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大野雄大と大島洋平、初の“2人キャプテン”制で立浪ドラゴンズどう変わる?

大野雄大と大島洋平、初の“2人キャプテン”制で立浪ドラゴンズどう変わる?

プロ野球の春季キャンプが近づくこの時期は、ふと気づく日差しの中にも「球春」を意識してしまう。ファンにとっては、1年で最も楽しみな季節かもしれない。そんな中、中日ドラゴンズから楽しみなニュースが飛び込んできた。

立浪新監督から驚きの指名

2022年から竜の指揮を取る立浪和義新監督が、チームのキャプテンに大野雄大投手と大島洋平選手を指名した。前年までの与田剛監督が率いたチームでは、高橋周平選手が3年間、キャプテンの座に就いていた。立浪監督は就任時に「キャプテンは必要ない」と話していただけに、今回の決断に驚いた。それ以上に驚いたのは、キャプテンが2人ということである。セ・リーグでは広島東洋カープが2人制だが、球団創設86年目を迎えたドラゴンズでは、初めてとなる「キャプテン2人制」。例えばラグビーでは、フォワードとバックスそれぞれにキャプテンを置くチームがあるから、投手と野手、それぞれにリーダーがいることも腑に落ちる。

モリミチ主将のリーダー魂

「サンデードラゴンズ」より大野雄大投手(C)CBCテレビ

ドラゴンズの歴代キャプテンで真っ先に思い出すのは、何と言っても2代目「ミスター・ドラゴンズ」高木守道さん。与那嶺要監督が就任した1972年(昭和47年)から6年間、キャプテンとしてチームを引っ張った。とにかく無口で寡黙だったことから、時代劇の主人公の名前から「むっつり右門」などとも呼ばれたが、織りなすプレーは実に“雄弁”だった。ここというチャンスには必ず打ってくれて、ピンチには軽やかな守備で何度も相手チームにため息をつかせた。1974年には讀賣ジャイアンツの10連覇を阻止してリーグ優勝を成し遂げた、見事なキャプテンだった。

球団史のキャプテンたち

ところが、このモリミチさん以外、竜の歴代キャプテンがすぐには浮かんでこない。次に思い出したのは、星野仙一監督時代の仁村徹さんだろうか。実は高木さん以降、谷沢健一、中尾孝義、宇野勝、中村武志、最近では平田良介らの各選手がキャプテンをつとめているのだが、ファンのひとりとして、あまり印象に残っていないのである。キャプテンが置かれなかったシーズンも多い。その意味でドラゴンズは、「キャプテン」という存在を使いこなしてこなかったチームと言えるのかもしれない。現在の12球団のキャプテンでは、何と言ってもジャイアンツの坂本勇人選手が目を引く。やはりチームに力強い“芯”は欲しい。

新キャプテン2人への期待

「サンデードラゴンズ」より大島洋平選手(C)CBCテレビ

大野投手と大島選手、2人ともかつて選手会長も務めた経験があり、それぞれ33歳と36歳、年齢もキャリアも問題なしであろう。大野投手は2020年に球団では9人目の「沢村賞」に選ばれるなど、まさにエース。一方の大島選手は、連続最多安打こそ途絶えたものの、9度目のゴールデングラブ賞を獲得するなど、竜を代表する外野手である。しかし、このニュースを最初に報じた中日スポーツの記事に“言い得て妙”な表現があったように「2人とも背中で引っ張るタイプ」だった。言い方を替えれば「マイペース」。しかし実績十分の2人は、今季もそれぞれが若手を伴った自主トレでシーズンをめざしている。その輪がますます広がることに、立浪監督も期待しているはずだ。組織論として考察するならば、2人とも将来ドラゴンズの指導者候補だけに、その“試金石”なのかもしれない。

選手主導のチームは強い!

2021年シーズンまでコーチを務めたOBの中村武志さんから、こんな話を聞いた。自分が現役時代は、監督やコーチに言われなくても選手がリーダーの呼びかけの下、自分たちで集まって、ゲームについて、そして戦い方について、自主的に語り合っていたそうだ。
「残念ながら今のチームにはそれがなかった」。
立浪監督を迎えたドラゴンズは、「All for Victory すべては勝利のために」を新たなスローガンに、チームの変革に向かう。その舵取り役に指名された大野と大島の両キャプテン。どんなキャプテンシーを発揮してくれるのか、キャンプインが待ち遠しい球春である。 
                                  

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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