奇祭「うにょおい!」と叫びながら炎の中を裸で疾走する「神戸山王まつり」
裸のお祭り男たちが、重量300㎏以上ある神輿を担ぎ、炎の中を勇壮に走り抜ける、岐阜県神戸町で開催される奇祭「神戸山王まつり」。巨大な松明の炎とともに、燃え上がる男たちの祭りに対する熱い思いは、大雨も吹き飛ばす勢いです。今回は「神戸山王まつり」で一番アツい人、「OMATSURIちゃん」をタレントの寺坂頼我くんが探します!
通称「火まつり」!リレー方式で神輿を担ぎ五穀豊穣を祈願
2023年4月末に行われた、岐阜県神戸町の「神戸山王まつり」。大量の松明を燃やす「火まつり」としても知られています。しかし、寺坂くんが取材に訪れた祭り開催当日は、4月の降水量の約半分が降る大雨。松明の火が消えてしまいそうな雨脚に不安を抱きながら、神社にいた人へ聞き込みを開始します。
(祭りの男性)
「(きょうってお祭りあるんですか…?)全然あります。中止なんてない、あり得ない」
「神戸山王まつり」は、約1200年前から続く五穀豊穣を祈願する祭り。コロナ禍で3年間中止になったものの、雨が降るくらいでは中止にはなりません。日付が変わる深夜0時からの「朝渡り」という神事では、地区ごとに異なる7つの神輿を「日吉神社」から約400m離れた「御旅所」まで奉納。松明の炎に包まれ、約350㎏の神輿を担ぎ全力で駆け抜けます!
(祭りの男性)
「走って、リレー方式で肩(担ぎ手)が変わる」
「神戸山王まつり」最大の特徴は、「朝渡り」の間、神輿を止めることなく担ぎ手が5回も入れ替わること。その動きの複雑さから、神戸町役場が公式に入れ替わり方の「練習動画」を制作。初心者はこれを見て練習します。
謎の掛け声「うにょおい!うにょおい!」何と言っている…?
祭りに参加する男性たちに誘われ、寺坂くんも「日吉大宮神輿」の皆さんと一緒に正装に着替えます。寺坂くんを着替えさせてくれた筋肉ムキムキの男性は、神輿の先頭「丁口」(ちょぐち)という、花形ポジションを担ぐ種田直也さん。
(神輿の先頭を担ぐ 種田直也さん)
「僕は祭りのために筋トレしてます。18歳から22年くらい。祭りのための筋肉」
そんなアツ~いマッチョの種田さんたちに着いて行くと、突如炎の中に投げ入れられたのは大量の竹!これは「竹松明」という神事で、竹の神輿を燃やして松明用の火種を作るというもの。火のついた松明を持った男性たちは、「渡るぞよ」と大きな声で叫びながら、神様が神社から渡ることを、町内に知らせます。
同時に、「うにょおい」「うにょわい」という、耳慣れない掛け声も聞こえます。一体なんと言っているのかというと…
(神輿の先頭を担ぐ 種田直也さん)
「『運が良い』からきている『うにょおい』。」
(神輿のかじを取る重要ポジション 髙橋利光さん)
「『運が良い』が訛って、『うにょおい』や『うにょわい』になった」
この祭りでしか使われないというこの掛け声。神輿を担ぐ時だけでなく、乾杯の音頭にも使われるなど、汎用性も高いようです。
最大の難所「庄九郎川」!一番の見せ場に向けてボルテージMAX
様々な神事を済ませ、時刻はいよいよ深夜0時目前。松明の炎と共に上がる、会場のボルテージ!最初の神輿が動き出すのを待っていると、現れたのは氏子総代から選ばれた「祭主」。この祭主の拝礼を合図に、「朝渡り」が始まります。スタートと同時に、次々と走り出す神輿!種田さんたちの担ぐ「日吉大宮神輿」は、3番目です。
(神輿の先頭を担ぐ 種田直也さん)
「僕らは川の前の『梅川屋』というところで(神輿に)肩を順番に入れていく。最後、川を渡って御旅所に入れる。それが使命」
(神輿のかじを取る重要ポジション 髙橋利光さん)
「川を上がったくらいのところが、われわれのボルテージが一番上がる」
5番手に神輿を引き継ぐ、種田さんたちのコース終盤に待ち構えるのが、最大の難所と言われる「庄九郎川」。一番の見せ場でもあるこの場所を神輿の先頭「丁口」を種田さん、全体のバランスを取る「かじ」を髙橋さんというフォーメーションで、一気に渡り切ります。
(神輿の先頭を担ぐ 種田直也さん)
「区間は5年に1回、川が回ってくる。4年ぶりの祭りで合計8年間、8年ぶりの川渡り。もう夜も寝られない」
コロナ禍で止まっていた時間…。4年ぶりの開催に思いが溢れ出し、ボルテージは高まっていきます。
“8年越し”の思いを胸に川渡り!息子「父ちゃん、かっこよかったよ」
見せ場の川に見物客が集う中、いざ8年越しの思いをぶつける時がやって来ました。大きな叫び声とともに、神輿が動き出します。担ぎ手の交代はなんとか成功!いよいよ、見せ場の川渡りへと差し掛かります。「うにょおい!」と叫びながら見事、水しぶきの中を一気に駆け抜けました!!
(神輿の先頭を担ぐ 種田直也さん)
「かっこよく行きたかったんですけど、かっこよく映れなかったかもしれない。申し訳ない」
傍目には十分かっこよく見えますが、それでも悔いが残るという種田さん。
そして、最後の「日吉三宮神輿」が奉納されると、「神戸山王まつり」名物、喜びを爆発させる「うねり」が始まりました。このうねりは、毎年30分間も続くそうで、お祭り男たちの熱気を、沸き立つ湯気が物語ります!
こうして大雨の中、アツい火祭りが終了。今回、寺坂くんが手形をもらうのは、見事に神輿の先頭「丁口」を務めた種田さんです。種田さんは「うにょ~い!」という掛け声とともにアツい手形を押しました。
待ちに待った8年ぶりの晴れ舞台で立派にその役目を全うした種田さんでしたが、一番うれしいのは…
(種田さんの息子(三男)・悠くん)
「父ちゃん、かっこよかったよ」
息子の言葉に思わず涙する種田さん。無事に祭りの大役を果たしました。
CBCテレビ「チャント!」5月10日放送より