暑いのに?「熱中症警戒アラート」が出にくい都道府県の特徴

各地で梅雨が明け、いよいよ本格的な暑さが始まります。2020年から「熱中症警戒アラート」という言葉をよく聞くようになりました。実はただ暑いだけで発令されているわけではないようです。6月28日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』では、この「熱中症警戒アラート」について、CBC論説室の石塚元章特別解説委員と加藤愛が日本気象協会の都築さんに尋ねます。
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放送日は猛暑日となり、地域によっては35℃を超えたところもありました。
西日本や太平洋側を中心に熱中症警戒アラートも発令されました。
都築「前回熱中症警戒アラートが出たのは6月18日で、それが今年初めての発令だったんです」
この日愛知県と岐阜県で37℃超えとの予報でしたが、アラートが発表されたのは愛知県と三重県だけでした。
三重県では津市で34℃予想で、気温は岐阜県の方が高いにもかかわらず、なぜか岐阜ではアラートが出ません。
都築「これ、毎年だいたいこんな感じなんですよ。夏になると毎日のように熱中症警戒アラートが出ますけど、岐阜は飛ばされるんです」
暑いのに
この日の東海3県における最高気温のランキングは、多治見市1位で37.9℃、次いで揖斐川町、美濃市が37.5℃と、上位はほぼ岐阜県の市町村が占めている状態です。
加藤「確かに不思議ですね」
疑問に思った都築さんは、「熱中症警戒アラート」が発表されるようになった昨年までのデータから、都道府県別の発表回数を調べました。
都築「三重県が127回だったのに対し、岐阜県は39回でだいたい3分の1くらいしか出てないんです」
加藤「全然違いますね!」
「これはやはり気のせいではない」そう思った都築さんは、暑いのにアラートが出ないその原因を探り始めます。
問題は湿度
そもそも「熱中症警戒アラート」とは、熱中症の危険性が極めて高くなると予想された時に危険な暑さへの注意を呼びかけ、適切な対策や行動をとってもらうために環境省と気象庁が共同で発表しているもの。
その際の基準になるのが気温、湿度、日射、輻射熱を考慮して算出される「暑さ指数」。
都築「この暑さ指数には比重がありまして。一番大きく影響しているのが湿度なんですよ」
石塚「なるほど、三重は海が近いから!」
岐阜県は内陸でどちらかと言えば湿度が高くない特徴がありますが、一方で海に面した三重県や愛知県では湿度が上がりやすい傾向にあるのです。
都築「猛暑日だけで数えると、岐阜県の方が圧倒的に多いんですけどね」
猛暑日の日数を比較すると、岐阜県と三重県では2倍以上の差があったとか。
気温だけではなく、湿度によって熱中症の危険度が大きく変わるようです。
アラートが出ていなくても
ただ注意しないといけないのは、「熱中症警戒アラート」が出ていないからといって、気を付けなくていいというわけではないということ。
都築「岐阜県で去年、熱中症が原因で救急搬送された人の数を見ると、三重県とそんなに変わらないんですよ」
どちらも1,800人前後で、厳密に比較すれば岐阜県の方が少し多いくらいの結果だったのだとか。アラートが出ていないとはいえ実際に気温は高いわけで、熱中症の危険性は十分すぎるほどはらんでいると言えます。
石塚「出てないから大丈夫と安心するのはよくない、ということだね」
都築「猛暑だから、もうしょうがないんですけどね(笑)」
石塚「それが言いたかっただけでしょ(笑)」
今年の夏も厳しい暑さが予想されます。エアコンなどを適切に利用しながらなるべく涼しい環境に身を置き、こまめな休憩と水分・塩分補給を心掛けて元気に過ごせるようにしたいですね。
(吉村)
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