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広島カープの若き打線がうらやましい!後半戦ドラゴンズ本拠地ドーム観戦記

広島カープの若き打線がうらやましい!後半戦ドラゴンズ本拠地ドーム観戦記

ようやく、である。後半戦になって、ようやく中日ドラゴンズのスタメンに新しい名前が登場するようになった。渡辺勝、溝脇隼人そしてアリエル・マルティネスの各選手。打線に刺激を与えていることは間違いない。ようやく、である。

エース大野に漂う風格

バンテリンドームの内野席スタンドに座るのは、後半戦になって初めてだった。2021年8月19日夕刻、広島東洋カープとの3連戦3試合目。新型コロナ感染拡大を防ぐための入場制限は続いている。淋しいスタンドにも悲しいかな慣れてきた。そんな数少ないファンが最も大きな拍手を送ったのは、先発の大野雄大投手が1回のマウンドに向かう時だった。目を見張った。入団以来、ずっとそのマウンドを見てきたが、ベンチ前のキャッチボールから一歩一歩進む背番号「22」には特別な風格が漂っていた。これが沢村賞投手のオーラか、そこに東京五輪の金メダリストという肩書も加わった。この日の大野投手は最初から球数が多かったものの、6回を1失点にまとめた。だから勝ち投手になってほしかった。勝ち星を届けなかったのは、またしても「あと1本が出ない」竜打線だった。

カープの若き打線がまぶしい

4回裏の攻撃が分岐点だった。無死1,2塁で、4番ダヤン・ビシエド選手、そして5番の福田永将選手を迎えた。ビシエド選手はショートゴロ併殺、福田選手はライトライナーで無得点。静かな応援スタンドに、竜党のため息だけが響く。あと1本が出ない。そんな中で目に焼きついたのは、スコアボードに浮かぶカープ打線の顔ぶれだった。3番にショート小園海斗、6番にキャッチャー坂倉将吾、そして続く7番にはサード林晃汰の各選手。いずれも20代前半の若い野手であり、そして目の前でこの3人が打つは打つは、合わせて6安打だった。ドラゴンズの本拠地なのに、赤いユニホーム姿のファンによる元気な応援が切ない胸に響く。小園選手と林選手は、2018年ドラフト会議での1位と3位。ドラゴンズで言うならば、根尾昂選手の同期である。高卒3年目21歳と20歳の三遊間レギュラーは、Bクラスに低迷するチームとは思えない勢いを発散していた。まぶしい。

ひと世代違うドラフト1位と3位

ドラゴンズは野手に関する世代交代で大いに後れを取っている。落合博満監督が率いた8年間の黄金期の後、2012年から10年間、高木守道、谷繁元信、森繁和そして現在の与田剛と4人の監督が続いたが、現在のカープ打線のような、大胆で継続的な若手起用は実現していない。この試合、ドラゴンズの5番は福田選手で、6番は堂上直倫選手だった。堂上と福田、実は2006年の高校生ドラフトでの1位と3位の2人である。片や相手のスタメンには干支の12年がひと回りした2018年のドラフト1位と3位が名を連ねている。新しい時代に向けて“現在地の差”を強烈に見せつけられた思いだった。

若い戦力が加わってこそ

「サンデードラゴンズ」より渡辺勝選手(C)CBCテレビ

本拠地でのカープそして阪神タイガースと続いた6連戦。大野雄大投手の翌日は、柳裕也投手が147球の熱投完封劇でファンの心を熱くさせた。さらに次の試合、溝脇選手の4安打にも歓喜した。渡辺選手の2番打者としての着実な仕事も続く。こうした活躍によって讀賣ジャイアンツ3連敗に続いた6連戦は4勝2敗と勝ち越した。しかし、上位3チームとの大差は埋まらない。これを突破するには「よほどのこと」が必要であり、それはチームに勢いを与える若い戦力である。渡辺選手そして溝脇選手の活躍に、2軍でがんばる若い勢いが加わった時こそ、遅ればせながらドラゴンズ新時代の歩みが始まる。

いつの日かバンテリンドームにも満員の観客が戻ってくる。その時、スタンドで目の当たりにする竜スタメンの顔ぶれはどうなっているのだろうか?その日への歩みはコロナ禍の今、すでに始まっていなければならないはずだ。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

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