利き手骨折から2週間でスピード復帰!不屈の投手・橋本侑樹の今年に懸ける覚悟
「とある妄想しがちなファンのドラゴンズ見聞録」
CBCテレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜日午後12時54分から東海エリアで生放送)を見たコラム
今回のサンドラは、縁の下の力持ちとも言えるドラゴンズの中継投手陣になくてはならない存在、橋本侑樹投手の特集!
ここでまずドラゴンズの元同僚で橋本投手の同級生である、現CBCテレビ所属の松田亘哲さんが語る橋本投手について3つのプライベートエピソードをご紹介。
1.妻は中学校の同級生で、8年交際し2021年に結婚。
2.チームメイトの結婚祝いは必ず渡す、義理堅さがあり真面目な性格。
3.国税庁を装った詐欺メールに引っ掛かりそうになり、松田氏が止めた。
一途な思いを持つ真面目な橋本投手の性格が伺える。インタビュー中の語り方も性格の一旦が垣間見える。そんな橋本投手の妻はサンドラを毎週録画して見ているのだが、なかなか橋本投手が出てこないと言われるそう。そんな妻に向けて橋本投手からのメッセージはこちら。
「久しぶりに特集を組んでもらえるということで、見てください!」
それでは早速振り返る!
岩瀬仁紀の背番号13のプレッシャー、マイナス思考に陥った日々…
プロ5年目の橋本投手は、ここまで33試合に登板して2勝1敗4ホールド、防御率1.46(8月3日終了時点)とキャリアハイの成績を残している。「誰よりも強い気持ちで今年は挑んでいる。今年やらないと終わりだと思っていたんで。」今シーズンに賭ける思いは、言葉だけでなく結果で示してくれた。
橋本投手は2020年のドラフト2位で指名され、与えられた背番号は史上最多の407セーブを記録したドラゴンズのレジェンド岩瀬仁紀氏の13番だった。その背番号を与えられた期待は大きかった。プレッシャーも並大抵のものではなかっただろう。
橋本「甘く言ったら打たれるんじゃないかとか、ここフォアボール出したらあかんなとか、そういうマイナスなことを考えていた。」
一軍に定着できないまま過ぎていく時間に橋本投手はもがいていた。そんなさなか、昨年5月30日のホークス戦でまさかの3者連続死球で一軍登録抹消となった。それをきっかけに、橋本はフォーム改造に取り組んでいった。
橋本「僕の1年目の投球フォームを見て貰えばわかると思うんですけど、その投げ方と今年の投げ方で明らかに違うのは右肩の開きだと思う。フォームが安定して、ある程度のコントロールがつくようになって真っ直ぐが強くなってきた。その真っすぐでも三振が取れて、よりスライダーも効くようになった。大塚コーチと取り組んでいるこう投げたいというフォームがやっと自分の身になってきたところですかね。悪いイメージをしなくなったというのはありますし、まずは自分のボールを投げて、自分を信じて、自信を持ってこうと今年はずっと思っています。」
橋本投手は、しっかりと固まったフォームで戦える準備を整えた。
『いけます!あと2、3球下さい…!』悲劇の骨折時、橋本投手の心境
フォームと意識の変革の甲斐あって、2024年は開幕一軍スタートを掴んだ。ビハインドやロングリリーフなど様々な役割をこなしチームを支えている。先発で仲地礼亜投手が緊急降板した試合では、スクランブル登板ながらもしっかりと無失点で投げきり勝利を引き寄せた。ヒーローインタビューでは、ブレずに投げ切ったその姿勢をこう語った。
橋本「毎日同じパフォーマンスができるように準備しているので、手応えをすごく感じています。」
順調に試合を重ねていった橋本に悲劇は起こった。6月29日のベイスターズ戦、ピッチャーゴロ捕球の際に大事な手にボールが直撃した。
橋本「左手薬指に(打球が)当たって、突き指だろうなくらいの感覚だった。突き指くらいでマウンドは降りられないと思っていたのでいこうと思ったんですけど。僕はスイッチも入っているので、『いけます、あと2、3球ください!』ってずっと言ってました。強制的にマウンドを降りることになったんで。」
大塚コーチは、どうしても投げたい気持ちの橋本をなんとか抑えた。コーチとしてその静止は正しく、病院での診断は左手薬指骨折だった。
『なんか痛くなかったっすね』驚異的な復帰スピードの裏側
決して軽くはない症状のなか、橋本は約2週間という驚異的なスピードで一軍の舞台に戻ってきた。
橋本「なんか痛くなかったっすね(笑)次の日はさすがに痛みがあって、腫れてたんで曲げることもできなかったけど、『痛みがなければ投げていい』って言われてたんで、(骨折から二日目には)ネットスローしていましたね。良い感じで今年は投げられていて、怪我で離脱するのはすごく嫌だったんで、なんとしてでも一軍にしがみつくぞというという気持ちは強くありましたし、誰よりも強い気持ちで、今年は挑んでいると思ってますね。」
覚悟を決めた橋本投手には、痛みを感じている時間もなかったのだろうと思わせる。このチャンスを死に物狂いで掴み取ろうという熱い気持ちを感じさせた。
橋本「やっぱりリリーフをやっている以上、良い場面で投げたいんでセットアッパーをやってみたいなとは思うので、これから結果を残してその位置を掴み取りにいきたい。」
それでもまだ、現状には満足しきらずに更に上を目指して橋本投手は投げ続ける。ライデル・マルティネス投手をはじめ、松山晋也投手、清水達也投手と球界屈指のリリーフ陣を抱えるドラゴンズで、その高みを目指している。橋本投手の進化とともにチームも成長をとげて、勝利試合で輝く橋本投手が見られる日が待ち遠しい。頑張れ!ドラゴンズ!頑張れ!橋本投手!
澤村桃