本当?トランプ大統領がアルカトラズに強制収容施設を建設か

アメリカのサンフランシスコ沖に浮かぶアルカトラズ島。絶対に脱獄できない刑務所がある島として有名でしたが、ドナルド・トランプ大統領がここに不法移民の収容施設を作ると言い出したことから、あらためて注目が集まっています。7月23日放送『CBCラジオ #プラス!』では、アルカトラズ島とはどのような島なのか、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が解説しました。聞き手は永岡歩アナウンサーと三浦優奈です。
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この記事をradiko(ラジコ)で聴く軍の刑務所から連邦刑務所に
アルカトラズ島は大きさが東京ドーム2個分ほどで、岩場ばかりという島です。
アメリカでは18世紀頃からヨーロッパの人たちが大勢来て、西海岸にも宣教師などが来ました。
先住民はいましたが、ヨーロッパの視点だとスペインがこの島を発見したということになります。
スペイン語でカツオドリという鳥を表す言葉を英語風に発音する「アルカトラズ」という名前をつけました。
アルカトラズ島は南北戦争の時は軍が砲台を作ったり、後には軍が刑務所を作ったりと、軍事的な使い方がなされていました。
その後、軍が手放してから連邦刑務所として1934年(昭和9年)から1963年(昭和38年)まで約30年ほど使われていました。
禁酒法時代に有名なアル・カポネもこの刑務所に入っていたことでも知られています。
閉鎖されてからは刑務所の施設を利用した観光地となり、ツアーなども組まれています。
絶対に脱獄できない理由
アルカトラズが有名なのは、「絶対に脱獄できない」と言われていたこと。
周りは海で狭い島で警備が厳しく、刑務所の作り方も外に窓が向いていなくて簡単に出られなかったり、海に飛び込んだとしても水温は低く海流も早いため、無事に違う別の陸地へ泳ぎつくのは難しいと言われます。
さらに周辺にはサメが多数泳いでいて逃げられないという話もありますが、実際はそこまでの数はおらず、しかも人喰いのタイプではないらしいため、どうやら盛った話のようです。
それでも脱獄にチャレンジしたのは36人で、うち23人は失敗して捕まり、6人は射殺、2人が溺死だそうです。
残り5人は行方不明で当局は溺死と言っていますが、「実はどこかで生き延びてるんじゃないか」と思わせるところが、ドラマが生まれる所以と言えます。
1979年(昭和54年)には『アルカトラズからの脱出』(ドン・シーゲル監督)という映画が公開されています。
本気なのか、単なる思いつきか?
そのアルカトラズを今、トランプ氏が利用しようとしているのはなぜなのでしょうか?
石塚はまず、不法移民に厳しいトランプ氏が、昔から有名なアルカトラズを使ってキャンペーンを図っていることを挙げました。
また、この島はカリフォルニア州にありますが、ここは民主党が強いので、敵である民主党を揺さぶろうとの思惑があるのではないかと推測します。
そして、アルカトラズを使うのは単なるイメージではなく、どうやら本気のようです。
今月に入って司法長官がアルカトラズを視察し、さらにフロリダ州にも空港の敷地内に強制施設を作り、周りにワニがいるという危険な場所。
一方でアメリカのメディアは「単なる思いつきだ」という評価をしているようです。
トランプ氏がフロリダの邸宅にいた時、地元のテレビで『アルカトラズからの脱出』が流れていたため、それを観て思いついただけという説もあるそうです。
アルカトラズにあった刑務所を立て直すにはかなりの時間と費用がかかるそうで、国家予算を減らそうとしているトランプ氏が、本当に作るかどうかは怪しいかもしれません。
(岡本)
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