「絶対に顔を破ってはいけない!」若きお祭りオタクが、巨大な万燈を担いで舞う「万燈祭」に初挑戦!
暗闇を彩る、鮮やかで幻想的な光。愛知県刈谷市の秋葉社には、約250年続く天下の奇祭「万燈祭」があります。伝統の万燈が刈谷の街を絢爛豪華に舞い踊る様は圧巻です。タレントの寺坂頼我くん(以下、寺坂くん)が、祭りにアツい思いを持つ「OMATSURIちゃん」を探しました。
高さ約5m重さ60kg!巨大な万燈を若者が担ぎ、神様に舞を奉納
刈谷市の秋葉社で行われた「刈谷万燈祭」。この祭りには、巨大な人形である「万燈(まんど)」が欠かせません。「若衆頭」と書かれた法被を着ている男性に、話を聞きました。
(寺横町若衆頭・川本康平さん)
「(Qあれ(万燈)相当デカいですね!)だいたい5メートルくらい」
秋葉社に祀られているのは「火之迦具土大神(ほのかぐっちのおおかみ)」という火伏の神様。火難防除・町内安全を祈願して始められました。万燈は、竹と和紙で作られ、高さ約5m、重さ60kgにも及ぶ大きさ!それを、10代を中心とする若衆たちがお囃子に合わせて担ぎ、神様に舞を奉納します。
祭り最大の見どころは、昼間の迫力ある姿と、明かりが灯った夜の幻想的な姿の両方を楽しめるところ。参加する寺横町・司町・広小路・新栄町・広小路五組・東陽町・銀座の7つの町は、毎年それぞれ新しい万燈を制作します。
全ての万燈が集まるスタート地点である東陽町へ行ってみると、ノリのいいお囃子と掛け声に乗って踊る若者たちの姿が。他の町の万燈を出迎える立場ということで、どこよりも盛り上げようという気持ちでやっています。
万燈のデザインの多くは、歌舞伎画や武者を型取っていてその町で受け継がれてきた手法で手作りされたもの。若衆を卒業した先輩たちが、およそ半年から1年かけて完成させます。
「顔を破るのだけはご法度」道中には障害がいっぱい!
いよいよ、この日最初の見せ場である昼の「全町一斉舞」がスタートする時間に。一斉舞のあとは、全ての万燈がおよそ1時間かけて市内を練り歩き、沿道のお客さんへお披露目しながら秋葉社を目指します。
(寺横町若衆頭・川本康平さん)
「(Q絶対にやっちゃいけないことは?)万燈の人間の顔だけは、絶対に破らない。(運ぶのは)力よりもバランス感覚」
この祭りで最もご法度とされるのが、万燈の象徴である顔を傷つけてしまうこと。しかし、その大きさ故に、行く先々には電線や歩道橋など様々な難関が。引っかかったり、破損したりしないよう、慎重に運びます。
担ぎ手として、今年祭りに初参加の税所陸瑛君は、先ほどの一斉舞で、一瞬バランスを崩し、悔いが残ると話します。
(寺横町若衆(初参加)・税所陸瑛君)
「(Q初めての万燈祭、担ぎ方的にはどう?)一斉舞の時にうまくいかなかった。(Q悔しいところがあった?)もう一回(一斉舞が)あるので、もし自分が回せる機会があるなら…」
税所君は、母親も現役で祭りに参加するなど、万燈祭がある家庭で育った生粋のお祭男。他の町の万燈の研究をするなど、自他ともに認める万燈祭ヲタクな一面も持っています。2度目の一斉舞は何としても成功したいところですが、ある不安を持っていました。
(税所陸瑛君)
「風があるので、その風で(万燈が)持っていかれちゃうと回せない、バランスを崩す可能性がある」
巨大で中が空洞な万燈にとって、一番の障害が「風」。わずかな風でも、担ぎ手にはかなりの負担です。それでも、税所君は風に負けず次の一斉舞を成功したいと意気込みます。
1回目の後悔を胸に、一斉舞のラストチャンスで舞を披露
午後8時、万燈に明かりが灯って万燈の美しい光で会場が幻想的な雰囲気に包まれる中、いよいよ2度目の全町一斉舞がスタート。税所君もリベンジを果たすべくこの日最後の見せ場に挑みます。万燈の舞は、体の重心をずらさず畳一畳分の範囲内で舞うことが美しいとされ、各町内によって舞い方が異なります。寺横町の舞は、ゆっくりとした足運びでより難易度が高いのです。多くの観客が見守る中、税所君は無事に美しい舞を披露しました。
(税所陸瑛君)
「良い感じに今回はちゃんと回せた。納得のいく舞だった」
この後、この日の夕方に行われていた7町全ての万燈が競い合う「万燈コンテスト」の結果が発表され、寺横町の万燈は優秀賞に輝きました。
今回、寺坂くんが選んだOMATSURIちゃんは、税所陸瑛君。人生で念願だった担ぎ手として初参加ながらも、情熱がきらめく姿を見せたのが選出理由です。
(税所陸瑛君)
「感謝の気持ちを忘れずに、やりきることができた。1年の中で大切な日になった」
約250年続く天下の奇祭で出会ったのは、誰よりも祭り愛に溢れるフレッシュなOMATSURIちゃん。アツい手形を頂きました。
CBCテレビ「チャント!」8月9日放送より