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ドラゴンズ温故知新!04「捕手」編~いつになったら正捕手が決まるのか?

ドラゴンズ温故知新!04「捕手」編~いつになったら正捕手が決まるのか?

中日ドラゴンズは2020年に球団創設84年目を迎える。伝統あるその球団史は数多のスター選手に彩られ、熱き戦いの記録と記憶をファンの心に刻みつけてきた。筆者が独断で選んだ歴代ベストナインと現役選手を比較しながら、7年続くBクラスからの脱出に向けて、新たなシーズンへの期待と応援を届ける連載企画である。
第4回のテーマは「捕手」。(敬称略)

優勝には正捕手あり!

ドラゴンズの球団史で、リーグ優勝を果たした時には必ず「正捕手」が存在した。初めてリーグ優勝し、一気に日本一になった1954年(昭和29年)には野口明。地元愛知の中京商業高校(現・中京大中京高校)時代に夏の甲子園3連覇を達成したキャッチャーはドラゴンズにも日本一をもたらした。讀賣ジャイアンツの10連覇を阻止して20年ぶりにリーグ優勝した1974年には「マサカリ打法」の木俣達彦。“打てる捕手”だった。中尾孝義は従来の捕手像を変えた「打って守って走れる」キャッチャーだった。守備の時に付けたつばのないヘルメットは「一休さんヘルメット」と呼ばれた。1982年には豪快なゲーム運びが売り物だった近藤貞雄監督の“野武士野球”での優勝に貢献、シーズンMVPにも選ばれた。中尾から正捕手を受け継いだのは中村武志。猛練習で鍛え上げた頑強な身体で、星野仙一監督時代の1988年と1999年、2回の優勝の「正捕手」だった。

歴代ベストナインは「谷繁元信」

そんなドラゴンズ捕手史に登場したのが、FAによって横浜ベイスターズ(現・横浜DeNA)から2001年に移籍してきた谷繁元信だった。特に落合博満監督がチームの指揮をとった2004年から8年間のいわゆる“黄金期”、ホームベースを守り続けたのが谷繁捕手だった。落合監督は就任と同時に谷繁捕手に背番号「27」を与えた。巨人9連覇で鉄壁の守りを築いた捕手・森昌彦の背番号である。谷繁は、川上憲伸や吉見一起といったエース、守護神・岩瀬仁紀や稀代のセットアッパー浅尾拓也らを巧みにリードして、4回のリーグ優勝、53年ぶりとなる日本一を達成した。堅い守り、そして勝負強いバッティングと共に、まさに竜の「正捕手」だった。

ベストナイン選考理由

谷繁元信は捕手として、大先輩・野村克也を抜いた。3017試合という野村が持っていたプロ野球最多出場記録を2015年に更新する3018試合に出場した。入団1年目から27年連続ホームランそして連続安打という新記録も見事である。谷繁は2015年から兼任監督としてチームの指揮を取ることになった。監督としての成績は3シーズン続けてBクラス、3年目に途中解任となって、不本意なものだった。しかし、それによってドラゴンズの「正捕手」谷繁元信の評価が揺らぐことはない。

加藤バズーカに期待高まるも・・・

谷繁の引退後、ドラゴンズから「正捕手」という言葉が消えた。そして毎年それがチームの課題となっている。2019年シーズン、西武ライオンズの黄金期を支えた捕手・伊東勤、そしてチームOBの中村武志、2人の新しいコーチの参画によって、いよいよ「正捕手」誕生かと大いに期待が高まった。しかし結果は見送りとなった。
これまで1軍出場わずか5試合という加藤匠馬が開幕スタメンに大抜擢された。伊東コーチが認めたその強肩は「加藤バズーカ」と呼ばれ、沖縄北谷球場でのオープン戦初戦から盗塁を阻止、ファンも「いいぞ!バズーカ」と声援を送った。しかし、シーズン途中に無念の2軍落ち、再調整を求められ、シーズン出場は100試合に満たない92試合に留まった。次に試合数が多かったのが木下拓哉の39試合。今だ「正捕手」不在のチーム状況は続く。

2020年シーズン展望

入団1年目の石橋康太が1歳年上の清水達也と「10代バッテリー」を組んでスタメンに起用された2019年7月9日、ナゴヤドームのファンは大いに沸いた。石橋捕手はプロ初安打となる2点タイムリー三塁打を放つなど大活躍して、チームも勝利した。次世代の芽は確かに目の前にある。そしてドラフト会議では、慶応義塾大学の正捕手でありキャプテンである郡司裕也を4位指名で獲得した。郡司は東京六大学野球秋季リーグで見事に三冠王に輝きチームは優勝、さらに続く神宮大会でも優勝と「勝てる捕手」を実証した。谷繁元信を目標に掲げて竜のユニホームを着た郡司。石橋と共にこの2人が1軍ベンチに名を連ねるようになると、2020年シーズンの「正捕手」争いは激しさを増すことになる。いきなり開幕スタメンを奪うくらいの勢いを見せてほしい。
もう一度くり返す。ドラゴンズの球団史で、リーグ優勝を果たした時には必ず「正捕手」が存在した。

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。

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