その采配にワクワクが止まらない!立浪ドラゴンズ開幕9試合から見えた魅力とは?

その采配にワクワクが止まらない!立浪ドラゴンズ開幕9試合から見えた魅力とは?

面白い!ドラゴンズの野球にワクワク感が戻ってきた。立浪和義新監督を迎えた中日ドラゴンズは、2022年ペナントレースの開幕から9試合を戦った。成績こそ4勝5敗と負け越しているのだが、声援を送る竜党の満足度は日に日に高まっている。

誤算続きの開幕スタート

「サンデードラゴンズ」より岩崎翔投手©CBCテレビ

順風満帆な船出ではなかった。最大の誤算は、FAで福岡ソフトバンクホークスに移籍した又吉克樹投手に替わってやって来た岩崎翔投手の負傷だろう。先発からリリーフに回ったジャリエル・ロドリゲス投手と“守護神”ライデル・マルティネス投手の間、「8回の男」として期待され、オープン戦の快投から新たな「勝利の方程式」が出来上がったと確信していた。しかし、開幕2戦目の東京ドームで先頭打者にストレートの四球を出したところで異状が発覚し、緊急降板した。3点リードで「勝てる!」と信じていたゲームは逆転負け。岩崎は右腕の筋肉損傷と診断されて、長期の離脱となった。その他にも先発3本柱と期待されている小笠原慎之介投手のコロナ陽性、シーズン前にさかのぼれば、セカンドに入るはずだった高橋周平選手の2軍スタートもあるなど、立浪監督が描いた構想は、開幕早々に荒波にもまれた。

動じない立浪采配の落ち着き

「サンデードラゴンズ」より鵜飼航丞選手©CBCテレビ

そんなハプニングにも立浪采配は動じない。高橋選手の代わりにセカンドに入った阿部寿樹選手の安定した活躍も大きな要因でもあるのだが、本拠地バンテリンドームの2戦目から5試合連続で野手スタメンは同じ顔ぶれである。そこには、入団3年目で20歳の2人、岡林勇希選手と石川昂弥選手、さらに入団したての大卒ルーキー・鵜飼航丞(こうすけ)選手が名を連ねている。その鵜飼選手は、4月2日の広島カープ戦で3番に入りながら5打数ノーヒット、4つも三振を積み重ねてしまった。それでも翌日のゲーム、同じ3番でスタメン出場した。おそらく前年までならば、違う選手がスタメンに交代したであろう。「将来の活躍が期待される若手は使い続ける」と明言した通り、立浪監督の采配には“どっしりとした”落ち着きが感じられる。若い3人の新レギュラーの姿を、多くのファンは大歓迎しエールを送る。

サヨナラ勝ちへの確かな道

「サンデードラゴンズ」よりベンチ前の選手©CBCテレビ

立浪監督は、動く時は一気に動く。東京ドームでの開幕戦、逆転のチャンスにレギュラー京田陽太選手に代打を送り、相手が投手を替えたらさらに「代打の代打」という積極的な采配を見せた。その後の試合でも、終盤の勝負どころでは、スパッと代打を送る場面が数々あった。総力戦による逆転でサヨナラ勝ちした4月2日のゲームでも、9回のチャンスに石川選手に替えて、同じ右打者の平田良介選手を送り出した。結果は無得点だったが、指揮官のこうした“勝利への執念”は間違いなくベンチのムードに刺激を与える。ゲームは延長12回に劇的なサヨナラ逆転勝ちだった。思えば「サヨナラ勝ちが見たい!」と言い続けた前年2021年シーズン、それが見られたのは秋風吹く10月5日、実に130試合目のことだった。今季は開幕8試合目にして早々に実現、チームに勢いがついたことは間違いなしである。

根尾スタメンは本拠地で実現

「サンデードラゴンズ」より根尾昂選手©CBCテレビ

立浪采配の“妙味”はまだある。バンテリンドーム開幕戦となった3月29日の横浜DeNAベイスターズ戦、スタメン発表にスタンドは沸きに沸いた。「6番ライト根尾昂」。
その試合まで今季の出場がなかった背番号「7」が、いきなり本拠地でスタメン出場だった。3年前のデビューは甲子園球場、2年前のプロ初スタメンは横浜スタジアムと「名古屋飛ばし」かと思われる残念な歩み出しだったが、この日の応援席では「さすが立浪監督、ちゃんと分かっている」という賞賛の声が多かった。

大島がプロ初のレフトに入った!

「サンデードラゴンズ」より大島洋平選手©CBCテレビ

さらに注目だったのは、根尾選手がライトに入ったことで、岡林選手がセンターに移り、そして大島洋平選手がレフトの守備に入ったことだった。入団13年目の大島選手にとって、レフトでのスタメンは初めてのこと。ゴールデングラブ賞を9度も取っている名手だが、将来のチーム構成を考えれば、強肩が求められるセンターのポジションでエンドレスではない。次の試合からは再び中堅の守備に戻ったが、こうした思い切った起用にも立浪色が出ている。就任会見で立浪監督は力強く、こう言い切っていた。「勝つために妥協はしません」。

バンテリンドーム ナゴヤ©CBCテレビ

劇的なサヨナラ勝ちの翌日には、柳裕也投手の見事な3安打完封、負けなしで名古屋に乗り込んできたカープを3タテした。本拠地での3連敗を一気に忘れさせるほどの白星たち、同時にワクワクする試合が続いている。シーズンはまだ9試合、対戦していないチームもある中、早くも“立浪革命”は竜党の心をガッチリとつかんでいる。                                   

【CBCテレビ特別解説委員・北辻利寿】

※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が“ファン目線”で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲  愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか

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