怒り、歌い、泣く!「亀崎潮干祭」で巨大山車を曳きまわすアツ過ぎる男たちに密着
巨大な山車が海を駆け、男たちが怒り、歌い、そして泣く、唯一無二の祭り。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている愛知県半田市の「亀崎潮干祭」が、4年ぶりに開催しました。まさに、“地元総力戦”ともいえるほどの熱気がぶつかり合うこの祭りで、一番アツい人、「OMATSURIちゃん」をタレントの寺坂頼我くんが探します!
出発の儀式!「ヨイヨ~イ」輪になって歌う男たち
毎年5月3日・4日に、愛知県半田市で開催される「亀崎潮干祭」。300年以上の歴史を誇り、火事や疫病など、様々な災いを祓うための神事です。
祭りの最大の見せ場は、「海浜曳き下ろし」。裸の男たちが海を疾走し、この地方でいう山車(やまぐるま)を豪快に曳きまわします。2023年は、コロナ禍の影響で4年ぶりの曳き下ろしとなり、その勇壮な様子を一目見ようと約3万人が集まりました。
(亀崎潮干祭保存会・稲生義治会長)
「朝のコレが一番いいんですわ。『棒締め』をやる、これが亀崎の大きな特徴」
山車を動かす起点となる“かじ棒”を、きつく結びあげる亀崎独自の「棒締め」は、出発の儀式。この掛け声とともに、男たちが一段と熱を帯びていきます。
さらに、近くでは「ヨイヨ~イ」と輪になって歌う男たちが。これは「伊勢音頭」と呼ばれる民謡の大合唱です。「亀崎潮干祭」では、自然発生的にOMATSURIちゃんたちが歌いだすんだそう。
選ばれた者にだけ与えられる「赤かんばん」
寺坂くんが、さらなるOMATSURIちゃんを探していると、山車に顔をグッと近づけている人を発見しました。彼は、祭りの花形ポジションにあたる、山車の舵取りを任された犬塚泰介さん。浜辺を突き進む「曳き下ろし」は、時には100人単位が集まる大規模なものになります。その中で、犬塚さんのポジションは、綱の最前線。大勢を背中で背負う、重要な役目です。
(山車の舵をとる犬塚泰介さん)
「家専門の大工なんですけど、山車の調子が悪いと触らせてもらったり。自分が組にいる以上は、やれることをやっていきたい」
犬塚さんは今回、幼稚園からの幼馴染でもある岩本一輝さんと共に、山車の舵取りに挑みます。
(山車の舵をとる岩本一輝さん)
「(なかなかできない役割?)組から選ばれた人しかできない」
東組・石橋組・中切組・田中組・西組の、5つの組で構成される「亀崎潮干祭」。犬塚さん達が所属する西組が、最後に曳き下ろしを行います。犬塚さんと、裸の若い衆との大きな差が、赤い羽織「赤かんばん」。所属する西組から、認められた者だけが袖を通すことを許されます。
祭りを生き、祭りに生かされる、亀崎の男たち
亀崎の生活の中心は、この「亀崎潮干祭」。1年中祭事や集会があり、その準備に追われています。細分化された役割は住人以外理解できませんが、全てに共通するのは、祭りへの愛。例えば「車元」という役割は、組における祭りの1年の経費を負担します。
(西組の1年分の経費を負担・榊原康芳さん)
「(最低でも)100万円はかかる。(なにゆえに…)お祭りが好きなのと、あとは名誉」
祭りを生き、祭りに生かされる、亀崎の男たち。ついに、1年間指折り数えた「亀崎潮干祭」が始まり、5輌の山車が一台ずつ順番に浜辺へと進みます。重さ約4tの山車を動かすにあたり、不安定な砂浜では些細な油断が命取りに。叱咤激励も飛びますが、すべては安全のためです。
4組の曳下ろしが終わり、最後は西組の出番。犬塚さんたちは、小さい頃から育った町への感謝を胸に、曳き下ろし本番へ。
緊急事態!動かなくなった山車…男たちの魂の「曳き下ろし」
犬塚さんと岩本さんの掛け声を合図に、山車が一歩ずつ進みます。しかし、他の4組が通った後の砂浜は状態が悪く、山車がぬかるみにはまって動かなくなる事態が発生。
このピンチを見ていた他の組の男衆が駆けつけ、一緒に山車を引っ張ってくれます。しかし、車輪が見えないほど深くぬかるみにはまった山車は、男たちがいくら力を合わせてもビクともしません。
この緊急事態を見た西組の岩本さんは、緊急時用の綱を取り出して山車に括り付けます。様々な角度から力を加えることで、ぬかるみを脱する作戦です。
「次こそは…」と、各組から応援にきた男たちと力を合わせ掛け声をかけると、山車はゆっくりと動き出し、無事5輌の山車が揃いました。
4年ぶりの曳下ろしと、男たちのアツい想いを見届けた寺坂くん。今回、ベストオブOMATSURIちゃんに選んだのは…
西組で山車の舵取りをやり遂げた犬塚さんでした。小気味良い音と共に、寺坂君の法被に犬塚さんの手形が押されます。
(寺坂頼我くん)
「激アツな手形、頂きました!」
2日間の祭りが終わると、男たちはその充実感から、目に涙を浮かべます。しかし、その翌日から翌年の「亀崎潮干祭」に向けたカウントダウンがスタート。既に男たちの準備は、始まっているのです。
CBCテレビ「チャント!」5月17日放送より