ルール違反で修学金3760万円一括返済を請求!これって妥当?

弁護士ドットコムニュースの記事によれば、8月6日、自治医科大学の卒業生である医師のAさんが、修学金制度が違憲・違法であると同大学と愛知県を相手取り、債務の不存在確認と国家賠償請求を求めた訴訟の第2回口頭弁論期日が開かれました。修学金制度は自治医科大学独自の制度で、入学に必要な資金や授業料などの資金を学生へ提供する代わりに、卒業後に一定期間、へき地での勤務を求めるもの。Aさんはこの制度によって2,660万円を貸与されましたが、勤務先を退職したことで10%の利子を含めて一括返済を求められました。9日放送の『北野誠のズバリサタデー』(CBCラジオ)では、北野誠と加藤由香アナウンサーが、原武之弁護士にこの問題について尋ねます。
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自治医科大学は、なかなかへき地や離島に来る医師が集まらないという現状から、全国の都道府県がお金を出して作った大学です。
そのため、学費を無料にする代わりに一定期間へき地や指定する医療機関で働くことが義務付けられています。
学生は当然、入学時にそのような説明を受けていますし、高額の学費を払わなくても良いのが特徴であり、しかも決まった所に勤めるのは修学期間の1.5倍ですから、一生というわけではありません。
しかし今回訴えたAさんは、とある医療機関を事情があって辞めざるを得なかったのでしょうが、それで全額返せと言われるのは不当ではないかと訴えています。
訴えの内容は妥当か?
この訴えについて原弁護士は「なかなか難しいのではないか」とコメントしましたが、なぜなのでしょうか?
原「無料で医師免許を持ってるわけですよね。この方が他の医師と同じように働けたら、『なんで無料なんですか?』っていう話になるじゃないですか。
いいところだけ取っていくんですかという話が一方であって、一方ではやっぱりむちゃくちゃお金が高い。
これが300万、400万(円)なら頑張って返すことができても、数千万返すのもなかなか大変。一括弁済を求められるというのは、もう少し配慮してよっていうのはわからんでもない。
でも広く考えると、防衛医大とかもありますし、会社員がMBAを取るために海外留学させてもらってすぐに辞めちゃったら、何のためのMBAなの?っていう。
利得を得てるのにそれを還元してくれなくて辞めちゃうっていうことに対して、一定の制限をつけたいっていうのはあるでしょうね」
ルールが厳しすぎる?
このような話になると、よく「わかっていて入学したでしょう?」という意見が出ますが、訴えた医師は「まだ18歳だったので、そこまでの判断能力はなかった」と主張しています。
この辺りは今の奨学金制度でも同じようなことが言えそうです。
さすがに数千万円もの学費がタダになる以上は、そこはきちんと確認しておかなければならないところですが、原弁護士は「例外規定があまりないのが問題」と指摘。
今回のケースは家族の介護などの事情があるようですので、事情があれば勤続年数を減らしたり、分割返済を許したりしても良いのではないかと語りました。
ただ「全額ゼロにするのはちょっとおかしいかなという気はするんですよね」と続けた原弁護士。
北野も「このご時世で利息が10%は高すぎるのではないか」とも指摘しました。
(岡本)
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