りすると、思った場所に足がつかず転倒を引き起こしてしまうそうです。
<転倒対策>
階段を上り下りする時はちゃんと足元を見ましょう。さらに、階段のふち全体に幅3cmほどの滑り止めをつける事で大きな怪我を防ぐ事ができるそうです。
わずかな段差が命取り!?転倒を引き起こすスリッパの危険
<家に潜む危険>
(5)スリッパ
大きなスリッパを履いていると、自分では足を上げているつもりでも、スリッパが上がっていなくて段差に引っかかり転倒につながる恐れがあるそうです。
<転倒対策>
スリッパは、足のサイズに合った物を選ぶ事で転倒予防につながるそうです。
暗闇に潜む危険!転倒を招く目の機能の老化
<転倒の原因(3)目の機能の低下>
明るい場所から暗い場所に移動した際に、目が慣れて見えるようになる反応を「暗順応」と言います。目が慣れるまでの時間は年齢とともに長くなるのだとか。そのため、照明を消してからベッドに行くまでの間や、照明をつけずに暗い廊下を歩く事で起こる転倒などにも注意が必要だそうです。
<転倒対策>
暗闇では、目が慣れて見えるようになった事を確認してから動くようにしましょう。さらに、家の中の暗い場所や段差のある所には、メインの照明に加えて人感センサーライトを置くのもおすすめだそうです。
自宅の転倒 危険ポイントの覚え方
<家の中で注意すべき“ぬかづけ”>
・「ぬ」濡れている
・「か」階段・段差
・「づけ」片付けられていない
濡れている場所は滑りやすく、階段や段差も転倒しやすい危険ポイント。さらに、コードや物などを散らかしていると引っかかって転倒を引き起こしてしまいます。家の中の“ぬかづけ”と覚えて注意しましょう。
自宅での転倒を防ぐために大切なポイント
先生によると、1つ目のポイントは「転びにくい身体をつくる」こと。足腰を鍛えて転倒しにくい身体をつくると、万が一転倒した場合も大怪我につながりにくいそうです。そして、もう1つは「転倒にしにくい環境をつくる」こと。転ばないように家の中を片付け、整頓する事も大事なポイントだそうです。
(2024年11月24日(日)放送 CBCテレビ『健康カプセル!ゲンキの時間』より)