報酬改定が裏目に?就労継続支援事業所の倒産が増加

厚生労働省のまとめで、障がい者の解雇が昨年度は9,312人と、前の年度に比べて3.8倍にまで膨らみ、過去最多になったことがわかったと日本経済新聞が報じました。これは経営に問題のある事業者を排除、改善するために国が報酬を見直したことで、事業の閉鎖や縮小を迫られたケースが増えたためと見られています。なぜ問題を解決するはずの国の施策が、障がい者の解雇につながってしまっているのでしょうか?8月23日放送『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、福祉の現場に足繁く通っている大川興業総裁の大川豊とパーソナリティの北野誠、加藤由香アナウンサーがこの記事を取り上げました。
関連リンク
この記事をradiko(ラジコ)で聴く就労継続支援A型事業所とは
障がい者の方などが働く就労継続支援の事業所にはA型とB型があり、雇用契約を結ぶのがA型で最低賃金が適用されています。
今年の1月時点で全国に4,368の事業所がありますが、東京商工リサーチによれば2024年度の福祉事業所の倒産は37件で、休廃業や解散は175件と過去最高。
物価高や最低賃金の引き上げにより、事業の継続が苦しくなったという原因もあるようです。
北野「最低賃金を引き上げても、103万円や170万円などの壁を取るなどの法整備を先にしないと、働き控えになる」
現在の日本の法律では、必ずしも最低賃金の引き上げがプラスに働くとは限らないと続けます。
パートなどで年収が壁を越えるか超えないかぐらいの金額であれば、働くほど損になる可能性があるため、働くのを辞める動きが出てきているのです。
事業所が減って困った状況に
一方、B型について「歩合制のようなもので工賃が支払われるが、月収では1万5千円ぐらいにしかならない」と語る大川。
また、就労継続支援の事業所である以上、健常者の方がついて教えてあげなければなりませんが人手が足りない状況であるため、軽度の方が採用されやすくなります。
そして、A型で仕事ができる方は本来一般就労に送り出すべきなのですが、報酬改定で厳しくなったため残留を依頼する本末転倒な状態になっているのだそうです。
また、A型の事業所がなくなり、やむなくB型の事業所で働かざるを得ないとなると、収入が減ってしまいます。
報酬改定が仇に
就労継続支援事業所を作ると国から補助金が出ますが、実際には就労実績がないなど、不正の原因になることもあります。こうした事業者には罰則が設けられてしかるべきです。
ところが国は、事業収入が乏しい経営では障害者の適正な就労につながらない恐れがあるとして、すべての事業者に報酬改定を適用しています。
現状では黒字化できている事業所は、わずか6%。
大川「報酬改定をすると、ほとんどの事業所が苦しくなることが厚労省はわかっているはず」
しかも急な改定であるため、経営改善のための猶予期間もありません。
完全に営利目的で行なうのには限界がありますので、きちんとした事業所には支援をし、不正を働いている事業所にはしっかりと罰を与えるということで良いのではないか、と疑問が出てしまいます。
(岡本)
番組紹介

読んで聴く、新しい習慣。番組内容を編集した記事からラジオ番組を聴いていただける”RadiChubu”。名古屋を拠点とするCBCラジオの番組と連動した、中部地方ならではの記事を配信する情報サイトです。