高速バスの「相席ブロック」は違法?弁護士が解説
近年、高速バスで「相席ブロック」と呼ばれる行為が広がっています。隣の座席に他の乗客が座らないようにするため、2席を連続で予約し、出発直前に1席をキャンセルするというものです。11月4日の『CBCラジオ #プラス!』では、弁護士の正木裕美さんがこの問題を法的な観点から解説しました。聞き手は光山雄一朗アナウンサーです。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く1席キャンセルする理由とは?
高速バスは新幹線や飛行機よりも安価で、近年は旅行需要の高まりもあり、利用者が増えてきています。
その中で隣り合わせの2席を予約し、出発直前に1席をキャンセルして、隣に人を座らせないようにする利用者が増加。
バス会社によると、こうした行為は2024年ごろから各地で報告が相次いでおり、運行会社の悩みの種になっているといいます。
利用者がこのような行動を取る背景には、「長時間の移動で隣に人がいると落ち着かない」「寝顔を見られたくない」といった心理があるとのことです。
法的にこれは違法?
正木さんはこの行為について「民事でも刑事でも違法と評価できる」と指摘します。
刑事的には「業務妨害罪」に該当する可能性があるとし、利用するつもりのない席を予約し、直前にキャンセルすることで他の利用者の予約を妨げ、会社の売り上げを損なう行為であると説明しました。
この場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
また、バス会社が実際に損害を被った場合は、「不法行為」として損害賠償請求が理論上可能だと述べました。
ただし、2席を予約した時点で本当に2人で乗る予定だったのに、同行者の都合でキャンセルした可能性もあるため、故意を立証するのは非常に難しいそうです。
有効な対策は?
これまで高速バスのキャンセル料は100円代など非常に安価でしたが、この悪質行為を受けて高速バス会社では直前キャンセルの料金を引き上げる動きが。
飛行機のように直前キャンセルでは高額なキャンセル料が発生する仕組みがあれば、抑止力になると期待されています。
また、悪質なケースでは「繰り返し行なう利用者の予約を拒否するなどの措置も有効」と話し、法的措置よりも事業者による運用面での対応が現実的です。
自分の快適さを求めてモラルを無くした「相席ブロック」。
便利で安価な高速バスを気持ちよく利用するためには、利用者一人ひとりの意識が問われています。
(ランチョンマット先輩)
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